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愛救の弾丸を。
ここは地球とは違う世界「レイニング・カプセル」通称|永久の雨降り街《とわのあめふりまち》。
…レイニング・カプセルの中はとても平和とは言えなかった。毎日のようにどこかで刃傷沙汰が起き、それを毎日止まない雨が洗い流す。そんな日々が続いていた。
これはそんな世界で愛に飢え、愛を求め、愛のために行動した少年少女達の物語。
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私が向かっていた教会はとても不気味な雰囲気だった。もう何年も人が出入りしていないんだろうか?教会の庭の草は高く高く伸び、建物も古臭い。祖父母の家もこんな感じだったのだろうか?《《覚えていないから分からない》》けれど。しかし、不気味だったとしても私の奇病を治すためにはここにいるであろう彼女を頼るしかない。病の大魔女…トワイライトを。
◇◆◇◆
教会の中は薄暗いものの外とは対照的に綺麗に掃除されていた。一定の間隔に置かれたチャーチベンチ、そして棺。…棺?なんで棺がこんな所にあるんだろうか?いや、それは置いておくとしても中と外で違う建物になったような…いや、気のせいだろう。保存魔法でも使わない限りそんなこと…
???2「…どちら様ですか?」
私が周りを見渡していると、そんな女性の声が聞こえた。声が聞こえた方へ向くといきなり女性の顔がドアップで映り込んだ。
???「わあ!?」
思わず大声を出して後ずさりしてしまう。そんな私の姿を見て彼女はやや不機嫌そうに言った。
???2「…そんなに驚かなくてもいいではありませんか。勝手に入ってきたのはあなたですよ。」
…確かにその通りだ。それにしても彼女は服装的にシスターさんだろうか。綺麗な緑髪、整った顔立ちといい…こういう人を美人というのだろう。頭に留めておかなくては。
???2「…あの、聞いておられますか?」
彼女に見惚れていると、当の本人はうんざりしたようなめんどくさそうな顔をしていた。
???「あっ…す、すみません…。しかしここに用事があり…」
???2「…用事…といいますと?」
???「私は|紅薔薇ノ呪い《べにばらののろい》という奇病にかかっております。あなたもご存知かと思いますが、記憶喪失になり最終的には体中に薔薇の棘のような毒物が刺さり死に至る…」
私がそう言いかけた時、彼女はやっぱりか…とでも言うように顔を曇らせた。
???2「…それで病の大魔女であるトワイライト様がいるこの教会を尋ねてきた…ということですね?」
???「その通りです。トワイライト様ならこの病を何とかしてくださるのではないか…と。」
???2「…確かにトワイライト様は羞花閉月、眉目秀麗、聖人君子ではありますが…」
…シスターさん、それは褒めすぎじゃないの…?
???2「…まぁあなたをトワイライト様に会わせるつもりはありませんが、ここに留まることは認めましょう。教会ですしせっかくなら懺悔でも…」
???「えっ会わせてくれないのですか!?」
私が思わず大声を出すと彼女はまた不機嫌そうに言った。
???2「当然でしょう。こんなどこの馬の骨かも分からない小娘をトワイライト様に会わせるなど…」
それは結婚の挨拶に来た娘の彼氏に向けて言う言葉じゃ…?でも困ったな。会わせてもらえないとなると日を改めるか強引に押し通るか…
その時、今まで強くも弱くもなかった雨音が一気に強く、雨が勢いよく地に叩きつけられた。
???2「…もう時間も遅いですし泊めることぐらいはいいでしょう。私もそこまで鬼ではありません。」
???「ではトワイライト様に会わせていただいても…」
???2「それは無理です。追い出しますよ?」
???「すみません…お優しい対応感謝します。」
???2「よろしい。…あと…」
彼女はどこかへ向かおうと後ろを向いたが、すぐに向き直りこう言った。
刹「私は|月下 刹《げっか せつ》と申します。トワイライト様の使い魔をしておりました。今は訳あって人間の姿ですが…今日1日よろしくお願い致します。」
それだけ言うと彼女は重い足取りでどこかへ向かってしまった。…意外と礼儀は弁えている人なのかもしれない。今日1日あの人の近くにいるというのはあまり気が乗らないが…仕方ないか。贅沢を言える立場でもないし。
◇◆◇◆
私は近くにあったチャーチベンチに座り、すぐ横にあるガラス窓をぼーっと眺めた。
窓には薄暗く私の姿が映る。瑠璃色の髪を左右で結い、黒いパーカーを着た少女。教会と私の姿は釣り合っていないかもしれない。だから刹さんはあんなに不機嫌…いや、私が不法侵入したからか。
…雨は降り続けている。ここ最近…いや、覚えていないだけで私が産まれた時から降り続けていたのかもしれない。こんなことを考えても何もならないけど。
…雨はずっと、ずっと降っていた。
はじめまして。二月(ふつき)と申します。自己紹介を作るほど話せることが無かったため、あとがきで軽く自己紹介をさせていただきました。ゆる~く楽しく書いていきますので、見かけたらぜひ読んでみてください。
あとがき…何を書けばいいのかよく分からないので軽く調べてみた所、この物語を書いた理由etc.を書けばいいとのこと。…書いた…理由…?ファンタジーが好きだからとかメリバが好きだから…とかでしょうか。なんかこう…頭にバッと…語彙力が無いとこういう時に困りますね。そろそろ終わりにしましょう。
読んでいただきありがとうございました。また次回会えたらお会いしましょう。さようなら。