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みずいろもみじの過去
「やめて...」
今日も、わたしは暴力を振るわれた。水色の髪が気持ち悪いとか、鬱陶しいとか___
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10月3日、わたしたちは生まれた。双子の妹・水色楓も生まれたのだ。
楓はオレンジがかった茶色の髪で、わたしは水色の髪。髪の色も相まって、わたしは水色が大好きだった。
でもある日からか、なぜかはしらない。幼稚園に入ってから、虐待を受けるようになった。
水色の髪が気持ち悪い。鬱陶しい。なんで楓は活発なのに、あなたは弱いの。
母からうけた暴言の数なんて、もう数えるのを辞めた。殴られて、顎から首にかけて、アザもできた。それでも、学校に行けたから、まだ幸せだったかも知れない。
助けられなかった。父は、他界していたらしいから。
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小学校2年生の時、とある子と仲良くなった。オレンジがかった茶色っぽい髪は、楓と同じ。わたしはその頃、黒く髪を染めていた。
隣りに座った彼女は、活発そうで、本当に楓みたいだった。ひょっとしたら、わたしじゃなくて、彼女が楓の姉なんじゃないかと思うくらい。
「なあなあ、」
彼女が話しかけてきた。どぎまぎするわたしを無視して、彼女は喋りだす。
「今日さ、公園行こうや」
「えっ…?」
「うちは木翠四葉。あんたは?」
「___水色、紅葉」
木翠四葉、だった。自己紹介したはずなのに、頭からそのことがスルリと抜けていた。
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公園で、滑り台をして遊んだ。そしたら、「綺麗」という、四葉の声がした。四葉がてっぺんにいて、わたしが段をのぼっているとき。
「水色」
「え?」
「髪が。水色っぽい」
一瞬、凍りつきそうになった。髪が伸びて、水色髪が出てきたのだ。
「あ___」
「え、どしたんっ?」
その時、何を話しただろう。でも、「母に殴られて、好きな水色髪を黒く染めなきゃいけなかった」ということだけは話した。
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いろいろあって、わたしは母と離れた。叔母の家に住んでいる。
そして、四葉から「もう染めんのやめたらどうなん」と言われ、染めるのをやめた。そして、小5の時、村作紫桜と出会った。司会として抜擢され、野薔薇とも知り合った。
今、ここにわたしがいるのは、四葉のおかげだ。
ありがとう__