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空に浮いたら。26
きれいな夕日が光る道路を、麗王たちは帰っていた。
静かに、静かに帰っていた。
((いやきまず....))
風と麗王がそう思ったとき、彩花が喋りだした。
「唐沢くんと私って、前あったことある気がするんだけど.....ない..かな?」
高く可愛らしいその声が、静かな道に響き渡る。
(彩花は俺と同じで前の記憶がある...はずだよな)
「俺は、なんとなく覚えてる。多分、彩花....さんだと思うんだ。」
レオには一つ気がかりがあった。実は、蓮が自分に記憶を渡してくれたときにもう一つ教えてくれたものが会ったのだ。
『前の記憶がない人間に自ら自分の前の記憶を明かすと、その人間は飛び散り、命ごと消え去ってしまう。』
もし彩花に記憶がなかったら。そう考えると、なかなかこのことを言い出せなかった。
「だよね!会ったことあるよね、多分。その時の男の子もかっこよかったから、きっと唐沢くんだよ!」
「........っ」
’’かっこよかった”風が簡単には言えないその一言を一瞬で言ってしまう彩花を、少し羨ましく思ってしまう。
「ねえ〜。風ちゃんもそう思うよね??」
案の定、答えを迫ってくる彩花に、風は少し嫌悪感を抱いた。
「っ......そ、そうだと思う、よ。」
少し震えながらも、少しずつ口を動かしていく。
(大丈夫、大丈夫........彩花さんは、きっと、風のことを邪魔だと思ってる...よね。)
ここで引いたほうが良いのではないか。そんな考えが頭をよぎったとき。
「でもなぁ...昔って言ってもどれくらい昔かわからないし。なんなら俺が一度会って顔を覚えてから二度目会った女の子って少ないし...だから風は貴重だよな!」
笑顔で、麗王はそういった。空気を読めないのか、風を助けたのか...それがわかるのは麗王だけ。
でも事実として、風はその笑顔に救われた。
(あぁ、どうして引こうと思ったのだろう。どうして諦めようと思ったんだろう。こんな人が、私を友達だと、貴重だと言ってくれたんだ....近くから離れるなんて、何で思ったんだろう...!)
少し色がついた顔で、風は言葉を発していく。
「彩花さんって可愛いよね!ねえ!彩花ちゃんって呼んでもいい!?これから仲良くしようね!」
「..........................................うん。ありがとう、風ちゃん」
風にとっての精一杯の宣戦布告。
(これからもっと、言えるようになるね!)
ギャグけいからなんとかギッタギタの恋愛路線へ移行させました。
最近短編ばっかりだったからこっちもいいかなぁってw
おすすめボカロ曲
定番だとやっぱり「ヒバナ」「グッバイ宣言」「マーシャル・マキシマイザー」
私が好きな曲は 「生きてた頃に戻れたらさ」「メリュー」「ノンブレス・オブリージュ」
です!これから一作品に付き一つづつおすすめ言っていこうかな