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        警告
へたくそ注意報が発令されました。
へたくそでも良ければご覧ください。
    
    
    《冥視点》
焚き火がパチパチと音を立てながら火花を散らす。
私は沈黙に耐えきれず口を開いた。
「どこから……話すべきかな……。」
冥はソッと目を閉じて、記憶を辿り始めた。
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私達、陰陽家は、竜と人の間に生まれた種族。
この世界に二頭しかいない竜と共に生きているの。
昔は寿命が長かった人もいたらしいけど。
今は竜と話すだけしかできなくなった……。
そして、陰陽家に生まれた私と兄は、それぞれ二頭の竜と生きる役目を与えられた。
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「なぁなぁ冥!」
「なぁに?」
若干興奮混じりな兄に呆れながら私は言う。
兄はもう17歳なのにどうしてこうなのだろう?
二歳下の私の方がしっかりしてる気がする。
「そろそろ竜の名前決めね?だってさ、君とか、冥竜とか呼ぶのも面倒だしさ!」
「なるほどね。うん。私は決めてくる。」
「のぉ!一緒に決めようよー!冥……。」
兄を無視して、私は天竜のところへ向かった。
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……ここで兄の寂しそうな顔に気づいていれば、何か変わったのかな……
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「天竜!今から名前決めるよ。」
「えぇ~!急すぎない?」
「急だね。正直なんでもいいし。」
「えっ!?変なのはやめてよ!スーパーグレネードヘビードラゴンとかやめてよ!」
「やるわけないじゃん。う~ん。|天《ソラ》……とか?」
「いいね。」
「じゃあ、よろしくソラ。」
「素っ気なさすぎだよ~!」
ソラは笑う。
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貴方が笑ってるから、私は満足しちゃったの
……兄は大丈夫だろうって……
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「竜の名前決めた?」
「うん。ソラにした。」
「俺は……■■■にした!何でかって言うとね……
「興味ない。」
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……私は兄のこと……分かってた気でいただけなんだ……
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「今日はひどい嵐だね。ソラ。」
「あぁ……。嫌な予感がする……。」
ソラは低いうなり声をあげる。
私はそんなソラを宥める。
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どうして……ソラばっかり気にしてしまったんだろう……
どうして……兄に寄り添わなかったんだろう……
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--- トントン ---
戸が叩かれる音がした。
戸を開けると、笠を被った男がいた。
杖をついているそいつは真っ赤に赤い目をして、ニタッと笑う。
「一晩、雨宿りをさせていただけないでしょうか?」
「あなたは……?」
「あぁ……私は呪家 禍(じゅけ わざわい)と申すものです。呪い師、とでも呼んでくださいな。」
禍。
そう。
この男が陰陽家の災いそのものだった。
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「冥……?この男は……?」
「禍さん。雨宿りさせてほしいんだって。」
「こんにちは。お兄さん。」
禍さんはにっこりと笑うが、兄は訝しげに禍さんを見ると、私を庇うように後ろへやった。
私はそれが腹立たしかった。
私は前にでる。
すると、兄は困ったような顔をする。
「冥……この男は危な……
「私も、もう子供じゃない。自分の身は自分で守れる。お兄ちゃん、初対面の人に対して危ないとか、失礼じゃない?」
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……これが、優しさだって気づいたら……
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翌朝、父の怒声で私は目が覚めた。
ゆっくりと怒声のする方へ近づいて耳をすませる。
「天を呪家の養子に!?冗談じゃない!いい加減にしろ!とっとと出てけ!」
「いやいや、お父さん。子供の意志も大切にね。」
「天!養子になりたいのか!?」
こっそり覗くと虚ろな目をした兄がそこにいた。
「俺は…………………呪家の…………。」
兄が苦しそうな顔をする。
「……養子に……なり……たい………。」
「本当か!?」
父は取り乱す。
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けど、ここからが……悪夢の始まりだったんだ……
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--- グオォォォォン!! ---
竜の咆哮が聞こえたかと思うと、屋敷が壊れた。
降り注ぐ屋敷の残骸。
死んだ。
と思い、目をつぶる。
しかし、いつまでたっても痛みはこず、目を開けると、ソラがいた。
苦しそうに鳴くと、いつもの人の姿に戻る。
禍の舌打ちの音が聞こえてきて、気がついたら冥竜と兄と禍は空に消えていて、私たちのところに残ったのは、屋敷の瓦礫と両親、冥天丸!呪われた天竜だけ……。
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竜が呪われたと考えた父は、天竜を、ソラを人が少ない山へと隔離した。
父の予想通り、竜は呪われてしまい、夜に狂うようになった。
契約者、陰陽家の命令も聞かなくなってしまった。
私は兄と冥竜。
そして、禍と呪いを解く方法を探して旅にでた。
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「そして……今に至るの。」
ソラはやっぱり呆然としている。
それもそうだろう。
記憶も無いのだから。
しばらくの沈黙を後、ソラは口を開いた。
「それじゃあ……俺が村の人を食っ……た……?」
やっぱり、気づくよね……。
嘘をついた。
胸がチクリと痛む。
「ごめんな……さい。」
「なんで謝ってんだよバーカ!」
「へっ?」
「へっ?じゃねぇんだよ。すぎたことはしゃあない!いつまでもうじうじしてちゃダメなんだよー。」
ソラが私のおでこをはじく。
少しムッとする。
「男子ってなんでこんなドライなの?」
「知るか!というかやることは決まってるじゃん!冥竜と冥の兄ちゃん取り返して、禍って野郎をぶっつぶす!」
あ~あ。
なんでソラってこうなのかしら?
なんでこんなに明るくて、真っ直ぐで単純なのかしら?
まぁ、確かにうじうじしてても仕方がない。
私は立ち上がる。
「よし!行こう!」
    
        なんか
俺たちの戦いはこれからだ!
みたいに打ち切れそうな感じで終わった。
今回長かったね……。
えっ?ここまで見てる人いるわけない?
まぁ、確かに……