公開中
夜色入浴剤
たったの1306文字!30秒で読めるね!(当社調べ)
自分らしいお話の練習です。
ある日の夜中のコンビニで、会計を済まそうとレジに向かった。
買い物かごを置き、気怠そうな店員が商品のバーコードを読み取っていく。
ふと、レジのそばに置かれた入浴剤に目が留まり、ぼんやり袋を見ていた。
別に風呂を楽しむ趣味はないが、なぜかその入浴剤から目が離せなかった。
もうすぐ会計が終わってしまう。気づけば袋を手に取り、カゴに入れた。
気怠そうな店員は、追加された入浴剤のバーコードを読み取った。
「...1500円です」
面倒くさそうな、眠たそうな声で店員が言った。
財布を覗いた。5000円札しか入っていなかった。仕方ないのでスマホを出した。
「バーコード決済で」
店員にバーコードが映った画面を見せ、読み取ってもらう。
レジ袋を受け取り、店を出る。
冷房の効いた店から出た途端、蒸し暑い空気に包まれた。
買ったものには溶けやすいアイスもあったので、速歩きで家に向かった。
コンビニから自宅まで普段10分は掛かるが、アイスが懸かっていたので5分でついた。
素早くドアを開け、靴を脱いで整えた。
部屋は冷房が効いていたので、もう焦らなくていい。
アイスや買ってきた物をそれぞれあった場所に入れた。
レジ袋には入浴剤しか入っていない、スカスカだ。
アイスを食べる前に、風呂に入ってしまおうと思い、引き出しからパジャマとタオルを取り出して、脱衣所に向かった。
服を脱ぎ、洗濯機に突っ込んだ。
風呂場に入り、風呂の蓋を開けた。
コンビニに行く前に沸かしていたお湯は少しぬるくなっていたが、暑い季節には丁度いいだろう。
入浴剤の袋を開け、5cm程度の入浴剤を取り出す。
袋の後ろに書いてある説明書きを読み、紺色の玉を浴槽に投げ入れる。
溶けていく光景を眺めながら、髪や体を洗った。
洗い終わる頃には入浴剤はすっかり溶けきり、濃い紺色の湯になっていた。
まるでよく晴れた日の深夜、そんな色の湯に浸かった。
あまり自信のない自分の体を、紺色__夜色が優しく包みこんで、隠してくれる。
どれだけ入っていただろうか、指はふやけきっている。
気づいていたのに、出れなかった。
気付かない間に、泣いていた。涙が落ちては、お湯に溶けて混ざっていく。
ただただ子供のように、泣きじゃくっていた。
やっと止まった頃に、風呂からあがった。
ふやけてシワシワになった指で、浴槽の栓を抜いた。
綺麗な紺色の湯は、涙と一緒に無くなった。
寂しいような気もしたが、スッキリした。
体を拭いて、服を着る。鏡に映った自分の顔は泣き腫らしたあとの顔だった。
でも、スッキリしたようなそんな表情で。こちらを見ていた。
自分が嫌いだった、今日を最後にしようと思っていた。
幸せな気持ちで終わりにしたくて、好きなものをたくさん買った。
なのに、風呂に入ったあとには、そんな気持ちはどこかに行ってしまった。
あーあ、お金結構無駄になっちゃったな。
髪をドライヤーで乾かしていると、入浴剤の袋が風で飛んだ。
拾い上げ、ふと効能が気になり袋の後ろを見た。
【深夜色入浴剤】
よく晴れた日の深夜の匂い
効果
・疲労回復
・リラックス
・”過度なストレスを和らげる”
コレをみてるってことはさてはあなた!!!!!!!
全部読みましたね!!!!!
ありがとう!!!!
愛してる!!!!
┏┛ふてねこの墓┗┓