拾伍．本能的な恐怖と闇

アデンス「…ぁ」 ドォォォォォオオンｯｯ 連合「アデンスｯ⁉」 土煙が立ち上る中、強烈な揺れと爆音と共に悲痛な叫びがあたりに響いた。 アデンス「…ｯあ”…ｯ」 岩にその体をまともに叩きつけ、少女は気を失いそうな痛みと戦っている中、 その散漫な思考と歪んだ視界＿＿だが、確かに少女は ＿＿目撃する。 緑谷「…ふは、ｯ…はは…ｯ」 雨天「…ｯｯｯ！」 もはや人間の域ではない＿＿。 一斉に押し寄せる威圧感、恐怖、そして＿＿＿。 ＿＿＿少女は本能的に感じ取った。 自分は、＿＿＿＿＿。 雨天「__…無理だ、無理だコレ…ｯ__」 --- 「勝てない…ｯ！」 --- 最早正気の沙汰ともいえる不気味な笑みを顔に張り付けた少年は＿ クルッ 緑谷「…、」 七夜「…、！」 自身の敵を排除するために__動き出した。 ダンｯ 七夜「＿＿＿ｯ！」 ドォォオオオオォォォオオンｯｯｯｯｯ！ チｯ ブシャｯｯ 七夜「くｯ…！」 (頬に掠っただけでこの威力…この風圧…ｯ！まともに食らったら…) --- ど　う　な　る　、　？ --- 七夜「ｯｯ！（ゾｯ」 (考えるな、戦え…戦え…ｯ！) 恐怖で一瞬鈍った思考と、動き。 ＿＿その一瞬を見逃さず、彼は素早く間合いに入り__。 七夜「避けｯ切れな…ｯ！」 ゴォォォォｯｯ 七夜「…ｯ！（ギュｯ」 少年が自分の敵を抹殺するべくこぶしを振り下ろし、 七夜が痛みを、死を覚悟し、目をつぶったその時… ドォォォォォンｯｯｯ 大きな爆炎と黒煙があがる、 そして、一瞬動きの止まった少年に向かって＿＿＿。 シュンｯｯ 大量のナイフが降り注いだ。 間一髪でナイフ全てをよけきった少年の背後には＿＿。 アデンス「はは”…ｯ！あｯはははははは！」 少女は＿＿異様に黒く染まり、黒い粒子をまとい始めた左目から とてつもなく深く黒い闇を作り出し、自分ごと、少年を閉じ込めた。 ガンガンｯｯ 緑谷「…ｯ」 少年はその闇の結解を破ろうとするが、硬く冷たいそれは、 破るどころか、傷一つついていないように思える。 不思議とお互いの姿だけは見えるその空間で、二人は向き合い… 同時にお互いに向かって走り出した。 少年は少女の蹴りを体を捻って躱し、少女の足を掴みパンチを繰り出すが、 少女はそれを驚異の体の柔らかさで体を地面に押し付け回避し、 少年の手を掴み捻って、少年が手を緩めた一瞬で距離をとった。 少年が少女に向かって拳を振り上げると、少女はとっさの判断で 側転し、その後その勢いで飛び、回転踵落としを少年の頭に叩き込んだ。 それをもろに食らった少年は倒れこんだ。 少女はそのまま＿＿＿＿。 雨天「＿＿＿、」 少女が目覚めると、そこはいつもの古びたBARだった。 --- アドミニストレーター「起きて、起きてよ…」 --- 「アデンス…ｯ！」 --- 少年少女の目の前では、今まさに自身の瞳の闇に飲まれようとしている 少女の姿があった。