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愛という名の呪い。 2話
新シリーズ第2話!
2人の家に着いて。
「お母さーん、お父さーん!」
玄関からめありが叫ぶと
「めあり、えみり!いじめられてたのって本当なの⁉」
2人のお母さんだと思われる人が慌てて表へ出てきた。
「うん。この人たちが助けてくれたの。で、この人たちは旅をしてて、
私とえみりのことを旅に一緒について来てくれる?って聞いてきたんだ。
どうしたらいいかな、お母さん。」
その時はまだ私たちが後ろにいることなんて気が付いていなかったみたいで、
私たちを見ると目が驚いたように開いた。
2人のお母さんは少し悩んだ後、こう言った。
「まずは、2人をいじめから助けてくれたこと、本当にありがとうございました。
で、めありとえみりを旅に連れて行く話は…」
「私たちの事、やっぱり信じられないんですよね。」
「せめてちゃんとした理由がある旅だと分かったら許すこともできるけれど…」
私説明力無いからな…よし、ライヴ、説明頼んだw
ライヴが説明をしてくれて、許可がもらえた。
「本当に良かったんですか?」
「えぇ、呪いを解くことに娘たちが力になれるなら、預かってもらいたいわ。」
「お母さん、私たちの事はどうでもいいの?」
「安心して、そういうことじゃないわ。いじめられていたのが本当なら、
学校は転校した方がいいでしょう?引っ越しにも時間はかかるし…
その間ただ不登校のニートになるよりも開放感のある旅に出た方がいいと判断したの。
私はめありとえみりを応援したいけれど…行くのは嫌?」
「ううん、許してくれてありがとう!」
「お母さんが私たちを捨てないって約束するなら、私はお母さんに従う!」
”捨てる”という言葉が私の中に残った。
それに気づいたライヴが、私の背中に手を添えてくれる。
「大丈夫だよ。つらかったよね、アイヌ。」
「ありがと。でも、私は大丈夫だし、もうそれは過去の事だから気にしない。」
家族愛ってやつを目の前で見たのは初めてだ。
めありとえみりは家の中へ入って、戻って来なくなった。
「めありとえみりのお母さん、名前は?」
「|双葉《ふたば》ゆずはって言います。」
「じゃあ…ゆずはさん、美藤、または清藤という苗字を聞いたことがありますか。」
「美藤…⁉美藤さんは12年ほど前に起こった村の大火災を水魔法で救ってくれた
2人の苗字じゃ…⁉あぁ、こんなこと言っても分からないわよね。
写真を持ってくるからちょっと待ってて!」
そう言ってこっちの反応も待たずにゆずはさんは写真を取りに家の中へ
戻っていった。
ゆずはさんが戻ってきて。
「この二人が火災を鎮めてくれました。」
「名前は?」
「この女性が|美藤《みふじ》アウラさんで、こっちの男性が|美藤《みふじ》トキワさんです。」
写真に写っていたのは、私に似た黒髪で赤みがかった目をした二人。
「これが、美藤家の今の当主のはずの…」
「…ゆずはさん、この二人、実は私の親なんだ。」
「あった時からどこかにているとは思っていたわ…
でも二人は子供がいるなんて話は全くしていなかったし…」
「二人は私を捨てたんです。だから、子供なんていないことになってるんです。」
「それは辛かったわね。じゃあ、アイヌさんとライヴさんはその親を捜すために
旅へ行くのかしら?」
「それは違います。私たちは小さい頃に何かの呪いを受けて、
能力が制限されたりして困っているんです。だから、ヒントになりそうな
アイヌの親を捜すことをとりあえずの目標としていて…終点は呪いを解くことです。」
「呪い、ねぇ…そういえば、この世界には生神(いきがみ)と呼ばれる
最強の魔法使いと、邪神(じゃしん)と呼ばれる最凶の魔法使いが存在するのよ。
その2人は呪いをかけられる。2人の受けているものが悪影響なら、
呪いをかけたのは邪神かもしれないわね…」
「生神と邪神…聞いたことなかったな。」
「そういえばもう暗くなってきたわね。あなたたち、家は近くにあるの?」
「旅してるのでもちろんないです。魔法で小さい小屋でも建てるつもりです。」
「建てるのは私だけどな…自分のことのように言うなよw」
「なら、私の友人の営む旅館にでも泊っていけばどうかしら?
お金はきっとタダにしてくれるはずよ、だって友人の関係者よ?」
「え、本当ですか!いろんなことも教えてくれて、宿泊先まで…」
「いいのよ。ほら、行きましょう?」
この人はどこまで優しいんだろうかってほど優しすぎてすごい。
カーテンから差し込むまぶしい日差しで目が覚める。
「うぅ…まぶしいなぁ…」
私が起き上がってみると、隣に寝ていたはずのライヴがいない…⁉
周りを見てみると、洗面所の電気がついていて…
「ライヴ?今洗面所にいるのか?」
「あ、アイヌ、起きたんだね。おはよう」
起きるの早いな。
顔を洗うために私も洗面所へ。
「いつから起きてたんだ?」
「10分前くらいかな?
あ、迷惑かけちゃうし朝ごはんは回復魔法使おう?」
「そうだな。出来るだけ早く出発したいし。」
家に着いて。
「おはよう。えみり、めあり、準備は出来たのー?」
「「はーい!」」
「あ、あとお父さんに相談して許可はもらったんだけれど…これだけは
守ってほしいっていうことがあって…いいかしら?」
「はい、もちろんです」
「絶対に二人の未来で不自由になるような大きなけがは負わせないことと、
死なせないこと。いいかしら?」
「絶対約束する。」
「誓います。」
「じゃあ、頼んだわよ。呪いが解けることを願っているわ。」
そう言ってゆずはさんは微笑んだ。
新メンバーの加わった旅は再始動する。
「「行ってきます!」」
2人が口をそろえて元気よくゆずはさんに言った。
とりあえず2時間くらいは移動して。(休憩もしながら)
めありやえみりの住んでいた所とは違う村に着いた。
「今日はどこに行くんですか?」
「敬語はいらないよ。年齢とか気にするだろうけど、仲間だから関係ないよ!」
「はーい。で、どこに行くの?」
「今日はピクニックにでも行くか。天気もいいし。」
「「ぴくにっく…?」」
「え、ピクニック知らないの⁉」
ピクニックを知らない子供なんているんだ…
「ピクニックっていうのは、自然を見て心を癒したり、ご飯を食べたりんするんだよ。」
「キャンプとはどう違うの?」
「キャンプは山の中で宿泊するって感じだけど、ピクニックは泊まらないし、
野原とか草原でやるんだよ。」
「へぇ…!ピクニック楽しみ!」
「楽しそうだね!」
「あっ、あそこの草原とかちょうどいいんじゃないか?」
「おー確かに。ナイスだね!」
少し先に見えた草原へ私たちは向かって、ピクニックを楽しんだ。
周りには木も少なくとも30本は生えていて、自然が豊かだった。
「あの人たち、楽しそう。僕のことも入れてくれたり…そんなこと無理か。
自分から話しかけるなんて、僕にはできないから。」
そう言って木に登って来た野生の猫やリスを撫で、
持っていた小さな竪琴の音を鳴らす。
木の枝の中から一人の少年が4人を見ていることは、誰も知らなかった。
仲間が2人追加!
最後に出てきた少年は一体何なのか…
次回、また出てくるかも。