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学園物語 茂ヤンデレになる であります!
描いてて楽しくなっちゃった
春の風が吹き抜ける入学式の日。
小柄で、どこか影を背負ったような少年――大和茂は、緊張でぎこちなく校門をくぐった。
身長は147cm、髪に隠れたオッドアイ。
その独特の容姿のせいで、周囲から小さな笑いや囁き声が上がる。
茂はうつむいたまま席に座り、誰とも話さず一日を過ごした。
だが放課後、教室に残っていた一人の先輩が声をかけてきた。
「お前、一年? なんか元気なさそうだな」
振り返ったその人――わらびは、茂より背が高く、明るい笑顔を浮かべていた。
「……別に」
素っ気なく答える茂に、わらびは笑いながら「よかったら一緒に帰ろうぜ」と誘った。
それが、二人の始まりだった。
やがて、毎日のように一緒に帰り、教室でも廊下でも自然と隣に立つようになった。
無口な茂と、賑やかなわらび。
まるで正反対なのに、不思議と居心地がよかった。
――だが時は流れ、一年が過ぎる。
卒業式の日、わらびは制服のボタンを友人たちに渡しながら笑っていた。
茂は人混みの後ろで、その背中を見つめ続ける。
胸の奥が、焼け爛れるように痛かった。
「置いていくんだな……」
小さく呟いた声は、春風にかき消された。
それからの日々、茂は空っぽになった。
わらびの残していったハンカチを抱いて眠り、ノートには「愛してる」を無数に書き殴った。
夜ごと夢に出ては、目覚めれば涙を流した。
そして――再会の日。
「茂、久しぶりだな!」
笑顔で駆け寄ってくるわらびを見た瞬間、胸の奥で何かが壊れた。
「……やっと、来てくれたんだ」
茂は掴んだ手を離さない。
「待ってたんだよ。ずっと……ずっと、俺だけを見ててほしかったのに」
わらびが戸惑う顔をすると、オッドアイが涙に濡れ、狂気の光を帯びる。
「もう二度と、俺から離れないで。
他の誰とも話すな。俺だけを見ろ。
愛してる、愛してる、愛してる……」
震える声で何度も何度も繰り返し、わらびの耳元に呟き続ける。
逃げようとする腕をさらに強く抱きしめ、骨が軋むほどに締め付ける。
「もしまた置いていったら……俺、本当に壊れるから。
だから、一緒にいて。俺のものになれ。
俺も、お前も、もう戻れないんだ」
涙と嗚咽の中で、茂は笑った。
「よかった……これでやっと、永遠に俺のものだ」
わらびの返事は春風に溶け、
二人は――愛という名の鎖に絡め取られていった。