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話
勇気を持って話そう。
この話は古代より伝わる、あなたの命についての話だ。
何よりも重く、暗く、また恐ろしい。
それをあなたが受け止められるのなら、私も大きな覚悟とともに話す。
今の沈黙は、
受け止められるのだという意思表示と受け取る。
あなたの命は、もはやいつ潰えるかわからない状態である。
何によって潰えるのか、誰がその引き金を引くのかは、あなたの今からの生き方次第である。
あなたの心では、死ねるものであれば死にたいという気持ちがあるのかもしれない。
が、そんなことは知ったこっちゃない。
あなたが死にたいと願おうが、あなたの命は生きようと懸命である。
あなたの願いが叶うか、あなたの命が踏ん張り耐えるか、それは誰にもわかるまい。
あなたは、どんな死に方を望むか。
安らかに死にたいか。
苦しみ抜いて悶えぬいて死にたいか。
しかし、あなたの死に方は、よほどのことがない限り自身で決められるものではない。
この話をあなたは、嘘だと笑うだろう。
あなたは、自分には関係ない小説上の話だと断定しているだろう。
だがここでずっと呼びかけている言葉はすべてあなたへのものだ。
そう、これを読んでいるあなただ。
いつ死ぬかわからない。
命の消え方も予想できない。
ごく普通の、人間が生活するうえでのリスク。
ここまで連ねられていた言葉は、あなたが生きている限りずっとつきまとっている。
これまでも、もちろんこれからも。
死ねば途方もない永遠が待っていて、生きる時間の大きさは、永遠にしてみればゴマ粒ほどでもない。
その間で、あなたは何を望むのか。
この時間を、死ぬことに費やそうとするか。
綺麗事では決してない、ただの事実。
今隕石が落ちてくるかもしれない。
人類が未だ知らない生物に襲われるかもしれない。
人類も一生物である。
地球、宇宙のすべてを知るには小さすぎる存在だ。
あなたは、今死ぬかもしれないという死地を知らずのうちに乗り越え、
歳を重ね、生きている。
奇跡の積み重ねと、奇跡のなし崩し。
生きるという動詞の中の幾万幾億の奇跡。
その輝きの中で、わたしたちの影は落とされるのだ。
ただ、あたり前のことを言っているだけ。
それでも意識するかしまいかによって生き方が変わるものだ。
いつ死ぬかわからない。
じゃあ今、奇跡を積み上げながらしたいことをするべきだ。
死とは息をし手に入れた刹那の奇跡を無に帰さす恐ろしいものである。
死にたいと思うのなら、それは生きているという証明である。
死ねるのは、今まで生きていた象徴である。
いつその証明を、象徴を為すかは別としても、
あなたはその証明や象徴にどれだけの価値を擦り付けるか。
短い時間の証明より、長く長く、踏ん張った証明のほうが良いと思わないか。
その証明は、量より質だと考える人もいるのかもしれない。
きっとそう思っているあなたは、乗り越えた死地がぎりぎりすぎた。
本当に死んでしまう。
こんな奇跡は光り輝くものでない。人に、昏い。
ずっとそう感じてきたのだろう。
その時は、命すら死を望んでいるかもしれない。
じゃあ、死んでもいい。
死んだあとに後悔などすることはないのだから。
死んだあとに苦しむことはないのだから。
常人の何倍も昏い奇跡を積み重ねたなら。
でも、死のうとしたとき、その引き金を引くのが自分であるのは、
虚しくないか。
虚しいと思わないのなら、存分に血を撒いて見せてほしい。
ただ虚しいと思うのなら、とどめてほしい。
死ぬその瞬間虚しいと思うことは、命が生きたがっている印であるのだ。
命が踏ん張るのなら、もう少し奇跡に期待してくれ。
もう少し、捨てたものじゃないと考えてくれ。
命がないと意味がないのだ。
生き方を変えるなど簡単なことではないし、もう一度あまりに昏い奇跡に出会ったとき、
あなたの命は今度こそ崩れ去るだろう。
だとしても、生きて、愚かに変化する世界を見ていてほしい。
生きてほしい、そう一律に言ってしまえるほど狂気じみた聖人になったつもりはない。
寧ろあまり苦しい思いでこの世界を生き抜くことは容易くない。
それでも、だからこそ、生きなくていいといえばきっとみんな死んでしまうから。
今まで生きてこれたことになんの違和感も覚えずに、当たり前に死んでいくから。
生きる意味などという小難しいことはわからないものの、
生きる内訳のようなものは考えれば見えるのだから、少しでも導けるようにしたいと思う。
求道者でも先導者でもないけど、あなたに生きることを教えたい。
こんな駄文長々と読んでいただけたこと嬉しく思う。
生きることはバランスを保ついわば遊びであり、その遊びで無数の苦しみと喜びを経験する。
もしよければ、ここから生きることを考えてみてはくれないだろうか。
なんだこれ
でも、私が最近考えること、私が今ここにいることは途方も無い奇跡の積み重ねなんだということを伝えたかったんです。
最後まで読んでくださった方には感謝しかありません。
ありがとうございました。