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愛という名の呪い。 7話
物語が進みます(当たり前)
私が呼ばれて入ったのは、社長室?だった。
「ここに座ってください。」
「あ、はい。」
椅子に座ると、話が始まった。
「改めて、私はドリームミストの店長、美藤メイルです。」
「僕は副店長でメイルの弟、美藤サイム。」
…この2人。私と苗字が一緒だ。
「察したかもしれませんが…私とサイムとアイヌさんは髪も目も色が同じで、
苗字も同じ。何かの運命があるんじゃないかと思ったの。」
「それってもしかして…兄弟とか…?」
私が呟くと2人はゆっくりとうなずいた。
「きっと僕らは兄弟。僕らは親に捨てられた。
だから自分たちで店を作って働いて生計を立てているんだ。
君は両親たちと暮らしているのか?」
…親に、捨てられた?
「実は私も、親に捨てられて今まで1人で生きてきた。
だから両親の事なんて…全く知らない。
ただ一つ分かっているのは、私は両親に呪いをかけられて
魔法能力が制限されているってことくらい。」
「それなら境遇は同じだったって事ね。
それにしても、ここで私たち兄弟、出会えたことは奇跡ね。」
「え、ちょっと待って。呪いって言った…?
親がアイヌに呪いをかけた…?」
「そう。私の親は魔法能力が制限される何かの呪いを生まれたての
私にかけて消えていった。」
「私たちはそんなこと何もされていないのに…!
で、その呪いは解けていないの⁉」
「解けてないから旅をしてる。
そして呪いを解くためには両親に会うことが必須だと考えている。
きっとこの旅で、私たちの両親がどんな人間なのか、分かるはず。」
「呪いをかけられるってことは相当の魔法能力を持っているって事よね。
ってことは見つけるのも難しいんじゃ…?」
「あ、そうだメイル。こうするのはどう?」
「ん?どうしたの?」
またひそひそ話を始めた。
「それでいいじゃない!」
「え、どうしたのか?」
「旅のメンバーってまだ増えても大丈夫かしら?」
「まぁ…うん。多分。」
「それなら、私たちから入れて欲しい子がいるの。ちょっと待ってて。」
「はぁ…」
2人が急に部屋を出て行った。
またドアが開いて、メイル姉さん、サイム兄さんと共に1人の女の子がやってきた。
「メイルちゃん。この子は、誰?」
「この子は生き別れた私の妹のアイヌよ。
紹介するわ、|叶江《かなえ》ライア。
喋るのが少し不得意だけど魔法能力はとても強い。
家が無くて私たちの店に泊まり込みで学校に通っているの。」
「アイヌちゃん、だね。初めまして。」
「初めまして。」
「特選能力はライアの口から聞くといい。
で、アイヌ。この子を旅のメンバーに入れるのはありかな?」
「はぁ…だから、これはただ楽しむための旅じゃないって言ってるじゃん。」
「…ゴッドナイトっていう集団に姉がとらわれてるんだってさ。
呪いにかかわることなら何かしら知ってるんじゃないか?」
ゴッドナイト…それは最近私たちが警戒している集団の名前だった。
「ゴッドナイトが…?」
「あれ、知ってたのか?」
「生神の条件の赤い瞳に黒髪を持ってるからってつけられてるんだ。」
「私たちと同じね。ゴッドナイトは私たちの商売の邪魔よ。」
「で、わざわざゴッドナイトの組織内に首を突っ込めってこと?」
ゴッドナイトには関わりたくない。
「…それがね、ライアの姉は重要な情報を持っているらしいんだ。
ライア、それで合ってる?」
「うん。そうだよ。」
「お願い。この子の為にも私たちの商売の為にも、アイヌたちの旅の為にも
ライアを連れて行ってあげて欲しいわ。」
「…分かった。でも、仲間に話してみてからだな。」
「それでもいいよ。…早速、行ってきて。」
「じゃあ、行って来るね、メイルちゃん。」
「行ってらっしゃい。」
私はメイルを連れて待合室へと戻った。
「この人たちが旅の中間だ。」
「…そう、なんだ。」
「アイヌ、その子は誰?」
「叶江ライア。喋るのが苦手らしいから優しくしてあげて。
ライアの姉がゴッドナイトにとらわれてて、その姉が大事な情報を持ってるとか。」
「へぇ、で…どうするつもりなの?
紹介したってことはまたメンバーが増えるってこと?」
「そういうこと。」
「あんなにアイヌはメンバーが増えるのをめんどくさがってたのに…w」
「私が入るの、駄目、ですか。」
ライアがみんなの前で初めて喋った。
「私は賛成だよ!ね、めあり!」
「うん!賛成!」
「もちろんいいよ。」
「え、いいけど、ライアちゃんを入れるならゴッドナイトもどうにかしないと
いけないってことにならない⁉」
「まぁ、そういうことだな。ライアの姉を助けて情報を入手することは
私たちの旅にもつながるかもしれない。」
藁に縋ってでも私たちは呪いを解く。
方法は何だっていい。
「それなら私もいいと思うよ。よろしくね、ライアちゃん!」
「…はい!」
この時ライアは、多分心の底からの笑みを浮かべていたんじゃないかと思う。
それから改めて姉さんと兄さんに許可をもらって、正式にライアが
旅のメンバーに加わることが決まった。
「ライアにはいつでも私と連絡が取れるように通信の魔法を教えたわ。
だから、何かあったらすぐに教えて。」
「分かった。」
「アイヌ、それにみんな、気をつけてね。」
兄さんが私の肩をバンバンと叩く。
「必ず、ゴッドナイトの奴らをどうにかしてくるよ。」
「そんなの信じてる。だって私たちの妹だから。」
「…そろそろ行こっか。アイヌ。」
「あぁ。じゃあ、行ってきます。」
「「行ってらっしゃい、みんな。」」
姉さんと兄さんがいて、本当にうれしかった。
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ここはとある研究所。
「マコト。そろそろ実技訓練の時間よ。休んでる暇なんてないわ。」
「…はい。」
叶江マコトはうんざりしながら言った。
「月影氏。マコトを分析した書類、読みますか。」
「あぁ、ありがとう。でも今はいらないわ。
次の実技訓練は私が直々に相手をしようと思うの。
前の訓練からどう成長したのかを確かめるには、体験しないと。」
「…承知しました。では今用意している魔獣はどうすれば。」
「檻に戻しなさい。」
「はい。」
マコトを強くすれば、恩で情報を吐いてくれないか。
マコトを強くすれば、組織の目的である神を見つけ出し、
”捕まえる”ことができるのではないか。
可能性があるものは時間の許す限り全て試す。
そうでもしないと、神を取り戻せないから。
最後に出てきた「叶江マコト」と「月影」はここから
どう話に繋がるのか楽しみにしててください!
2642文字でした!