公開中
昼の時間
嬉しいファンレターありがとうございます.投稿遅れました(._.)
彼女の声とともに壁一面にカウントダウンの時計が映し出された.その時計は,5分を切っている.どうやら話し合いの時間は,300秒しか設けられていないらしい.
カエラ「本当に,ガードゲームの人狼と同じなんだね.」
セミロングに伸ばした髪の女の子が,吐き捨てるように呟く.そして視線は彼女へと集められた.はっとした彼女は慌てて自己紹介を済ます.
カエラ「あ,私菊池カエラ.お母さんがフランス人なの」
確かに.納得できる,美しい西洋の顔立ちをしていた.女の子らしく,髪はハーフアップに結られている.カエラに続いて,カエラと真反対に座る男子が自己紹介を始めた.
勇斗「俺は|麗日勇斗《うららかゆうと》.高2の千葉出身.バスケやってます.自己紹介とか,みんなでしたほうがいいんじゃね?」
今度は高校生らしい,献身的な男子高生.カエラと反対側に,長テーブルの一番右端に座っている.ほぼ集まった高校生が制服の中,彼だけはジャージ姿だった.その姿から,きっとスポーツをやっているんだろう,と読み取れる.彼に続き,の隣に座っていた金髪のいかにもやんちゃそうな男子が賛成した.
悠楽「だな!まだ誰が誰かわからんけん.あ,名前プレートあるじゃん.」
天然なのだろうか.全員が「当たり前だろう」と言う目で自分の名前プレートを上から覗き込む彼...いや,|乃木悠楽《のぎゆうら》を見つめている.そんなことは気にせず,無邪気な笑顔で悠楽は続けた.
悠楽「俺乃木悠楽.広島から来た高1じゃあ!好きなもなぁアニメとスター◯ォーズで!」
勇斗「じゃあ隣に回してこ」
生の広島弁は初めてなので,こんなものなのか,と関心する.標準語とは違うが,味が出てていい.悠楽は隣に座っていた零の肩をぽんと叩き,零に合図を送った.零はまだオーバーサイズのフードを顔が見えないほどすっぽり被っている.
零「|睡蓮零《すいれんれい》.高1.」
あまりにも短く暗い自己紹介に場の空気も暗くなる.零はお構いなしに,「ほら,次」と左隣の女子高生を見るまでもなく冷たく急かせた.次は...
俺は,その名前プレートを見るだけで,気分が悪くなりそうだった.
|秋山茉莉《あきやままり》.先程も説明しただろうが,俺の幼馴染であって,俺がいじめられているのを6年間知らんぷりし続けた,俺が憎んでいるやつの一人.もちろん一番はいじめの主犯人だが,見て見ぬふりをしてきたやつらだって,許せない.
茉莉は,もじもじしながら,緊張...いや,恐怖で固まった口を動かした.
茉莉「あ,秋山茉莉です.東京から来ました...高校1年です.好きなものは―」
変わっていない.緊張すると頬を照れくさそうに赤く染めるところも,指を組むところも.茶色がかった髪も,白い手肌も.俺が好き《《だった》》頃と変わってない.
変わってないのは,それだけじゃないだろう.俺を知らないフリをしたこと.誰かを救う勇気もない.そんなところも,《《絶対》》変わってない.
自己紹介は続く.
* * *
來太「上田來太.さっきは取り乱してごめん.高2.鹿児島から来た.よろしく.」
軽く謝罪を入れてから,來太は頭を下げた.ツーブロックに横髪を刈り上げた,純粋そうな少年だ.切れ長の瞳は,まださっきの殺された男子高生のことを気にしているようだった.
* * *
由美「阿久津由美言います.京都から来ました.」
関西弁の,まさにのほほんとした女子.左目の下にほくろがある.
由美「父が霊能者で,母が占い師やっとります.うち,霊媒師や.今んとこわかってるのはうちだけ?」
もう自分の役職がわかっている人も,少なくはないらしい.由美は両親が霊関係の仕事だから...家柄によって役職は決められるのだろうか.
* * *
菜奈「仙台出身の高2,阿部菜奈です.サッカー部のマネージャーやってます.推しは,カラ◯ルピーチさんです.」
直毛な艶だつ黒髪をポニーテールに結い上げた,明るそうだが,いたって静かで真面目な子だ.すごく熱心そうなマネージャーだと,心の中で呟いた.
* * *
続いて,1番始めに自己紹介をしたカエラを飛ばし,紫苑へと移る.
紫苑「宮舘紫苑です.」
爽やかな見た目と一言だった.この場にいる女子,男子もかも知れないが,誰もが紫苑に釘付けになった.
紫苑「山形から来ました.高校3年生です.好きなものは―」
紫苑「...アニメとか,漫画かな」
紫苑の好きなものを一つも聞き逃すまいと,誰もが耳を傾けていた.
* * *
水希「黒種水希.16.」
それだけ?と思わせる,零と似たような男子だった.黒髪マッシュで,漆黒色にハイライトはない.が,顔のパーツといい,大きさといい,整った顔をしていた.
...零が,水希の自己紹介で,目を丸くしたのは,気の所為だろうか
* * *
翔「あ,俺」
みんなの自己紹介を見ている間に,自分のターンが回ってきていた.
翔「東海寺翔...です.高校1年かな,.小中でいじめられて,今は不登校です.」
ちらりと茉莉の顔を見る.恐怖を押し殺しているようだった.こんなに気分がいいのは,いつぶりだろうか.
* * *
蘭「三上蘭です.健太...さっき死んだ子の幼馴染です.高1です.よろしくおねがいします」
ひどく震えているようだった.無理もない.目の前で幼馴染が《《吹き飛んだ》》んだ.セーラー服に涙が滲んでいるのがわかる.
* * *
佳澄「藤原佳澄.高1.サンリオとか好きです.よろしくお願いします.」
これもまた,いかにも女子らしい,あざとい子だ.
* * *
光「新木光です.宮崎から...」
話が遮られ,重いアラームが鳴った.ふとタイマーを見ると,0が4つ並んでいる.時間切れのようだ.
--- `夜の時間` ---
カエラ「夕方は,まだないんだね.」
--- `プレイヤーはそれぞれの自室で夜を明かせ.恋人,協力者以外は夜に起きることを禁ずる.` ---