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ありのままで。
「本当は、ありのままの僕で、みんなに向き合いたい。だけど・・・・・それは自分勝手なわがまま で・・・誰も本当の僕なんて、望んでいない気がして・・・」
正直、自分でも驚いたんだ。
本音を口にして・・・・みっともなく涙を流している自分に。
「・・・・・分からなくなったんだ」
ああそうか・・・・僕は、分からなくて、苦しかったのかな。
ほかの人からしたら、きっと大したことのない悩みなんだと思う。
そんなこと気にせずに黙っていろって思われる悩みなんだ。
分かってる。でも・・・僕はどうしても納得出来ない。
みんなをガッカリさせてる僕が、許せない。
完璧に、みんなが望む「アイドル」を演じられない自分が・・・・許せなかった。
「僕って・・・・・・なんだったっけ」
こんな事言っても・・・マネージャーの君を困らせるだけなのに。
「はは・・・・ご、ごめん・・・泣くとか、かっこ悪いよね・・・・」
止まれ・・早く泣き止むんだ。
乱暴の涙をぬぐう。でも、ぬぐってもぬぐっても、視界がまたにじむ。
どうしようと僕が困っていたら、君が突然僕に手を伸ばしてきた。
小さな手が、僕の両頰にそっと触れられる。
まるで宝物を扱うかのように、優しい手つきだった。
「・・・・なん・・・で?」
「そんなに難しく考えなくていいんです。これが貴方です。」
「・・・・・・え?」
「可愛くても、そうじゃなくても、ここにいるのが貴方。」
「・・・・・・っ」
これが・・・僕?
かわいくなくても・・・・?
僕が思う、理想の自分じゃなくても・・・・・?
「どんな性格でも何が好きでも、貴方は貴方です。」
君の言葉はどうしてか・・・・いつも素直に心に入ってくるんだ。
君の目は誰よりもまっすぐで・・・・・その言葉には、いつだって感情が乗っているから。
「ファンの方々は、ありのままの貴方が見たいって思っていると思います。それに、貴方は可愛さ が取り柄だみたいな事を言いますけど、それ以外にも貴方には沢山の魅力があるんですよ。」
「っ・・・ありがとうっ・・・」
「次は、貴方の番ですよ。さあ、行って来てください。
ありのままの貴方でね。」
「うんっ!」