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救
晴瀬です。
最近小説を縦読みで(?)文を縦にして読むのにはまってます。
雰囲気が出て好き。
救いたかった話です。
君を
救えるのは僕だけだった
救えなかった
救わなかった
救おうとしなかった
僕は
逃げた
遠ざけた
避けた
黙って見詰めて嗤った
君は
求めなかった
諦めた
傷付いてない顔をした
君を
笑顔にしたかった
心から笑ってほしかった
泣かないでほしかった
傷付かないで生きていてほしかった
死にたいなんて思わないで幸せに
生きてほしかった
僕が
君を殺した
笑顔を消した
泣かせた
苦しめた
痛くして
感情を奪って
君を
救えなかった
裏切ったのは僕だ
儚い君は夏の花のように
消えた
僕の前から姿を消した
誰も
悲しまなかった
また嗤った
学ばなかった
君の
死を誰もみなかった
僕は
君を追いかけた
「やっと追い付けた」
「あの時はごめん」
君は
僕を見た
表情を強張らせて
目を泳がせて
荒く息をして
生唾を呑んで
冷や汗をかいた
「まだ、気が済まないの?」
君は
逃げた
僕を怖がった
僕は独りになった
僕があの時、君を救わなかったから
僕があの時、君をみなかったから
何も手に残らなかった
何もかも、僕は何もかも失った。
都合がいい