公開中
road 〜1〜
一応第2話です。
あ、前ページプロローグでしたね。
一話目です。
僕は道を歩いている
歩いて、歩いて、歩いている
行き先はない
ただ、僕の感性と、少しの知能でこの道に立った
目的地は見えていないが
焦ることはない
もう何日も経ったが
急ぐ必要はない
これは旅だ。
そう自分に言い聞かせ、足を動かす。
僕が住んでいる街は小さく、周りに村などは見えない。
早々「街」という肩書きも|危《あや》ぶまれている僕の故郷は、
僕が結構な距離を置いたからか、元々ひっそりと孤立しているのも相まって余計小さく見える。
静かに別れを告げても返事をくれるのは家内くらいだろう。
顔を前に戻し、再び歩き出す。
後ろの街の気配すら感知できない程に道を行けば、やがて町が見えてくる。らしい。
小耳にはさんだだけだが、その町は人が住んでいないという。
廃村というやつだ。
廃村の歴はまだ浅いため、商店でいう「売れ残り」のようなものが乱雑しているかもしれない。
「そこを寄って何かもらっていこう。」
わざわざ頭で決意したことを口から出す。初めての旅、初めての“一人”。
緊張する。今は歩くだけで精一杯だ。
「,,,進まないと。」
進まないと何も始まらない。
何もできない。
寒く、冷たいこの狭い世界から抜け出すことも。
大丈夫。僕はきっとやれる。
行こう!
【願いの叶うあの場所へ】