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永遠にラブソング
書きたくなって書いただけの短編です。
ちなみに、登場するラブソングの歌詞は、完全に架空のものです。
……ねぇ、聞こえてる?……聞こえてるみたいだね。
いきなりだけど、恋愛って、難しいものだって思わない?
だって、さ。ラブソングとかにあるような恋愛に憧れる人って、ごまんといるじゃん。そうでしょ?
でも、あんな感じの、まぁ『ロマンチック』みたいなものって、現実だとそうそうないよね?
例えば、『あなたの隣に寄り添うのが私ではなくても、私はあなたが好きで良かった』とか。歌詞にないだけで、隣に寄り添うあの人のことが羨ましいって思いも、絶対あると思うんだ。
他には……『あれから何日も経ったのに、君との思い出ひとつひとつ、どれだって鮮明に思い出せる』とか?鮮明とか言い切っちゃっても、段々おぼろげになってくでしょ、普通。
うーん、後は……『こんなに見て欲しいのに、こんなに好きでいるのに、なんでこんなに興味がないんだろう?』とかかな?相手も興味がないって訳じゃなくて、それを知られたくないから興味がないふりをしているだけじゃないかなって思う。照れ隠しって奴だよ。うん。
……まぁ結局何が言いたいかって言うと、ラブソングは、空想の話の中に、歌詞で描かれていない部分もあると思うんだって話だよ。
……でもさー、ラブソングってさ、失恋ものの話が多いじゃん?
『あなたの隣に寄り添うのは私じゃない』状況って、本人からしたら、悲しいとか、もしかしたら妬みとか、そういう感情の話でしょ?
でも、ラブソングは、そういう曲でもヒットするものはヒットする。そして、空想の話だから、実在する誰かさんの独白という訳でもない。でもまぁ、実話の時もあるんだろうけどね?
ところが、だよ。実際のお話だったら?自分の身の回りで、……自分自身に起こった話だったら?
……自分がその『本人』サイドだからね。その失恋話がヒットしたら、まぁ、怒りとか、自分はこんなに悲しいのに、とか、感じるんじゃない?
まあ、空想は空想だから美しいってことだよ、つまり。
あ、もうこんな時間なんだ。ほら、寝そうにならないで、もう帰ろう?ね?
……あ~あ、結局、気付かれなかったかぁ。空想は空想だから美しいって、咄嗟に出たことだけど、結構良いこと言ったなぁ、私。
……あ、待って、一緒に帰ろうよ!
…………君、彼女が、出来たんだっけ?そういえば。
…………なんでもないよ。まぁ、その子と、……幸せに、なれたら良いね。
……あはは、さっきはあんなこと言ったのにね。
……失恋、しちゃったなぁ。
一応言っておきますが、私が失恋したわけでも、私のまわりで失恋話があったわけでもありません。ただ思いついて書いただけです。