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君は
突然弾ける雨の音。びっくりして目を開けるとそこには緑色の空が広がっていた。
「あの…大丈夫ですか?」
長い髪紺色の髪を流しこちらを除く女性。
これがわたし雨宮千鶴と、"山江四葉"の出会いだ。
「へえ、雨が好きなんですね。」
|四葉《よつば》が千鶴を見て笑う。
心がぽわっと暖かくなった。
この子は変な子だ。雨の中、廃工場で寝っ転がってる私に声をかけるだなんて。
「ああっ!!迷惑でしたよね!すいません!」
私の視線に気付いたのか、慌てて立ち上がった。
なんでか離れたくなくて四葉のレインコートの|裾《すそ》を掴む。
「あなたは…なんでこんなところにきたの?」
四葉は驚いた顔をした。その後、しばらく黙ってずっと背負っていたリュックをおいた。
「家出ですよ、ただの。」
せつなげな顔で言うと四葉は笑った。
その日は四葉と一緒にいた。
家に帰れないもの同士、話は弾んだ。
アニメ、漫画、イラストにファッション。
とても楽しかった。お米を炊いて、カレーを作った。
そして夜。
「おやすみ」を言ってたから30分ほど経った頃だ。
廃工場の扉の間から光が差す。
なんだと思って扉を覗くとそこにはスーツの男性が2〜3人立っていた。
「起きて!ねえ!四葉!」
小声で四葉を起こす。
唸り声をあげて、四葉は綺麗な紅の瞳を開けた。
「四葉、工場の前にスーツの男の人がが立ってる!」
その瞬間四葉は顔を強張らせ、バックを背負って私の手を取った。
工場の奥へ走っていく。
「なんで…?どうしてここがわかったのよ…?」
四葉は小声でつぶやいた。
「どうしたの?あの人たち誰?」
四葉は私の肩に手をポンと乗せる。
「あの人たちは悪い人なの。私を連れ帰ろうとする。…お父さんの命令で。」
「お父さん…?」
驚いて千鶴を問い返す。自分にはない概念だった。
どおおおんっ!
入り口が勢いよく吹き飛ぶ。
黒服が5人と白いスーツに白髪混じりのおじさんが入ってきた。
「逃げなきゃ!」
四葉は工場の屋上へと向かう。
その際の足音に気づいた黒服たちが後を追ってきた。
「そこの銀髪!お前が諸悪の根源かァ!?」
おじさんが私を指さすと黒服たちは私にターゲットを変更した。
そして次の瞬間。
青と白の火花が散った。
体に走る痛みに思いがけず倒れてしまう。
「さすが我が社のスタンガン!…………」
会話が聞き取れない。意識が薄れてく。
そのまま、気を失った。
「四葉ッ!」
起きたらまだ廃工場。
「なんだ、夢k…」
安心して顔を上げると、扉が変形して開いていた。
あたりには瓦礫が転がっている。
…そう、あたりには瓦礫しかない。
四葉が…いない。
手に違和感。下を見ると指の間に名刺が挟まれていた。
「…|山江財閥《やまえざいばつ》|山江直哉《やまえなおや》…」
あのかの有名な山江財閥の社長!?
じゃあ四葉は…
そう思ったら体が動いた。
走った。名刺の住所へ。
何時間ほど進んだだろうか。あたりは知らない光景がたくさんだ。
秋の夜の寒さが体に染みる。
顔を上げる。そこには「山江財財閥」と書かれた標識とリムジン、花畑、何よりお城みたいな家があった。
「四葉…」
あたりを見渡す。いない。
あるのは揺れる花畑の彼岸の花。
「あ…千鶴…」
四葉の声がして家の方を向く。
そこには真っ逆さまに落ちている四葉がいた。
刹那がスローモーションになる。
四葉の髪は靡いて顔を半分ほど隠していた。
家のテラスには下に手を伸ばすおじさんや黒服。
走り出した私は無様にこけた。
私の地面に足が当たった瞬間、スローモーションが解け、四葉は落ちた、
急いでで駆け寄る。
落ちて、こんな綺麗な死体があるだろうか。
首の骨が折れただけで全身は彼岸花の上に横たわっていた。
その時、涙も叫びもせずまじまじと彼女を見つめた。
四葉の手に握りしめられていた紙を取る。
そこにはこう書いてあった。
"いつかの君へ。
この手紙をあなたが読んでいると言うことは私はタヒんだ。
信頼できる人に出会えたのでしょう。
そこで、私が信頼したあなたにお願いがあります。
このクローバーを受け取ってください。
そして、私を探してください。記憶がなくてもいつか生まれ変わって、また一緒に遊びましょう。
約束です。
四葉より。"
それから私はアイドル活動を始めた。
いつか四葉に出会えると信じて。
そしてこれを読んでくれているファンの子も、四葉の生まれ変わりかもしれない。
たとえそうじゃなくても、私はあなたを幸せにしたい。
だから、一緒に遊ぼう!
終わりです
ちょっとだけ変えた実話です。
安心してください、私はちゃんと家に住んでます
この話はこれで終わり!それじゃあ、またねー!