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夢の中で
最近眠れない日が続いている。
いつからだったっけ。
そう、あれは忘れもしないあの日だったな。
ずっとしまってた記憶。
心の奥に封じ込めてた記憶。
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「ママ、死んじゃうの。」
小学1年生の弟、大輝がグズっている。
「う〜ん。」
と、困り果てているのは頼りない父。
私はというと、中学2年生の生意気な女子。
この場にはいないけど、お母さんを忘れちゃいけない。
お母さんに病気が見つかったのは、私が2年生になるタイミングでだった。
よく知らない、教えてもらえないけど、悪い病気なのは分かった。
病気のベッドに横たわる母は弱々しくて、少しだけ泣いた。
「ママ、いつ返ってくるの〜。」
相変わらず大輝はグズる。
父は頼りなくて、母はいない。いるけど、ここにはいない。やっぱり少し悲しかった。
朝ご飯は私が作らなきゃいけないし、大輝はまだまだ手がかかる。父をできるだけサポートするために、部活には入らなかった。
「ごめんね。心配かけて。ごめんね。」
ここ最近お見舞いに行くと、母は必ず涙を流しながら謝りだすようになった。母に流れると、こっちまで涙が出てくる。
「ごめんね。ごめんね。」
ううん。とも、そんなこと言わないで。とも、言えず、私は母のてをさすった。
ねぇ。神様。
いるなら聞いて。
母さんを助けてよっ!
いつの間にか寝てしまったみたいだ。
夢の中なのか、フワフワしてる感じがする。
「〇〇」
誰?
「〇〇」
かあ、さん?
「あなたは大丈夫。大丈夫だから。」
母さんっ!
声にならない、なのに涙が止まらない。
「母さんっ!私、私。」
背中をさすられ、嗚咽が少し落ち着いた。
「〇〇は大丈夫よ。前を向いて、しっかり生きなさい。」
うん、うん。
薄れゆく意識の中で、私は何度も頷いたのだった。
そっと、薄目を開けた。
さっきまでの夢、あれは、きっと励ましてくれたんだと思う。
不安で、不安でたまらない日々はいつ終わるか分からないけど、
私なら大丈夫って母さんが後押ししてくれた。
「かあ、さん。」
すうっ、と涙が流れた。
これで悲しむのは最後にしよう。
でも今は、
今は、泣かせてください。悲しませてください。
前を向いて生きていきます。
母さんの分まで生きていきます。
天国で見ていてね。
愛してるよ。母さん。
自主企画主へ
いつもコメント等ありがとうございます!
やる気が満タン越えて、ぶっ壊れそうです。はい。
これからもよろしくです。m(._.)m