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バイクの運転中に起きた悲劇
唯
俺は彼女と今バイクで走っている。
そして、数分前バイクのブレーキが壊れているのに気づいた。その前まではちゃんと反応したのに。そう考えていると、彼女が話しかけてきた。
「ねぇ、なんかスピード早くない?」
「怖いの?」
俺はその問いに素直に答えずに別の言葉で返した。
「怖いよ。だから、スピード落として!」
「わかった」
・・・多分、彼女との時間はこれで最後だ。俺は少し願いを織り交ぜて言ってみた。
「じゃあ、俺に愛してるって言って?」
「愛してる! 大好き! ・・・言ったよ?だから早くスピード落として?」
「あぁ。その前に俺を抱きしめて? 今までにないくらいの強さで」
「わかった。・・・したよ? 抱きしめたよ? だから早くスピード落として!!」
さすがにもうきついか。俺はそう思い彼女に言った。
「じゃあ、最後。俺が被ってるヘルメットを被って?」
そうすれば俺は助からずとも彼女だけは生きれる。
「被ったよ? ねぇ、早く落としてよ!!」
これで彼女が助かれば俺は悔いはない。
そうこうしてるうちに正面からトラックが来た。
「ありがとう、愛してる」
キキィ、
バイクの車体が地面に擦れる音があたりに響いた。
『続いて朝のニュースです。
昨夜バイクで走っていた男女が交通事故に遭い、意識不明の状態で病院に救急搬送されました。
男性の方は頭を強く打っていた為、数時間後死亡が確認されました。
しかし、女性はヘルメットを被っていた為、重傷を負いましたが命に別状は無いとのことです。
なお、事故の原因としてはバイクのブレーキが壊れていたとのことです。』
「お前が生きてくれて良かった」