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異常
あぁ、また何もせずに寝落ちしてしまった。冬の寒い空気が部屋に蔓延する中、スマホを片手に夜の22時を過ごしている。息を吐くたびにスマホの表面には水滴がついている。ただの普通の「宿題」という行為すら行わずに登校し、その宿題をやってないことをネタに、皆に言いふらして承認欲求を満たしている。異常に焦がれ、異常であることにかっこよさを感じた。夏であれば「寒い」といい、冬であれば「これ暖房ついてる?」と皆と話す。寒いことを口実に後輩に抱きつき、部活の後輩と楽しく会話をする。教室の床に寝っ転がって、よくみるCMの転がり方を試してみる。宿題をやっていないことをネタにするのはだいぶリスクが伴うが、そのスリルすら、バレた時に説教→からのアイツうぜぇと言いふらして、やべぇ奴と認識させるのが目的なのだ。
「宿題もやらずに楽しいことばっか優先してさぁ。」
「勉強しなくていいの?ノー勉?」
「やばいじゃん!」
「夏休みの宿題すら終わってないの!!!」
イカれたひとを見る目をされるのが好きだが、同時に嫌いだった。沈黙で自分だけを見つめられることが嫌いだった。全ての責任を私に押し付けないでほしい。ただ、自分の欲求は満たしたいから、人の上に立ちたいが勇気が出ずに手を挙げることすらもできない。一人称の「俺」と親の前で行った際のあの冷たい目と、俺っ子僕っ子嫌いと言った口を憎く思った。その口、凍らせたいと。
「…」
ふと人を轢き殺したいと思う。それは、アニメに感化されるから。鬱でどろどろした魔法少女モノを見ればこんな世界の二次創作を、能力ある世界のアニメを見れば最強の能力を持った夢小説、恋愛ものを見ればこうして過去を練り込めば、ファンタジーなら自分だけ最強、復讐モノやコロシアイモノを見たら自分は謎が解けてトリックスター、と唆されやすい。「自分だけ特別」の展開にひたすら憧れているから。しかも二次創作しか描かない。一次創作はキャラ設定だけ書いて面倒くさく終わってしまうから。ちなみに、今だと雪に関する小説を書こうとしてキャラだけ作ったところだ。
「もう、嫌だ。」
死にたいと思っても死ぬ勇気がない。鬱とかになってしまった方が皆に心配されてマシだ。病気になりたい。誰かに優しく、痛くなく殺してほしい。でもグッズも欲しいしゲーム欲しいし、まだあのアニメ見てないとずるずるひきづっていく。やっぱ転生したい。いや、この世界に推しが転生してきてくれたら何ほど良いものか。一日中、嫌われることなくずっとついてきて欲しい。お金もたくさん欲しい。翼なんていらない、推しと富と知恵と名声が欲しいのだ。欲しいものがあればすぐに買い、お金が貯まれば校則違反を犯してカラオケに行く。もちろん、オープンチャットのなりきりでライブトークをしながら。なりきりの恋人に歌声を聞かせ、心から好きだと誤解しながら、どちらも気づかずに会話を終えていく。甘ったるい会話が喉を潰してくれる。
「…何してんだろ」
授業もまともに聞かずに絵を描き、テストでは一桁の点数で周りに自慢する。前より一点!2点あがった!なんてはしゃいで、周りを引かせるのに喜んでいるから。雪の降る夜より、引いた目の方が好き。その目に「なんでそんな目で見るの?」とガチトーンで囁いてあげたい。
「疲れてきちゃったや。文章、まとめるのも難しい」
だんだん短くなっていく文章に嫌気がさした。厨二病独特の意味のわからない文章を重ねる儀式ですら、深夜2時就寝の頭には考えられない。いっそのこと、本当に消えてしまいたい。いや、スマホだけは今のままがいい。ライン、YouTube、プリ小説アカウント、テラー、やっているスマホゲーム、短編カフェ、あとは…メモ?文章を書くのが、苦痛になってくる。眠い。それだけで疲れてしまうのだ。
「…はぁ、死んじゃいたい。」
厨二病をこじらせた頭には、理解できない憂鬱感がある。後頭部のちょい左側の500円玉のあたりが痛む。頭痛だ。頭全体に靄がかかっているような。もう、衝動書きのネタも薄れた。雪は相変わらず降り続けている。
「…今日も、ネットに引きこもってしまいたい。」
ただの厨二病をこじらせた、異常が好きな女に「死ぬ」は似合わない。
作品のテーマ: 冬と厨二病
作品の拘り : 私のあるあるを詰め込んでみました。
要望 : 特にはないです。
お任せ欄 : 意味のわからない文章です。