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第二話
【前回のあらすじ】
妖怪が住む家で目覚めた沙雪。
困惑する彼女の目の前に突然現れたのは、
大天狗の天舞、緑龍の竜翔、天狐の火影の三人だった。
その3人がいうには、彼らのボスに沙雪を連れてくるよう言われたとか…
彼女とボスはどうなってしまうのか…
__スッ…__
沙雪「………!!」
天舞「お!噂をすれば帰ってきたな!」
竜翔「あ!おかえりー!」
火影「遅かったじゃないか。」
テテテッ…
竜翔「人間さん起きたよ!沙雪ちゃんっていうんだって!」
__「ー?ーー!?ーーーーーーーーーー!!?」__
天舞「『もう』って、あんたが治癒魔法かけ続けたんだろ?」
火影「彼女には話しておいたから、早く来い。」
__「ーーーー!?ーーーーーーーーー!!」__
天舞「あーもう!大丈夫だから来いって!!」
__「ーーーーー!?」__
竜翔「もう!どうせしないでしょ!!!」
**バタバタッッ!!!**
天舞「おい!!やめろって!!!」
沙雪(叫び声!?誰か引きずられてる!!?)
私は必死に『ボス』と呼ばれる妖怪の見た目を考えた。
地面を這う大蛇?
人間を大きく上回る巨大な土蜘蛛?
災害を引き起こしながら走り回る牛鬼?
考えれば考えるほど、私の震えは強くなってくる。
__…シーン…__
お…おさまった……?
気になる…でも怖い……でも……!!
私は少しずつみんなが出ていった襖の近くに移動す
**スパーンッッ!!**
**沙雪「わあぁ!!」**
**? 「!!?」**
突然目の前の襖が開いて、私はまた布団に戻る。
それでも目の前の人物が気になって、そっと顔を上げると…
--- 目の前には『ボス』と呼ばれる男が立っていた… ---
---
彼は、この中で一番背が高く、それでいて細身だった。
雪のように白く、少し癖があり、長くて後ろで括った髪が美しくなびく。
目は前髪で半分以上隠れているが、不思議と澄んだ青色の目がよく見えた。
耳は少し尖っていて、黄金のタッセルイヤリングが輝きを放っている。
服は瑠璃色の着物に黒の羽織を着ていた。
松葉色の長い首巻きの先が、蛇のようにふわふわと動いている。
そして、頭の上には、鈍く光る大きな白いツノが2本生えていた。
誰が見ても、彼の正体は一目瞭然だった。
そう。ボスと呼ばれる男の正体は、`鬼`だったのだ。
---
私は今、『鬼』と向かい合っている。
私は恐怖のあまり、必死に逃げようとした。
しかし、足を怪我していて、うまく歩けない。
私は壁の端まで後ずさっていて、さぞ見苦しかっただろう。
そんな私と比べて、
目の前にいる『鬼』は、
堂々と、
公然と、
--- …襖にしがみついて震えていた… ---
---
**天舞「早く動けよっっ!!!」**
鬼 「無理無理無理無理無理!!!!!」
竜翔「沙雪ちゃん困惑してるからっっっ……!!!早くしてよ…っっ!!!」
鬼 「ぜっったい無理だって…!!」
**天舞「いい加減人見知りなおせっっっ!!!!!!」**
鬼 「治せって言われて治せるものじゃないでしょ…!!」
目の前で、背丈180を裕に上回る鬼が震えながら棚にしがみついている。
よく見ると、少し涙目になっている。耳も真っ赤だ。
引っ張られるたびに悲鳴を上げながら廊下に出ようとしている。
沙雪「………?」
火影「…だから言っただろう。『鼓膜が破れないようにしろ』と。」
沙雪「……そういうことだったんですね…」
火影「………少し待っていてくれ。」
そういうと、火影さんは立ち上がって、鬼の方へ向かった。
火影「……。」
**ドンッッ!!!**
鬼 「!!!?!?」
**バタンッ!**
火影さんが鬼の背中を思いっきり押し、鬼は床に倒れた。
何が起きたか分からずに硬直した鬼の背中を、天舞さんと竜翔くんが押さえる。
鬼がパッと顔を上げた。
その瞬間、私と鬼はしっかりと目が合った。
鬼 「……!!!!…………//////」
**「わああぁあぁあぁぁぁ!!?!」**
**バタバタバタッッ!!!**
沙雪「!!?」
天舞「竜翔!!離すなよ!!!」
竜翔「落ち着いてってばーー!!!!!」
なんだか、私よりも慌ててない…?
---
鬼 「…はぁ……」
火影「落ち着いたか?」
鬼 「うん……グスッ…」
天舞「なんで泣いてんだよ…?」
鬼 「だって…恥ずかしいんだもん…」
竜翔「『ここに連れてきて』って頼んできたのあなたでしょ?」
鬼 「そりゃそうだけどさ…まさかこんな早く目を覚ますと思わなくて…」
火影「お前は自らの力の強さを自覚しろ。」
天舞「あの矢をさわれるやつなんて大体バケモンなんだしよ!」
火影「そんな人の治癒魔法なんて、強力に決まってるだろ?」
鬼 「そんなに怒んないでよぉ…」
ボスが…鬼が…怒られてる…?
沙雪「…………あの…」
鬼 「……ん…?」
沙雪「…あなたがここのボス…ですか…?」
鬼 「え!?……天舞、また変なこと言って脅したの…?」
天舞「えー俺知らなーい(棒)」
鬼 「………はぁ。違うよ。ここにボスなんていないよ。」
沙雪「そうなんですね………あ…あの……名前…聞いても…?」
鬼 「あ!そうだね。自己紹介がまだだったね…!」
「僕の名前は**|灯和《ひなぎ》**。よろしくね。」
沙雪「あ…神月沙雪です…よろしくお願いします…」
灯和「そっか、いい名前だね。」
沙雪「…ありがとうございます…!」
「…………あの…なんで私をた
**ガラッッ!!!!!**
**天舞「おいっ!!外で妖怪が暴れてる!!」**
灯和「!?ほんと!!?」
沙雪「えぇ?!大丈夫なんですか…?」
灯和「ごめん沙雪ちゃん!少しついてきて!!」
ヒョイっ
沙雪「え、ええぇ!!?」
火影「灯和から離れるなよ。」
竜翔「説明は後でするからっ!」
**ダッ!!**
**沙雪「え…ええぇえぇぇ!!!!?!?」**
---
第二話 〜完〜