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灰色の花園
てくてくてく
「ここは…どこ…?」
周りには灰色薔薇が咲き誇り、棘で足や腕を切りつけていく。
いったいこの花園はどこまで続いているのか。その疑問に答えるものはいない。
「誰か…たすけて…!」
SOSも虚しくひびくだけ。
いつまで経っても目の前の景色は灰色のみ
いったいどのくらい歩いているのか。
?「おい、そこのやつ。なにもんだ。」
いきなり後ろから声が聞こえた。
思わず体がびくりと跳ねる
「おい、聞いているのか。」
恐る恐る後ろを振り返ると,灰色のニンゲンが立っていた。
いや、ニンゲンなのかもあやしい。
体には,無数の灰色の薔薇が咲いているから。
「おまえ、この世界に迷い込んできたのか?」
「…気づいたら,ここにいた。」
「ほお、「バイリの迷子」か、珍しいな。」
薔薇ニンゲンがジロジロ体をみる。
「こっちに来い。」
いきなり歩き出した。
慌てて後を追う。
「ここだ。入れ。」
指さす先には1軒のログハウスがあった。
この家も灰色の薔薇に覆われている。
キィーガチャン
「食え。」
差し出されたのは,灰色のスープだった。
「…おいしい!」
味はコーンスープに似ていた。
「お前,帰りたいか?」
「うん。帰りたい。」
「…わかった。あの門をくぐったら戻れる。もうこっちにこないようにしろよ。」
キィーバタン。
扉が閉まる。
門をくぐると、意識をうしなった。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響く。
なんだか、とても長い夢を見た気がする。
席をたち、学校の教室をでる。