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全ての世界が狂した時 第4話
~ラスside~
不気味な雰囲気を醸し出す校舎。
なぜか、窓の外は真っ赤な空。
この世のものではないような何かを感じさせる。
「Curse」
突然、後ろから不気味なほど透き通った女子の声が響き渡る。
「ラスさぁん───なんであの時、私を3階から突き落としたんですか?」
彼女の目には俺しか入っていない。
息を呑む。
なぜ、なぜ紗英ちゃんがここにいるんだ…
「ふふっ答えてくださいよ。悠餓くんと仲がいい私がウザかったんですか?それともー黒雪先輩と仲が良かったから?それとも、ただの腹いせ?」
鬼、だ───
間違いなく、今彼女は鬼になっている。
きっと、俺が紗英ちゃんを校舎から落としたせいで。
「あーあとそれと私知ってるんですよ?ガクさんも孌朱さんも、本当は私が落とされて嬉しかったんですよね?私見ましたよ?微かに楽しそうに私のことを見つめていたあなた方を」
その場が凍るように冷たくなる。
「さぁ───私を傷つけた分も、ぜーんぶその身で償ってくださいね♪?」
俺たち全員は走り出した。
逃げる以外の道はない。
紗英ちゃんはにっこり微笑んでから動き出す。
突然、どこかの教室の扉が空き、俺たち全員を押し込められた。
目の前にいた人物に目を見開く。
「悠───餓───」
自我をなくしたあの目ではない、昔の、1回目の人生を思い出すような不気味な目で、悠餓が俺たちを見つめていた。
「全く───何をやっているんだ」
彼の声は心から呆れているような音が混じる。
あぁ───
悠餓だ。
「おい、なんだこの匂い」
そしてふと、孌朱が悠餓にそう問いかける。
屑洟も、そういえば少し変な匂いがするねと言っていた。
「あぁ───これか。紗英が鬼になったから…治すためにずっと作っているんだ。何度かわざと自分で鬼になり試したりしたから、効き目はかなり保証できる」
悠餓はそう言うと、近くの大量の薬と思われる物を俺達に渡した。
「本当は念の為の予備だったが、特別に分けてやろうじゃないか。俺は紗英と終止符をつける」
悠餓のその言葉に、俺はいてもたってもいられなくなり、口を開いた。
「待てっ───なんで、悠餓が…。君を鬼にしたのも、紗英ちゃんを鬼にしたのも俺なのに、なんで俺たちを助けて、なんで君が命をかける必要があるんだ‼︎」
俺は、最も黒雪くんのことを何も言えない人だ。
黒雪くんが昔紫雲を鬼にしたように、悠餓は俺が鬼にして殺し、紗英ちゃんも俺のせいで鬼になったというのに。
悠餓は俺のことを無言で見つめてから口を開いた。
「過ぎたことだ───気にしない。お前はいつもうじうじうじうじ…鬼だった時の方が自分の意思がまっすぐで良かったんじゃないのか?」
悠餓はそのまま俺の胸ぐらを掴み、冷たい瞳で俺を見つめた。
「ハッキリさせろ。お前のやるべきことは何だ?やりたいことは何だ?やらなければならないことは何だ?さっさと決めて成し遂げろ。このノロマ」
「っ───」
あぁ、そうだ。
コイツはこういう奴だ。
だからずっと嫌いだった。
紫雲の双子だったのに、似ているようで正反対のような性格。
自我をなくした鬼となった時にはなかった彼の棘のある言葉。
「───紫雲が鬼になった。悪鬼の主のせいだ。俺は紫雲を助ける。必ず───」
俺のその言葉に、悠餓は少し目を見開いてから頷いた。
「兄さんのことは、頼んだ。気をつけろ。紗英以外にも鬼がいる。人の気配もする。絶対に、死ぬなよ?」
「お前もな」
微かに微笑んだ彼はそのまま教室を出ていく。
俺はポケットからフィンガーレスのレザーグローブを取り出す。
黒いそれに白色で小さく彫られているのはS.Lという字。
紫雲が昔、俺にくれた物だ。
俺はそれをはめながらガクに視線を向ける。
察したようにガクは同じ黒いレザーグローブをつけてから銃を取り出した。
「二手にわかれよう。俺とガク、そして残りの君たち。俺たちは悪鬼の主を探し出す。君たちは紫雲を頼む」
黒雪くんの目が呆然と見開かれた。
その後、力強い光が宿る。
「必ず全員で、また会おう」
~ラスside END~
あー夏休みの宿題一個しか終わってない
始業式は24日
そこまでは毎日のようにある塾
つまり
つんだ
はい
お久しぶりです。藤空木栾です。
最近読む専になっててなんか、w
投稿出来てません