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証拠集め
類「とりあえず、他のみんなの話を聞きながらこの旧館の中を調べてみようか」
類「さっきの大広間だけじゃなく、この旧館全体を現場として考えたほうがいいと思うんだ」
類「だってあの時の停電は、この建物全体で起こった事だからね」
司「あぁ、そうだな…」
えむ「捜査は足を使うべしって、昔の偉人が言ってたような…」
えむ「だからあたしも、旧館の中を無駄に歩き回ってるんだー!」
無駄なら意味ないだろ、それ……
類「………ねぇ、司くん。ちょっと思ったんだけどさ…」
類「もしかして、えむくんには、停電の時の状況が分かってたんじゃないかな?」
司「オレもそう思っていたところだ…!」
えむ「なになにー?あたしの名前呼んだっ?」
類「やっぱり聞こえたんだね、今のだって随分小声だったのに…」
えむ「えへへっ、あたし耳いいんだっ!」
司「なぁえむ、お前なら、停電の時に何が起きていたのか聞こえていたんじゃないか?」
類「あの停電の時…大広間のあちこちからみんなの声が上がっていただろう?」
類「僕らには分からなかったけれど…えむくんなら聞き分けられていたんじゃないかな?」
えむ「朝飯前だよ!まかせて!」
えむ「うーんと、あの停電中に1番最初に声を上げたのは…」
えむ「そうだ!咲希ちゃんだったはずだよ!」
咲希「わわっ!?て、停電だ!」
で、次が寧々ちゃん、その次が遥ちゃんだった!
寧々「な、何も見えない…!」
遥「み、みんな落ち着いて!こういう時は落ち着かないと!」
それで、次々に声が上がって…それぞれこんな感じ!
奏「ねぇ…貴方何してるの…っ?」
奏「やめて…!」
類「いてっ!」
瑞希「だ、だれか電気付けてきてよ!」
穂波「みんな、どこにいるの…?て、停電って、厨房だけじゃないんですか…?」
愛莉「これ、ブレーカーが落ちたんじゃないの…?」
えむ「はーい!以上でしたー!」
類「………………」
司「類?どうしたんだ?」
類「いや…少し気になってね、暗闇で宵崎さんが発した声がさ…」
司「宵崎の声…?」
類「宵崎さんはどうして、あの暗闇であんな事を言ったのかな…」
類「というより、《《言えた》》のかな?」
類「貴方何してるの?とか、やめて、なんて…」
司「…どういう意味だ?」
類「うーん、それはもう少し捜査した後でもいいかな?」
類「今はまだ確かなことは言えないから…」
司「そうか…」
類「でも、今のえむくんの証言は、重要な手掛かりになるんじゃないかな?」
えむ「えっ!ほんと!?」
えむ「やったー!褒めて褒めて!」
司「わ、分かったからグイグイ来るな…!」
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司「む…トイレに鍵が掛かっているな…」
類「誰かが入ってるみたいだね…男女兼用だから誰かはわからないけれど…」
司「ふむ…おーい!誰か入ってるか!?」
…………………
類「返答はない…みたいだね」
司「これじゃあどうしようもないな…後でまた見に来るか」
類「うん、そうだね」
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司「ここが事務室か…」
類「この事務室には、旧館のブレーカーがあったはずだよ」
司「ブレーカーか…あの停電と何か関係してそうだな」
類「調べたほうがよさそうだね」
あれが旧館のブレーカーか…
きっと、あのブレーカーが落ちたから停電になったんだろうが…
類「仕掛けがあったような痕跡は見当たらないね。他に怪しいところもないし…」
司「そもそも、ブレーカーの位置が高すぎるよな。踏み台に手を伸ばしても届かないぞ」
杏「そうなんだよねー…だから不思議なんだよ…」
こはね「あの停電の時は焦っちゃって忘れてたんだけど、椅子とかの踏み台に乗っても届かないんだよね…」
こはね「だから、停電の後で、誰がどうやってブレーカーを戻したのかなって…」
モノクマ「ボクがやったんです!」
杏「わわわ!?で、出た!」
モノクマ「オマエラがあまりにも停電に無策だから、ボクがブレーカーを入れてあげたんだ!」
モノクマ「あ、ちなみにブレーカーを落としたのはボクじゃないよ」
司「だ、だが、オマエみたいな小さい奴が、 どうやってブレーカーを…」
モノクマ「まず、ボクの目は夜目が利くので、見ることには全く支障はありません」
モノクマ「で、どうやってブレーカー入れたのかというと…」
モノクマ「あのね、伸びるんだよ。ボクの胴体。伸縮自在なの」
杏「う、嘘に決まってるじゃん!」
モノクマ「本当だよ?見る?」
モノクマ「モノクマの胴が長いバージョン見る?キモイよ。グロいよ」
司「や、やめておく…想像しただけで気持ち悪いからな…」
モノクマ「あっそ…じゃ、またねー!」
杏「なんだったの…」
杏「というか!ブレーカー入れたのはあいつだったんだね!」
類「まぁ、それなら納得だよね。僕でも届かないんだから…」
だとしたら犯人は…どうやってブレーカーを落としたんだ?
自分で落としたわけでも仕掛けを使ったわけでもないとなると…
このリモコンは…事務室のエアコンのだな
ん…?
タイマーが…11時30分にセットされている…?
確か、大広間にあったエアコンのタイマーも、同じ時刻だったはずだ
司「偶然…なわけないよな」
絵名「…知ってるよ。私を疑ってるんでしょ?」
司「え…?」
絵名「無理もないよね…急に停電が起きて、その最中に奏が殺されちゃったんだもん…」
絵名「旧館のブレーカーはここにあるし…事務室にいたはずの私が怪しまれるのは当然だよね…」
杏「いた《《はず》》ってことは…やっぱり、絵名さんは事務室にいなかったんだね」
杏「…でも、なんで?」
杏「絵名さんはここで、ブレーカーとジュラルミンケースを見張ってたんじゃなかったの?」
杏「それなのに…勝手にどこ行ってたの?」
絵名「それは……」
絵名「…っ!!う…っ」
東雲さんは突然うめき声を上げると、その場に片膝をついてしまった
司「ど、どうした!?大丈夫か!?」
絵名「ご、ごめん…ちょっと体調悪くて…」
こはね「あ、どこ行くんですか…!?」
類「東雲さん、この旧館の方はさっきから誰か入ってるみたいでね…」
類「ホテルの本館やコテージの方をおすすめするよ」
絵名「あ、ありがと…」
東雲は額に汗を浮かべながら、ふらふらとした足取りで事務室を後にした
こはね「東雲さん…どうしたんだろ…」
類「うーん、僕からは少し言いづらいかな…東雲さんに悪いしね…」
む?どういう意味だ?
杏「それより…いいの?あの人逃げたんじゃ…」
杏「逃げたってことは犯人で決まりだよ!ほぼ間違いないって!」
こはね「あ、杏ちゃん…!すぐ疑っちゃだめだよ!」
杏「う…っ…ごめん…」
こはね「…大変な状況だし…仕方ないよね…私の方こそごめんね…」
東雲さんが…犯人…?
本当にそうなのか…?
杏「んー、やっぱり絵名さんが犯人としか思えない…」
杏「事務室にいなきゃいけなかったのに、勝手にどこか行ってたし…」
杏「私とこはねは停電後、宵崎さんの捜索の時にすぐに事務室に来たんだけど…」
こはね「その時には…もう東雲さんはいなかったよね…」
杏「うーーん…あの人がブレーカーを落として、その暗闇に乗じて宵崎さんを殺したとか…」
類「…可能性としては考えられるね」
このジュラルミンケースは…
宵崎が回収した危険物を保管しておくための物だったよな
類「念の為、中を確認しないかい?」
司「だが、鍵が掛かってるみたいだぞ?」
類「大広間に置いてあったもう一つのジュラルミンケースの中に、それらしき鍵があったよね?」
類「一応持ってきたんだ。開けてみようか」
司「か、勝手に持ってきてよかったのか…?」
類「現場を荒らすのは禁止だったけれど…そうでもしないと捜査できないからね」
カチャカチャ…
類「ほら、開いたよ」
フォークにナイフ、包丁、鉄串なんかが詰め込まれている…
司「だが…犯人がここから何かを持ち出したとは考えられないな」
類「あぁ。このケースを開けるための鍵は、宵崎さんが持っていたケースにあったからね」
類「さて…事務室はこれくらいでいいんじゃないかな」
司「他に調べるところもなさそうだしな…そろそろ他のところに行くか」
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咲希「ねぇねぇ、あそこの壁だけ他の壁と色が違うみたいだけど…なんなんだろ?」
司「あぁ、《《防火扉》》だな」
咲希「あっ!学校で見たことあるかも!」
咲希「確か…火事の時に廊下を塞いで、延焼を防ぐんだよね!」
類「そうだね。どこの建物にもあると思うよ」
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司「なぁ、望月って、あの停電の時も厨房にいたのか?」
穂波「はい…最初は厨房だけが停電になったのかと思って、なんとか廊下には出られたんですけど…」
穂波「廊下も真っ暗で、何も見えませんでした…」
穂波「みんなの声が聞こえた方に向かって、壁伝いでそっちに行ったんです…」
穂波「そしたら大広間も真っ暗で…とにかく真っ暗でしたね」
司「ふむ…そこのキッチンのコンロを使えば、明かりになったんじゃないか?」
穂波「あ…それは無理なんです」
穂波「このガスコンロは、電気で制御してるタイプなので、停電の影響をモロに受けてしまうんですよ」
司「そうか…それなら無理だな」
火が使える場所だから、厨房には明かりがあったのかと思ったが…
そう簡単にはいかないか…
厨房の備品リストにある危険物は、宵崎が全部回収してたよな
類「このリストを見る限りだと…」
類「宵崎さんの死体のそばに落ちていたナイフは、この厨房にあった物でもなさそうだね」
類「どうやら、外部から持ち込まれた物みたいだ」
司「外部から…って、犯人はどうやって宵崎のボディーチェックをかいくぐったんだ?」
類「おかしいよね、誰に対してもボディーチェックは行われていたはずなのに…」
だとすると、前もって持ち込んでいた物をどこかに隠していたか…
類「それにしても、ここの備品の充実っぷりには驚いたよ」
類「BBQ用の鉄板に、鍋用のカセットコンロまで…」
司「む…だが、事件とは関係なさそうなものばかりだな」
司「どうでもいいんじゃないか?」
類「まぁ、それもそうだね」
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ここが倉庫…
埃っぽくて…薄暗い倉庫だな
司「蜘蛛の巣まで張ってるな…とても長居できる環境じゃなさそうだ」
類「…………………」
司「なんだ?大きな布が乱雑に突っ込まれてるな…」
類「テーブルクロスじゃないかな?」
司「そうか、テーブルクロスか…って、ん…?」
司「このテーブルクロス…血痕が付いてるぞ!?」
類「え、血痕?」
司「よ、よく見ろ!」
類「うーん…暗くてよく見えないよ」
司「とにかく!間違いないんだ!これは明らかに血痕だぞ!」
司「ということは、このテーブルクロスも宵崎の殺人に関わってると考えられるよな!?」
類「もしそのテーブルクロスに血痕が付着していたら、その可能性もあるかもしれないね」
司「だから、付いてるんだって!」
これって…アイロンか?
電源はついてないみたいだが…なぜアイロンが3台も置いてあるんだ?
類「停電直後、宵崎さんを捜してる時に僕も見つけたんだ」
類「その時は、3台とも電源が入ったままだったよ」
司「え、電源が入っていたのか…?」
類「あぁ。また停電になるとまずいから切っておいたんだけど…なんだか、作為的なものを感じるよね」
こいつは凄い荷物の量だな…
類「流石にこれを一つ一つ調べてる時間は無さそうだね…」
司「後回しにするか…」
類「ねぇ司くん。いつまでもこんな薄汚い場所で時間を潰してる暇はないし…」
司「む?あぁそうだな…そろそろ出るか」
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類「これで旧館も一通り調べ終わったみたいだね…」
類「だったらどうかな。一緒に宵崎さんのコテージに行かないかい?」
司「宵崎のコテージ…?」
類「何か手掛かりがあるかもしれないし、一応見ておいたほうがいいと思ったんだ」
類「ただ…一人で行って、危険と鉢合わせになるのが怖くてね」
司「別にいいが…その危険ってのがオレだっていう可能性は心配しないのか?」
類「司くんが犯人だと考えないのか…ってことかい?」
類「正直、全く考えてないんだ。というより、考えられないんだよね」
類「というより…人を疑って生き延びるなら、人を信じて殺されるほうがまだマシだよ」
司「やめろ…殺されたほうがマシだなんて…そんなこと言うなよ…」
司「オレ達は生き延びるためにやっているんだぞ?」
類「……流石司くんだね…やっぱり君は強いよ」
類「さて、それじゃあ行こうか」
司「あ、あぁ…」
なんか…こいつと話してると気が狂うな…