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神様神社 2話
「いやわたしも神様だよ?なのに配属された神社にまったく人が来ないわけ」
現在、私は神社の奥の和室で神様のぐちを聞いています。
「配属、とかあるんですね」「あるよ〜。一番偉い神様が、神社ができるたびに神様を一人づつ配属するんだよね。んで、120年前にわたしが配属されたのが、ここ。なのにここが出来て早々に参拝者とか、人間がいなくなったんだよねぇ・・・神の力も弱るっつの」
「力ってどう決まるんですか?」「お供物とか信仰心とか参拝とかお賽銭とか、神になにかしてあげると神様の力が強くなるね。わたしは昔の絞りカスで力を使ってる感じ」かろうじて残ってるからなぁこれでも、と神様が苦笑する。「さっきのお茶も神様の力ですか?」「うん」
「あ、そういえばずっとここにいる感じだけど、時間は・・・」「ああ、大丈夫!此処にいる間は時間が止まってるから、好きにしてていいよ」神様が言う。
「神様って、普段何してるんですか?」「この街を見守ってる、っていうのもあるし、あとは・・・あ、そうそう、化け物と戦ってる!」「化け物、ですか?」「うん」
神様が言うには、人間の負の感情があまりにも貯まると、意思を持った化け物になるらしい。
それを浄化したり、倒したりして無力化するのが神様の仕事の一つだそうだ。
「神様の力がないと倒せないから困るんだけど・・・なぜかこの街には化け物がいないんだよ」神様が不思議そうにいう。「人間がいる限り、負の感情は少しでもあるはずなんだけど・・・なにかの結界かな?まぁ楽だからいいんだけど」神様のつぶやきに、私はとりあえずうなずいた。
「じゃぁ、そろそろ」「じゃぁね!あ」神様が走ってきて、私に小さな木札を渡した。
「これは・・・?」「これはね、お守り、かな?」神様が説明してくれた。
「お守りにもなるし、此処に来るパスポート、みたいにもなるよ。どこにいても『此処に来たい』って願うだけで此処に転移できる。わたしの僅かな神様の力だから、お守りの機能はそんなにないかもしれないけど・・・」「ありがとうございます!」申し訳無さそうにつぶやく神様に、私はお礼を言ってうちに帰った。
(途中まで神様が送ってくれた。)