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君との別れまでの残り時間
シロナは中学3年生。
これは、あと数ヶ月で卒業というある日、校内立ち入り禁止区域で一人の少女と出会った話。
「シロナ、進路調査票が未だ白紙とはどういうことだ……?
あと数ヶ月で卒業なんだぞ。」
担任の呆れたような喋りに、中学3年生のシロナは、適当に相槌を打っていた。
下校前、夕日が教室の中を紅く照らしていた。
シロナの周りのクラスメイトたちは皆、将来、未来への希望に胸を躍らせながら、
楽しそうに荷物を直している。
だが、シロナは違った。
この学園に入学したものの未来を知っているからだ。
世界中から優秀な者たちが毎年集う『学園都市』。
ドームに覆われたこの学園で、学生たちは不自由なく生活することが出来る。
…………18歳になるまでは、の話だが。
この学園に入学してしまったものは必ず18歳までしか生きることが出来ない。
シロナはそれを知っていた。
本人曰く、なんで知っているかは分からないらしいが。
つまり、数カ月後に行われる【卒業式】とは単なる卒業式ではない。
そう、【人生の卒業式】なのだ。
(皆18には死んでしまう。もちろん、私も。
まぁ、18までに死ななくても人間なんだからいつかは死ぬけど。)
放課後、シロナは校内立ち入り禁止区域である旧校舎へと向かう。
立ち入り禁止区域になっているから前から怪しいなとは思っていたが、まだ入ったことがなかった。
「もしかしたら、卒業式を阻止する方法があるかもしれない。
そうなれば、私も皆も寿命が尽きるまではずっと生きることが出来る。」
ギィ、という錆びついた扉の音。
暗くてなんだか奇妙な感じ。
とてもじゃないが、埃っぽくて咳が止まらなかった。
ふと見ると、音楽『準備室』の扉の隙間から光が漏れていた。
ここは旧校舎だから今は誰も人はいないはず。
なのに、ここだけ光がある。誰かいるのだろうか。
準備室のドアを開けてみるとそこには、モニターの前に座っている一人の少女がいた。
此方に気がついたのか、少女は振り向く。
「……アナタは、なぜここに?
それに、アナタは人間。人間がここに来る確率は0,0001%の低確率のはず。」
少女はハクモクレンのような美しい白髪で、瞳は透き通った琥珀のような色をしていた。
「わ、私はシロナ。……あなたは?」
「私、は、クロハ。この『学園都市』のプログラム、、、**端末かな。**」
「た、端末?クロハが管理してる、とかじゃなくて?
というかそもそもなんでこんな場所にいるの?」
「端末って分かりづらかった?……じゃあAIプログラム、が分かりやすいかな。」
「なんでこんな場所にいるかって……。。。
私はプログラムの旧型だからだよ。旧型だから、もう必要がない。
だから、卒業式の都市アップデートと同時に、私も消される。」
クロハはどこか悲しげな、寂しげな目をしていた。
そんなクロハを見ると、心が締め付けられるように痛くなる。
「……クロハも私と同じか。。。」
「え?同じって……?」
クロハは驚いたように目を見開き、前のめりになった。
「そ、同じ。」
「つ、つまりシロナ、アナタは今年卒業するってこと……?」
「まぁ、そうかな。」
「ね、ねぇシロナ!!!」
「何?」
聞きたいことがあると言って、クロハはこう言った。
「じゃ、じゃあアナタは何故ここに……!」
「え、まー…。。。」
「卒業式を阻止する方法がないかと思って探索しに来ただけ。」
「そ、そう。。。」
そういったあと、数秒の沈黙が流れた。
すると、クロハが口を開いた。
「シロナ、万が一、いや、億が一でも卒業式を阻止出来たら、、」
**「私の消滅もなくなる、かな……?」**
「ごめんけど、それは分からない。」
「でも、、、消滅もなくなるように出来る限り頑張ってみるから。」
「あ、そういえばさぁ、クロハってこんな場所にずっといて、やりたいこととかないの?」
そう聞かれるとクロハは、偽物の青空を見上げた。
「そうだね……。一度でいいから、本物の青空を見てみたい。
本物の、太陽の光とやらを浴びてみたい。皆が感じてること、私も感じたい。」
しかし、時は止まることなく動き続ける。
そして……卒業式の前日が来てしまった。
クロハは未だ夢を叶えられずにいた、明日には消滅してしまうと言うのに。
そんなとき、シロナの前に、都市の執行官であるアキが現れた。
「おいお前、旧校舎の端末と関わっているみたいだな。
どうせそいつもお前も明日には消えるのだ。
ほら、早くカプセルに入れ。苦しくないようにシステムがきっと管理してくれるから。」
「嫌だ。」
「なっ……。。。」
即答だった。迷うことなく。
「カプセルに入らなければ生きれるというわけじゃない。
はいってもはいらなくても明日には死ぬ。」
「違う!!!私は自分のためじゃない。
クロハに、本物の青空を、本物の、太陽の光を浴びさせるって約束したの!」
「無駄だ!外に出たところで寿命は伸びない!」
「それでも、私はクロハとの約束を果たす、絶対に!!!」
シロナの真っ直ぐな瞳にアキは息を呑んだ。
「……分かった。旧校舎に行って都市のメインサーバーをハッキングしろ。
クロハ、あいつなら、、できるはずだ。」
「アキ……。。。ありがとう、行ってくる!」
最後に付け加え、というようにアキはシロナを呼び止めた。
「行くのは良いが、絶対に走るなよ。お前の心拍数はもう限界を迎えている。
……走って行けば、着く前にお前が死んでしまうからな。」
「うん、分かった。」
そういったシロナだったが、走っていってしまった。
話を聞け(((((
「ハァ、……ッ。ハァッ。」
シロナはクロハのいる準備室に飛び込んだ。
「ク、クロハ!!!!」
「シロナ、、!アナタのバイタルデータが危険域に入って……!」
駆け寄るクロハの体をシロナは優しく抱きしめた。
「ドームを、解放して……。。。」
「で、でもそうすれば都市の維持力が弱まって私は消えてしまう。
それにシロナ、アナタだって……!!!!」
シロナは優しくこう行った。
「約束したでしょ。」
「……分かった。」
クロハが解放開始を始めた途端に、警報が鳴り響き、都市全体が解放された。
「「綺麗……。」」
これでクロハとの約束を果たせた。
だが、それと同時に都市の維持力が弱まり、クロハの体が消滅し始めていた。
「クロハ……!!!!!」
シロナは消え行くクロハに手を伸ばした。
(嫌だ、絶対、離したくない!!!!!)
シロナがクロハの手を握った。
━━━━━━━その瞬間。
シロナのスマホが激しく光り始めた。
画面には、《外部への記憶データ転送を開始します――》の文字。
「な、何……!?」
シロナは生きていた。クロハの姿はなくなってしまったが。
そして、シロナは都市の管理から解放されていくのを感じた。
すると、そのとき。
「ね、ねぇシロナ、聞こえる……?」
さっき激しく光っていたスマホから聞き覚えのある声が。
「……クロハ!!!!」
「えへへ、私のメインデータは消えちゃったみたい。
でも、シロナ、アナタの端末に転送できちゃったみたいなの。!」
「クロハ……。。。これからは、ずっと一緒だね!」
「う、うん!」
都市のドームはもうない。これからはどこへだっていける。
__人生__
「行こう、クロハ。私たちの新しい新学期へ。」
シロナが歩き出すと、画面の中のクロハは、満面の笑みを浮かべた。
「うん。もうサヨナラなんて言わないよ、シロナ。」
__寿 命__
本物の夕日を浴びながら、二人の残り時間は、永遠へと変わっていったのだった。
はい一話完結の小説書きました!!!!
読んでくれて感謝しかないね。
てか今気づいたんだけど3000文字以上描いてましたw
よければ感想や応援などお待ちしてます!!