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溶ける
4月に入社したばかりの会社 周りの人達にも恵まれて特にストレスなく過ごせてる
でも見た目にちょっと敏感でコンプレックスもあるから いつか失望されないかが唯一の不安だ
それから、俺は夏が大嫌い。暑いしジメジメして体が溶けてしまう。
そんな7月の朝
「おっ、村田じゃん!なんか眠そうだけど、ダイジョブ?笑」
同僚の今井が声をかけてくる
「鋭いね 昨日ゲームしすぎちゃった」
出社後の何気ない光景だけど、いつまでも続いてほしい大切な時間。
仕事して
たまに褒められて
たまに怒られて
同僚と飲んで
家に帰ったら寝て
こんなに幸せで人間らしい生活送れるなんて、逆に運が良すぎる気がする
お昼休み中の時、こんな会話をした
「なぁ今井 今日の俺、なんか変じゃないか?」
「まーた聞いてきた そんなに気になるのかよ!」
「意外と気にしちゃうんだって ほら、どう?髪の毛とか目とかさ」
「別に何も変じゃないって!もう、毎日うるさいな〜」
俺は見た目とか結構気にする方。 だってみんなから変な目で見られたくないから。今のご時世、見た目は最重要項目になってくる。自分もかなりコンプレックスがあって、まともに鏡すら直視できない。
まぁ一応、特に気を使ってるのは目。目元の第一印象は大事だし なにより、色々難しくて困る。1番苦戦するパーツだ
でも最近街を歩いていると、数人が俺の顔を化け物を見るような目で見てくる 俺の顔に何か付いているのだろうか、と恐る恐る鏡を見るが何もない。
それは月日が経つにつれて人数が増えていった。怖い。人に顔を見せるのが億劫だ。最近では会社のどこかの部署で、「アイツの顔は人間の形をしていない」「よくあれで人間名乗ってるよな」なんて酷い事も言われていたらしい。
ついには唯一の理解者である今井も、少し引きつった顔をするところまで来た。
もう我慢できなくなったから、会社の屋上でこっそり顔をペタペタ触ってみた。
「あ、皮膚溶けちゃってる」
僕は露出した化け物の顔を隠すように また皮膚を整え始めた。
おしまい
この語彙力でストーリーが伝わっているなら幸いです
【理解できなかった人用↓】
顔にコンプレックスがあり、日頃気にしている様子の村田(俺・主人公)。それは自己肯定感が低いから、ではなく中身が化け物だから。
この異常な暑さで気付かぬうちに皮膚が溶けてしまい、化け物の部分が露出してしまっていた、というオチです。
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不穏書こうとしたらガッツリホラーになっちゃいました
今井視点も考えてみたい感じ
素人の記念すべき第一作目、終了です。