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謎のカウントダウン
--- 生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、全員参加が義務付けられる『学級裁判』が行われます ---
--- 学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます ---
--- 学級裁判で正しいクロを指摘出来なかった場合は、校則違反とみなして残りの生徒は全員処刑されます ---
--- 生き残ったクロは特別措置として罪が免除され、島からの帰還が許可されます ---
--- 3人以上の人間が死体を最初に発見した際に、それを知らせる死体発見アナウンスが流れます ---
--- 監視カメラやモニターをはじめ、島に設置された物を許可なく破壊する事を禁じます ---
--- この島について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません ---
--- なお、修学旅行のルールは、学園長の都合により順次増えていく場合があります ---
司「……はぁ………」
重いため息と共に、電子生徒手帳からゆっくりと顔をあげると
すっかり暗くなったホテルの中庭が見えた
司「本気で…こんなことさせるつもりなのか…」
ふと頭上を見上げると、星を敷き詰めたような夜空があった
舞い落ちる雪のように、今にも手元まで落ちてきそうな星々…
この島に来て最初の夜…オレが見慣れたいつもの夜とは全く別物の…
美しすぎる…夜だった
そんな夜空をぼんやり眺めていると、脳裏に《《あの言葉》》が浮かんだ
『仲間を殺した生徒だけがこの島から出られる』
その言葉を聞いた時、オレ達はただ唖然と立っているだけだった
そしてそのまま、
みんなは、散り散りになって消えていった…
そのまま迎えた最初の夜。
それは、目を奪われるほどの美しい夜で…
だからこそ、オレの心を強くかき乱す
やっぱりその美しさは、オレの日常とはあまりにもかけ離れていた
--- CHAPT . 1 ---
--- 絶望トロピカル ---
--- (非)日常編 ---
---
キーンコーンカーンコーン…
モノクマ「えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会がお知らせします」
モノクマ「ただ今、午後10時になりました」
モノクマ「夜は人を惑わせる…夜中に出歩いて、うっかり殺人鬼と出くわしたらエライ事になりますよ!」
モノクマ「それが心配で寝られないというオマエラの為に、ホテル内に各自のコテージを用意しておきました!」
モノクマ「それぞれ、自分の部屋でゆっくりとお休みくださいませ」
モノクマ「ただし、就寝の際にはしっかりと部屋に鍵をかけることを強くお勧めします」
モノクマ「どこの誰が人殺しを目論んでいるか、わかったもんじゃないからねー!」
モノクマ「うぷぷっ…ばいなら!」
司「……………」
司「コテージ…か」
---
司「…………っ!!」
コテージに入るなり、オレはベッドに倒れ込んだ
このまま1人でいたかった。もう誰にも会いたくなかった。
信じられような人間はいない
オレは…まだあいつらのことを何も知らない
信じられるのは自分だけ…いや、その自分だって怪しい
『仲間を殺した生徒だけがこの島から出られる』
そう聞かされたあとでも、『ここから出たい』と思ってしまっている自分がいる
司「どうして……オレが…」
司「どうして…こんな目に遭わなければいけない…?」
強く目を閉じた
眠くなんてない…ただ、少しでいいから眠りたかった
何かに区切りを付けたかった
それで、もし目が覚めた時…いつもの日常に戻っていたら最高だ…
そんな淡い期待を胸に、オレは浅い眠りへと落ちていった
---
キーンコーンカーンコーン…
モノクマ「えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会がお知らせします」
モノクマ「オマエラぐっもーにん!本日も絶好の南国日和ですよー!」
モノクマ「さーて!今日も全開気分で張り切っていきましょー!」
司「…………」
司「…………………」
司「やっぱり…夢じゃなかった…」
司「…とりあえず、外に出てみるか…」
---
ガチャッ…
杏「きゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
司「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」
杏「って、司さん…?もう、びっくりさせないでくださいよ〜…」
司「こ、こっちのセリフだ!!」
杏「あ…それより…あれ見ましたか…?」
司「…?なんのことだ?」
杏「中央の島に橋があったの覚えてますよね…?」
杏「そ、そこに…例のモンスターがいたんですよ…!橋を封鎖してたんです…」
モノクマ「モンスターじゃないよ!モノケモノだよ!」
杏「きゃぁぁぁぁぁ!!でたーー!!!」
モノクマ「モノケモノは、ジャバウォック島のガーディアンなんだよ」
モノクマ「オマエラが進行を無視して、他の島に行かないように守ってくれてるの」
司「…橋には不用意に近づかない方がいいみたいだな」
杏「うぅ…もう嫌だ…」
志歩「ちょっと、何騒いでるの?」
杏「ひぇぇぇぇっ!!?ま、また出たーーー!!」
志歩「で、出たって…呼びに来てあげたのに、人を化け物扱い?」
司「む?呼びに来たとは…?」
志歩「頼まれたんですよ。なかなか来ない貴方達を呼びに行くように…」
志歩「早く来てください…ホテルのレストランで、みんなが待ってますよ。」
司「ホテルのレストランに…?」
杏「そ、そうなんだ…とりあえず行ってみましょう…!」
---
絵名「あっ、やっと来た!」
咲希「もー!遅いよお兄ちゃん!」
司「はは…すまんな」
こはね「あ…!杏ちゃん…大丈夫?」
杏「う、うん!大丈夫!」
杏「って…その料理どうしたの?」
テーブルの上に、沢山の料理が並んでいる…
一体誰がこんな大量の料理を用意したんだ…?
まふゆ「私達が来た時には、もうここに用意されてたよ」
一歌「穂波が用意したの?」
穂波「ううん、私は知らないよ…」
瑞希「んー!でもこれ、すっごく美味しい!!」
遥「もしかしたら…モノクマが用意したのかも…」
司「あんな奴が用意した食べ物なんて…口にしても平気なのか?」
えむ「だいじょーぶっ!特に体に異変とかないし!」
司「本当か…?」
ガシャーーンッ!!
咲希「…!?な、なに!?」
みのり「ひゃぁぁぁ!!ごごご、ごめんなさーい!転んじゃったぁぁぁ…!」
愛莉「えぇぇ!?…それ、転んでるの…?」
彰人「どんな転び方したらそーなるんだよ…」
みのり「よ、よくわかんないですけど…足が滑っちゃってぇ…」
まふゆ「あはは…独創的、だね…?」
瑞希「と、とにかく助けてあげようよ!」
穂波「花里さん!大丈夫…!?」
みのり「ううぅ…な、なんか頭がガンガンするけど大丈夫です…!」
大丈夫なのか?それ…
絵名「えっと…つ、次から気をつけようね…」
みのり「お恥ずかしいところをお見せしました…」
愛莉「それで…私達を集めた理由って何?」
遥「あぁ、それじゃあ…本題に入ろっか」
ようやくか…時間かかりすぎだろ…
遥「異常な状況下を生き抜くにあたって…今の私達に必要なものなんだけど…」
遥「…みんな、何か分かる?」
類「絆…じゃないかな?」
類「僕は思うんだ。超高校級のみんなが協力し合えば、不可能なんてないって…」
類「どんな絶望も乗り越えられる希望だって、生み出すことができる」
類「だから…この島から脱出するために必要なのは、僕らがお互いに結束し合うこと…じゃないかな?」
絵名「まぁ…一理あるかもね」
志歩「だからこそモノクマは、私達が信じ合わないように互いが疑心暗鬼になるようなルールを…」
遥「確かに、この状態で個人で立ち向かうのは難しい…なら、集団で戦うしかない…」
遥「絆ももちろん大事だよ。でも私はね…」
遥「明確なリーダーによる、《《秩序を持った統率》》…だと思うんだ」
寧々「なるほど…でも、そのリーダーって誰がするの?」
遥「今から話し合って決めようと思ってるよ」
遥「立候補する人は…いる?」
一歌「人をまとめる役割なら…朝比奈さんとか…」
みのり「それこそ遥ちゃんだよ!今だってみんなをまとめてるし!」
まふゆ「うーん…状況が状況だし、ちょっと荷が重いかな…」
奏「…私がやってもいいかな?」
穂波「えっ、宵崎さんが?」
絵名「あ、確かに!ニーゴでもよくみんなをまとめてるし…奏って責任感も強いよね!」
こはね「そうなんですね…!」
遥「えっと…他に立候補する人はいる?」
冬弥「俺は宵崎さんを推薦します」
彰人「冬弥が言うなら…俺も…」
えむ「あたしも大賛成だよー!」
瑞希「じゃあ…奏にけってーいっ!」
奏「ふふっ…安心して。絶対に…1人も犠牲者は出させないから」
みのり「た、頼もしすぎるよーっ!」
遥「えっと…とりあえず、私から話してもいいかな?」
遥「みんなに見せたいものがあるんだよね…」
雫「見せたいもの…って?」
遥「ジャバウォック公園に来てほしいんだ」
そう言って、オレ達は桐谷の後についていった
---
司「…な……」
司「なんだ…これ……!?」
ほのぼのとした公園のど真ん中に置かれた、違和感丸出しの物体…
司「時計…じゃないよな」
咲希「こ、これ…前来た時もあったっけ…?」
愛莉「いや…なかったはずよ…」
遥「今朝、もう一度島を見て回ってる時に見つけたの」
遥「いつ置かれたのかは…分からない…」
絵名「モノクマが置いたんだろうと思うけど…」
絵名「このカウントダウン、何を表してるの?」
えむ「んー、心当たりないよぉ…」
志歩「爆弾じゃないよね…?」
杏「ば、爆弾!?」
奏「うーん…島を爆破するのが目的なら、すぐにやると思うな」
寧々「だったらこのカウントダウンは…?」
穂波「謎ですね…」
モノミ「謎でちゅね!」
みのり「きゃあっ!?」
モノミ「きゃあああ!」
司「モノミ…!?」
愛莉「ど、どうしてあんたがここにいるの!?」
モノミ「パトロールしてたらミナサンの声が聞こえたので、寄ってみたんでちゅけど…」
瑞希「そ、そうじゃなくて!モノクマに殺されたんじゃ…?」
モノミ「あぁ、そのことについて心配してるんでちゅね!」
モノミ「大丈夫でちゅよ!あちしは死にまちぇんから!」
冬弥「…モノミは、機械仕掛けのぬいぐるみなんだろう?そもそも死ぬも何もないんじゃないか?」
絵名「な、なるほど…スペアがあればいいってだけだもんね…」
奏「でも、いいタイミングで来てくれたね…このカウントダウンは何を意味してるの?」
モノミ「ほぇ?カウントダウン?」
モノミ「…ふええ!?こ、これって…!」
モノミ「……………………」
モノミ「え、えっと…すみまちぇん…」
モノミ「あちしにはちょっと…わかりかねますね…」
こはね「ほ、本当に知らないの?」
モノミ「ごめんなちゃい…モノクマのすることまでは把握してなくて…」
えむ「モノクマの妹なのに知らないのっ?」
モノミ「あちしはお兄ちゃんの妹なんかじゃありまちぇーん!」
設定を受け入れたのかそうじゃないのか…
どっちなんだ…
モノミ「と、とにかく!一緒に頑張りまちょうね!」
志歩「このカウントダウンについて知らないなら、もう消えていいよ」
モノミ「…え、えっと…一緒に頑張って……」
志歩「いいから、もう貴方に用なんてない」
モノミ「きゃっ…!」
モノミ「ご、ごめんなちゃーーいっ!」
穂波「ちょ、ちょっといじめすぎじゃない…?」
みのり「なんか可哀想に見えてきちゃった…」
愛莉「どうせモノクマとグルなんだから、同情なんてしなくていいわよ」
彰人「あいつのことはもういいだろ…それより、あの物体はなんなんだよ?」
遥「不気味だよね…誰がどうやって、たった一晩であのオブジェを設置したんだろう…」
司「…まだ、分からないよな…」
まふゆ「不気味なのはそれだけじゃないよ…この島にはいくつも謎がある…」
まふゆ「例えば…私達はどうやって、この島に連れてこられたのかな…?」
一歌「そういえばそうですよね…」
まふゆ「他にも…リゾート地として有名だったジャバウォック島が、なんで無人島になったのか…」
まふゆ「ここには、島民も観光客もいない…」
こはね「滅びちゃった…の?」
寧々「あのモノケモノってやつを使って…島民を皆殺しにしたとか…」
まふゆ「その可能性もあるけど…確かではないよね…」
えむ「ううー…謎がいっぱいだよぉ…」
遥「こんなの…並大抵の組織ではどうにもならない…」
遥「この件には間違いなく…なんらかの《《巨大な組織》》が関係してるはず」
司「巨大な組織……?」
遥「モノミやモノクマ…モノケモノ…どれも相当の技術力を要する機械だったね」
彰人「金もめちゃくちゃかかりそうだよな。遊びで造れるレベルじゃねーよ…」
遥「多分だけど、その組織は島の監視カメラを確認しながら、同時に機械を操ってるんだろうね」
雫「その人達は…この島のどこかにいるの?」
遥「…いや、どこか別の…安全な場所でやってるはず…」
みのり「そ、それってどこなの?」
遥「それは分からない…」
遥「とにかく、巨大な組織が動いてるのは間違いないんだよ…」
絵名「でも、その巨大な組織って…想像もつかないんだけど…?」
遥「そうだね…例えば…」
遥「鳳さんの、鳳財閥みたいなところかな…」
えむ「ふぇぇ!?あ、あたし!?」
遥「あ、鳳さんを疑ってるわけじゃないよ?例えで言っただけだから…」
えむ「そ、そっかぁ…よかったぁ…」
杏「でも…何のために私達をこんな目に遭わせるの?」
遥「目的は分かんないけど…正体さえ掴めれば、それもわかるはずだよ」
咲希「島の探索は自由だもんね!よーしっ、頑張るぞー!」
奏「あ、これだけは言わせてほしいな」
奏「殺し合いなんて…ふざけたこと考えないでね。自分がすべきことをしっかりとやろう」
奏「できるだけ体を動かして、少しでも手掛かりを見つける…」
奏「リーダー命令…だよ」
瑞希「わー!命令だって!奏かっこいー♪」
類「それじゃあ…今はやれるだけのことをやろうか」
類「確かによくない状況だけど、最悪ではないよ」
類「だって、僕達は1人じゃない…支え合える仲間がいるんだ」
仲間…か
こいつらといると…妙に自信が湧いてくるな
自然と緊張も…和らいだ気がする
結局、カウントダウンの謎はわからなかったけど…
それほど気落ちすることもなく、コテージへと戻って行った
今すぐ…というのは難しいかもしれんが…
少しずつ、信頼していけばいいよな
って、そんな風にオレが思うだけでも、大した進歩なんじゃないか?
---
…このままコテージでぼーっとしてるわけにはいかないな…
外に出て、誰かと話してみるか
ついさっき、信頼がどうとか話したしな
---
司「む…あそこにいるのは…」
類「やぁ司くん。奇遇だね」
類「…僕って、熱くなるとすぐおかしな台詞を言ってしまうんだ…あはは、分かっててもやめられないんだよね」
類「でも、心にない台詞を言ったことはないよ。全部本心なんだ」
司「…少し、一緒に話さないか?気分転換したくてな」
類「いいのかい?嬉しいよ」
類「…やっぱり、司くんといると落ち着くな」
類と、何か手掛かりがないか探して過ごした
類「…司くん、大丈夫かい?」
司「え、何がだ?」
類「いや…顔色が悪そうに見えたからさ」
類「何か心配ごとでも…って、こんな状況で何もない方がおかしいよね」
類は呑気に笑っている
でも、その笑顔を見ていると…なんとなく気が紛れる気がした
類「?司くん、どうかした?」
司「あぁいや…なんて言うか、お前には最初からいろいろと助けられてるなって…」
類「そんな…僕はお礼を言われるようなことは何もしてないよ?」
類「僕なんかが君の役に立てて、しかもお礼まで言われるなんて…本当に嬉しいよ」
司「僕なんか…って、いきなり自分を卑下しすぎだろ」
類「だって、僕の才能なんてただ運がいいってだけだからね」
類「あってもなくても、いてもいなくても変わらないような…地味な存在なんだよ」
類「あははっ、みんなと違ってね」
そんな明るく言われても…
司「でも、もしかしたらオレの方がどうでもいい才能かもしれないじゃないか」
司「思い出せないくらいだしな…」
類「そんなことないよ!司くんは凄い才能を持ってるはずだよ!」
きゅ、急に熱くなったな…
…なんか、類の疑うことのない態度を見ていると…確かにそうだと思えてくる
ほんと、助けられてるな
類「そうだ、よかったら、僕に思い出す手伝いをさせてよ」
司「え、手伝い…?」
類「うーん、司くんに合いそうな才能…」
類「ズバリ、超高校級の癒し系、とか?」
司「ど、どこを見たらそんな単語出てくるんだ!?」
司「というか、役に立つのか?その才能…」
類「いるだけで周囲を和ませられるって凄い才能だと思うけど…」
司「オレはそんなふわふわしてないだろう…」
類「あははっむしろうるさい方だよね」
司「それはそれで失礼だろ!」
類「…大丈夫。司くんの《《希望溢れる才能》》は、必ずあるはずだから」
ったく、人で遊びやがって…
でも…類のおかげで、さっきよりも気持ちが軽くなった気がするな…
---
ピーンポーンパーンポーン…!
司「…え…?」
今のチャイムって…?
モノクマ「えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会が、お知らせします…」
モノクマ「やっほー!お楽しみのレクリエーションタイムが始まりますよー!」
モノクマ「至急、ジャバウォック公園へお集まりください!」
公園に集まれ…だと?
途端に、嫌な予感が湧き上がってきて、オレの全身に鳥肌を立てていく
司「…モノクマに逆らうのは禁止…」
司「はぁ…行くしかないよな…」
司「…今度はなんなんだ…っ!!」