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地獄から抜け出した天使
KENは、伝説のミュージシャンだ。
魅了された人も数多く…多すぎるくらい。
そんな彼の歌が、私の生きるエネルギーだった。
歌姫、12歳。
ガシャンッ
「痛、ぃッ」
「ふふふ、、良かったわねぇ…傷のついた人なんて気味悪がられるんじゃない?フフッ」
「一体、誰のせいだと、っ」
「お姉ちゃんのせいじゃないもーんw」
「兎に角、片づけなさいよ?」
でも、っ腕が、
ぱっくりと傷が開いてる。
お母さんが、私が作った朝ご飯を引っ繰り返した。
わざと。
オマケに、皿まで落とした。
それがちょうど、片付けようとした私の腕に当たって、ってところ。
痛い。
もう、こんなのやだ。
「嫌だっっ!!」
「何っ⁉」
「はぁ!?」
急に叫んだ私に、お姉ちゃんもお母さんも驚いてる。
油断している今のうちに。
走って部屋からスマホと一つのぬいぐるみを取ってくる。
「な、何をしてるのよ?」
「一寸桜月?」
うろたえている二人に向けて放った言葉。
「今までお世話になりました。さよなら。二度と会いたくないです」
そして、家を飛び出して走った。
全く知らない場所。
電柱の表示を見ると、神山通りと書いてある。
…どこだろ、
「はぁはッ、は、ぁ」
とりあえず、ここまでくれば大丈夫かな。
今は真昼間。
本来ならみんな小学校に行って居るらしいけど、あ、でも今日は土曜だしないかなぁ…
私は洗濯とかお母さんのお昼ごはんとか作ってる。
今日から自分でやって、辛さを実感してほしい。
っていうか、
「腕痛い…」
改めてみると、左腕…それから背中が、、
背中は、実は家を出る直前に投げつけられてたんだ。割れた食器を。
それがもろに当たって。
服の上から裂けてるし…服着替えたいけど本当にないし…
もともと物はほとんどなかった。
大事なのはこのスマホと、お父さんがいなくなる前にくれたぬいぐるみ。
私の宝物。
「で、これからどうしよ…」
???「ねぇ、腕大丈夫?」
「わ、っ!?」
???「あ、びっくりさせちゃった、?ごめん…」
「いえ、大丈夫です、、えと、その…」
???「服もボロボロだし、、背中も血で染まってる。取り敢えず手当てしたいし、オレの家来る?」
「い、いいんですか、?」
???「大丈夫だよ。それに、ケガしてる人を放っておくなんてこと、出来ないからね」
「じゃあ、お願いします、っありがとうございます、!」
彰人「オレは東雲彰人。よろしくね。」
「私、八雲桜月です!」
彰人「大体タメだと思うし、敬語取ってもいい?」
「え、あ、っうん!よろしくね、東雲君…?」
彰人「呼び捨てでいいよ」
「ぇ、東雲?」
彰人「じゃなくて彰人!」
ま、間違えた…よく考えれば、苗字で呼び捨てにしろ、なんていう人も少ないだろうし。
それに、小さく笑う彼は、すごくふにゃっとしてる。
「彰人!ありがとう、…!」
彰人「、、うん」
彰人は、私の命の恩人だよ…
こんなに優しい人がいるって、人の温かさに触れるのって、
すっごく、久しぶり、、。
「取り敢えず手当て…」
「お、お邪魔します、?」
次回、お姉ちゃん登場?