公開中
⦅ 薫 陶 ⦆
※“ミルクティ 様”の〖マーダラたちのアセンブリー〗を元にした⦅ 堕 落 ⦆(二次創作)の続編に似た“マーファ・ルシファー 様”の視点になります。
(マーファ・ルシファー 様の設定等は改新版を元にしています)
本作品に置いての許可等は既に取得しております。
人気のない路地を一人の男がひどく怯えた表情で逃げるように走っていった。
深い霧のように惚けて動きの見えない頭の中は、悦楽を求めて自然と表情を歪ませる。
そんな頭の片隅で一つの|探し物《ルシィ》が顔を覗かせ、思い出したような焦燥感と不安感が襲い、呑まれてしまいそうになる。
早く見つけなければ、助けなければとそればかりの思考回路になりつつある頭についた瞳が獲物に目をつけた。
本能のまま衝動的に投げたナイフは男の足首を見事に掻っ切ったのか、上手いことに逃避手段を封じたようだった。
それにより増幅した喜びが獲物を追いながら路地の陰気臭い地面と、男の足首から漏れた真っ赤な血を踏みしめた。
倒れ込んだ獲物にたどり着いた瞬間に背中へナイフの刃を押し込んだと同時に顔へ血が飛び散った。
続けざまに腕や太腿へ刺さったナイフを頭の頂点へと突き刺した。
男の悲鳴により風船のように大きく膨れ上がった高ぶりを長く愉しむようにナイフを頭から背中を引き裂かんとばかりに力強く捌き、勢いよく抜いて男の身体を壁へと投げ飛ばす。
その瞬間に天にも昇る思いな程に弾けた感情の風船が悦楽を最大限に体現した。
それに釣られて、鼻歌を歌う俺に獲物が今にも途切れそうな声をゆっくりと絞り出した。
悦に浸っていた脳がゆっくりと本来の目的を思い出しては、|希望《ルシィ》を探そうと動き始めていた。