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小説「聖夜の奇跡」 No.7
登場人物
・蒼井海斗
・神薙夕
「それではコメントをお願いします、蒼井海斗さん」
高校三年生の蒼井海斗。
彼こそが『聖夜の奇跡』の著者だ。
海斗は少し悩んでからコメントをした。
それを最後にコンテストは閉幕。
本人や学校へのインタビューも数週間続き、改めて凄いコンテストだと思った海斗だった。
「今回のコンテスト、全部レベル高かったのによく大賞貰えたよね」
少しずつ海斗の日常が戻ってきた、ある放課後。
ファミレスでチョコレートパフェを食べながら女子高校生が呟く。
その様子を見ながら海斗はカフェオレを飲んでいた。
「|夕《ユウ》の大好きな『奇跡』が起こったのかもな」
「……からかってる?」
いいや、と海斗は優しい笑みを浮かべた。
去年の12月24日。
クリスマスイブに経験した奇跡を小説にして、見事大賞を受賞した。
《《天使との約束》》を果たせたことを、今頃になって海斗は安堵している。
「えーっと、『まるでその奇跡を体験したような書き方』が評価されたんだっけ?」
私たち経験したからね、と夕は付け足す。
あの|聖夜の奇跡《小説》が実際に起こった、なんて誰が信じるだろうか。
海斗と夕は二人だけの秘密として、誰にも話してこなかった。
No.8は2022/09/20/12:00に公開予定です