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裏の裏は表だし、素直じゃなかったりする。
いぇーい!!!!!!!!
焼け焦げた匂いと、煙があたりをおおう。大量の瓦礫は、一体全体どこのものだったのだろうか。形を無くしたそれらの名前を、知る術はない。
「まだ諦めてくれないの?大人しく僕に殺されてよ」
絶対零度の瞳でそう笑う彼は、私の好敵手、ルルア。
「嫌よ。アンタこそ、はやく諦めてくれない?」
イラつく彼に、私は余裕を浮かべた笑みで返した。
私はリリィ。この荒廃した世界で、魔術師として生きている。争いの絶えないこの世の中。誰もが、朝日を見るために必死になっている。
食料、消耗品、日用品、住家、娯楽、すべてにおいて、奪い合いの世界。私も、その奪い合いの中生きてきた。
そんな中、ルルアとは、たまたま出会ったのだ。
私が、廃れた雑貨屋で暮らしていた男共を襲撃して、用品を奪おうとしていたときだった。
「もーらいっ!」
私の手にあったそれを、攫う影が横切った。
「んなっ!?」
コイツは私の手柄を横取りするのか。
驚いた私は、すぐに杖を構えて、火球を放つ。燃え盛るそれは、まっすぐ影に向かって飛んでいった。
はずだった。
「んもぉ、危ないなァ!」
サクリ。まるで、豆腐を切るかのように、私の火球はその影によって真っ二つにされた。
「はっ!?」
目を丸くする私。その時調度、光が差し込んできた。それによって、その影の顔があきらかになる。
「アンタ...まさか」
思わず声が出る。そう、ソイツの顔は___
「そう、皆様ご存知、盗賊のルルアだよ」
あたりで『危ない』と噂されている男、ルルアそのものだったからだ。
盗賊のルルアといえば、他の奴が殺した人間の荷物を根こそぎ掻っ攫い、それでやりくりするというハイエナのような汚い奴だ。
そんな奴が私を標的に・・・などと考えながら、私はロープを強く握る。
ちなみに、あのあと私は魔術によってロープで彼をお縄にかけた。
「それで...私のモノを奪おうとしたと?」
「そうだけど...悪い?」
それが僕の生き方だからさ、と悪びれもせず笑うルルアを、私はさらに締め上げる。
「あだだだだっっっやめてよリリィ」
「謝りなさいよ___は、なんで名前知ってんの?」
おかしい。私とコイツは初対面のはずだ。不信に思い、私は彼を問い詰める。
「いやぁ、僕が欲しいもの、キミが持ってるんだよね」
それで調べたんだよ、と笑うルルア。イラついたので杖で殴っておく。
「あだぁっ!?キミ魔術師だよね!?なんで武力行使!?」
「うっさいだまれ」
「ひどい!!」
きゃんきゃん喚くルルアを無視して、私はもう一つ彼に問う。
「私が持ってるものって...?」
すると、ルルアは私の胸あたりを指差した。
「その、ペンダントだよ」
母の形見のペンダント。月の形に切り取られた宝石が、紐から吊り下がっている、大切なものだ。
「...母の形見よ。奪われる訳にはいかないわ」
そう言いながら、私は杖を構える。縄に縛ってあるのだから、この距離なら確実にあたるだろう。
「悪いね。ぼくにもそれが必要なんだ」
ルルアの浮かべた笑顔には、焦りが滲んでいる。このペンダントに、どんな力があるのかは知らないし、知ろうとも思わない。知ったとて、使いこなせないだろう。なら、
「もし本当に欲しいなら、私を殺して奪いなさい」
確か、ルルアという盗賊は殺しをしないことで有名だったはず。この条件なら、すんなり諦めてくれるだろう。
「あっそ...じゃあ」
ザクリとなにかを切る音が鳴る。
「僕が、殺してあげるよ。キミのコト」
ナイフが、私の首に突きつけられた。
「やれるもんなら、!」
その出会いから、私とルルアは会うたびに喧嘩と称した殺し合いをするようになった。ある時は森で、ある時は市街地で、ある時は家屋で。何百何千となる喧嘩は、私達の生きる意味にもなっていたかもしれない。
今日だって、いつものように戦っていた。
「ッ、は!」
飛んできたナイフが頬を掠める。薄く、血が流れた感触がした。
「ほら、しっかり避けないと、殺されちゃうよ?」
余裕が出てきたのか、にたりと笑うルルア。でも油断は禁物だ。
「ルルア、忘れてない?」
私が、炎を飛ばす魔術師だってこと。
「ッッ!!!」
私の周囲を囲っていた炎が、全てルルアに向かって飛んで行く。空気をも焼く灼熱の炎は、ただひたすらに目の前の好敵手だけを見ていた。
「っと、んとに危ないなァ!!」
飛んできた炎を切り裂きながら、ルルアは倒れた電柱などを足場にこちらへ飛んで来る。咄嗟にバリアを張ろうとしたが、この距離だと間に合わないだろう。
「もらったッ___!!」
歪な打撲音が鳴る。
「なーんて、ね」
笑ったのは私だった。
「私が炎とバリアだけの魔術師だとでも?」
あんなに戦ってきたのに、気付かなかったのか。なんて、どこか残念に思いながら、私は吹っ飛んでったルルアに近づく。
「もちろん、身体強化の魔術だって使えるわ」
あの時私は自分を強化して、やってきたルルアをはじき飛ばしたのだ。
「さてと...今日も私の勝ちね」
傷を押さえて痛みに悶えるルルアの真横に、私は杖を突き刺す。
「次は殺せるといいわね」
そう言う私に、ルルアは恨めしそうな瞳をしながら口を開いた。
「|だいっきらいだ《愛してる》よ」
「__私もよ」
--- **裏の裏は表だし、素直じゃなかったりする。** ---
殺し合いならぬ殺し愛!!!
なんか思ったのと違うのになったぜ!!!
いやぁ・・・最初はばっちばちにグロくしようと思ったんだけど・・・
着地点が意味不明ですね!!!
そして何気に活休復帰後初めての小説だったりする()
じゃ、また何処かで!