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Day.1-9
注意書きとかは同シリーズの「前書き」見てね。
太宰「それで、何処よりも安全というのは──」
アリス「信じられないかもだけど、先生の力よ」
高等部二年担任、シャルル・ペロー。
社会科の教員であり、普段は世界史を教えている。
興味がないことには一ミリも興味がないが、生徒のことを第一に考えるルイス達が高等部一年の時からの担任だった。
シャルル「“|赤ずきん《Little Red Riding Hood》”。どうやら紅い布を操れるみたいで、こんな風に獣みたいになる。まだ扱い切れていないが、この獣が空間を喰らうことで内と外に壁みたいなのが出来る……で伝わるか?」
太宰「私は理解できましたけど、ルイスさんは?」
ルイス「まぁ、何となく」
中也「どうして手前ら分かるんだよ」
太宰「何処ぞのおこちゃま中也と違って学年トップだから」
中也「あ"?」
アリス「そこ! 喧嘩しないの!」
いつも通りの太宰と中也に、クラスメイトが笑う。
非常事態でも変わらないものがあれば、少し安心できるようだった。
ルイス「アリス、僕の力は異空間に人を出し入れすることが出来る。シャルル先生もずっと力を使っているのは大変だろうし、僕達が見つけた生存者は其処にいるから送っても良いかな?」
シャルル「私のことなら心配いらないが……」
???「良いんじゃないかしら」
アリス「……理由は?」
奥から現れた紺色の三つ編みの女子に、アリスは問いかける。
???「一つ。ルイスが言った通り、いつまでも先生に安全を確保してもらうわけにはいかない。一つ。生存者数によっては通常教室で過ごすのはストレスになる」
太宰「流石ですね」
???「最後にもう一つ」
中也「まだあるのかよ!?」
???「ルイスさえ生きていれば、生存者の安全が確保される。逆にルイスが死んだら全員死ぬことにならないかしら?」
教室がザワつく。
ルイスとアリス──それからもう一人、黒髪の男はため息をついていた。
アリス「レイラ、皆を不安にさせないでちょうだい」
レイラ「あら、私はちゃんと良いと思った理由は云ったわよ? ただ悪い点も知らなければいけないじゃない。死人は何も云えないのだから」
???「それでしたら僕も一つお聞きしたいことが」
アリス「……貴方も何かあるのかしら、フョードル」
大したことではないのですが、とフョードルは一息置く。
フョードル「ルイスさんの異能力で異空間を通じ、外に出ることは無理なのですか?」
ルイス「試してはいない」
フョードル「……。」
ルイス「けど、今は生存者を少しでも救うべきだ。現時点で試さないといけないかい?」
フョードル「……──いえ、考えを知りたかっただけなので」
🐰赤ずきん/Little Red Riding Hood
シャルル・ペローの異能力。効果は自身の服を刃などに変化させるというもの。自身の服ではなくても変化させることができ、紅い布であれば例えハギレだったとしても獣に変化させることが出来る。(本編と同じ能力。ちょうど紅い服だったからよかったものの、もし違ったのなら──。)
🐰レイラ
高等部二年。アリスとはよく女子のトップ争いをしており、何かと比べられがちではある。ファンクラブが面倒くさい。(仲が悪いわけではないけど、用がなければ全く関わらない。)
🐰黒髪の男
高等部二年。唯一レイラが心を許している人物で、基本的に無言。(次の話ではまだ名前でないです。)
🐰フョードル・ドストエフスキー
高等部二年。病弱体質でよく体育は見学しているが、座学では太宰と並ぶ学年一位。(何故かルイスに絡んでは冷たい反応をされて落ち込んでいる。演技の可能性もあるから結局なにがしたいのか分からない。)