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うるさいテスト
あれから少し日が経ち…
「起きろ監視対象」
朝から最悪の声で意識が浮上した。
「……言い方!!」
カーテン全開。
視界が光に殴られる。
「本日、定期考査です」
天使がいつも通り無駄に丁寧な口調で告げる。
「知ってるよ!!」
悪魔と天使に挟まれて迎えるテスト当日の朝。
どう考えても人生の設計ミスである。
◆ 朝から査定モード
「緊張してますね」
天使が言う。
「誰のせいだと思ってんだよ」
「適度な緊張は加点対象です」
「評価制度やめろ」
悪魔が欠伸をした。
「別に赤点でも死なんだろ」
「悪魔が教師より現実的なこと言うな」
「破滅ではない」
「慰めになってねぇよ!」
◆ 問題は常に理不尽
教室。
配られる問題用紙。
開いた瞬間、俺は悟った。
「終わった……」
「まだ開始五秒です」
「この時点で諦めるのは減点だぞ」
「評価が早すぎる!」
(※学校内では頭の中で会話してます)
第一問から知らない世界。
見たことのない数式。
異文化交流か。
周りから聞こえるカリカリという音が余計に知らない世界に来たような感覚になる。
いや待て。
同じ教科書使ってたよな?
同じ授業受けてたよな?
なんで俺だけ異世界編に突入してんだ。
◆ 介入業務、開始
「落ち着いてください」
天使が冷静に言う。
「無理だろこの問題!」
「まず設問を整理しましょう」
「時間ないんだよ!」
悪魔が覗き込む。
「書け」
「何を!?」
「それっぽい何か」
「悪魔が一番ダメな助言してきた!」
考えろ。考えるんだ…。
こいつらは当てにできない。
昨日やった範囲だろ。
見たことあるだろ。
あるよな?
……あれ?
待て。
昨日、俺なにしてた?
「空欄は避けるべきです」
「無理に埋めると事故るぞ」
「正確性が重要です」
「勢いも大事だ」
「どっちなんだよ!!」
俺の人生、選択肢がうるさい。
集中できない!
◆ 禁断の誘惑
「カンニングという手段も」
悪魔がさらっと言った。
「やめろ!」
「合理的な選択だ」
「破滅ルート推奨すんな!」
「規約違反です」
天使が即座に却下。
「倫理観担当きた」
「当然です」
「でも見て見ぬふりも可能だぞ」
「悪魔が監督官より悪魔してる!」
◆ 採点会議、開催
「この問題は部分点ですね」
「いや減点だろ」
「採点すんな!!」
「論理構成が甘いです」
「時間制限を考慮しろ」
「教師みたいな議論始めるな!!」
答案用紙が戦場になっている。
◆ 時間という名のラスボス
「残り五分です」
「早すぎるだろ!?」
まだ何も終わってない。
というか何も始まってない。
時間だけが一方的に終盤戦。
俺の答案、まだまだ序盤。
「焦りは判断力を鈍らせます」
「もう鈍ってるよ!」
「祈れ」
お願いだから役に立つアドバイスをくれえええええ!!
◆ 終了
ついにチャイムがなった。
終了。
俺は机に突っ伏した。
「……無理」
「お疲れ様でした」
「平均点寄りだな」
「なんで分かるんだよ!」
「顔」
「顔で人生評価すんな!」
◆ 今回の結論
やっと家に帰れた…。
椅子に座った瞬間、体から魂が抜けた。
テストってこんな命削るイベントだったか?
いや違う。
原因は確実に――
「お前らだよ……」
「なにが」
「今回の査定結果ですが」
疲れすぎて聞く気になれない。
天使が書類を見る。
これまた嫌な予感しかしない。
というか、こいつらが書類を出す時点でろくなことがない。
「……保留ですね」
「またかよ!!」
悪魔が肩をすくめる。
「普通すぎる答案だった」
「答案にまで言う!?」
「突出も破滅もしてません」
「評価が地味すぎるんだよ俺の人生!!」
「まぁ」
悪魔が笑う。
「次のイベントに期待だな」
「人生を連載作品扱いすんな!」
――テストは終わった。
だが俺の査定地獄は終わらない。
たぶん永遠に。
いや、規約が続く限り(はやく終わってくれえええええ!!)。