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collaboration.21
シヴァの事件から2週間。
まさかのルイスが──!?
No side
ポートマフィア壊滅を目的とした帽子屋の最初の犯行である“中原中也の捕縛”。
それはシヴァ改め***との契約だった。
シヴァの目的は“荒覇吐”であり、現場には異能を分離させるための機械が揃っていた。
救出に向かったルイス・キャロルと探偵社、マフィアの尽力によりシヴァと帽子屋の二名の身柄を捕縛。
死者は百近いが、全員帽子屋によって雇われた傭兵であった。
首謀者であるシヴァは特務課に身柄が拘束された。
又、帽子屋のマッドハッター改め***と三月ウサギ改め***は、シヴァに利用された異能者(数日前に死亡)によって洗脳されていたことが分かった。
事実確認の為の一時的な身柄の拘束はあったものの、現在は釈放されている。
眠りネズミ改めフョードル・ドストエフスキーについては逃走された為、詳しい情報が分からない。
フョードルが仕組んだことなのか、はたまた別の者なのか。
真相は闇の中である。
ルイスside
殆どの後始末は終わり、平和な日常が戻ってきた。
桜月ちゃんやテニエルは外の世界で、探偵社に色々とお世話になっている。
僕が|異能空間《ワンダーランド》から動けないのが一番の理由。
まだ、#アリス#は目覚めていない。
テニエル「また此所にいたのかよ」
テニエル、と僕は振り返る。
唯一、|異能空間《ワンダーランド》に来れる彼が鏡以外で僕と外の世界を繋いでいる。
テニエル「はい、これ眼鏡から包帯が預かったやつ」
ルイス「安吾から太宰君が貰ってきたんだね」
ありがとう、と僕は書類を受け取った。
これが表向きの報告書か。
此所には桜月ちゃんを初めとした、もう一つの世界のことについては書かれていない。
書かれているのは重要機密にされた書類の方。
それは種子田さんや安吾しか見れないから、心配はいらない。
桜月ちゃんが異能力を使った件もいい感じに誤魔化してくれた。
テニエル「もうシヴァの事件から二週間だぞ。泉桜月達は帰さなくて良いのか?」
ルイス「もちろん帰そうとしたよ。でも──」
「「#アリス#さんが起きるまで帰れません!」」
え、と僕は振り返る。
重なった声は桜月ちゃんのものだ。
桜月「まだ帰れるわけないじゃないですか。#アリス#さんと話したいこと沢山あるんですよ!」
中也🌸「俺も。まだ感謝を伝えられてねぇし」
テニエル「ま、もう一週間ぐらいはいいんじゃないか?」
ルイス「……君、結構桜月ちゃんに甘いよね」
テニエル「元は敵だが、共闘したり殺されかけたりしたからな」
普通、それで甘くはならないんだよな。
そんなことを考えていると、視界の隅で何かが動いた。
桜月ちゃんの異能力である『幸運の招猫』が歩いている。
そのまま僕の膝に乗ったかと思えば──。
#アリス#「ん……」
#アリス#の枕元で白猫は眠り始めた。
そして、#アリス#がゆっくりと目を開く。
#アリス#「あ、るいす……」
ルイス「#アリス#!」
莫迦、と僕は#アリス#に抱きついた。
ルイス「どれだけ僕が心配したと思っている! もし目を覚まさなかったらと、本当に僕、君も失ったら──」
それから僕は、周りを気にせずに泣き続けた。
#アリス#side
ルイス「そのッ、お見苦しいところを、お見せして、すみませんでしッ、た」
#アリス#「まだ泣いてるじゃない」
ペシ、とルイスの頭を私は叩く。
そしたら号泣し始めた。
いやまぁ、彼女だけじゃなくて私も失ったら嫌よね。
桜月「ルイスさん、そんな風になるんですね……ちょっと意外……」
テニエル「てか、俺の時みたいに招猫が触れて目覚めるなら変に外でなかった方が良かったんじゃないか?」
ルイス「……また僕間違えた?」
桜月「ボス!? ちょっと黙って!?」
テニエル「いや、すまん」
ルイスは間違うと病みかけること、桜月ちゃん達に知られてるのね。
私が眠っている間に何があったことやら。
でも──。
#アリス#「大切な人が増えたようで何より」
ルイス「すやぁ……」
#アリス#「あら、寝ちゃったわね」
桜月「え、ルイスさん可愛い」
テニエル「泣くだけ泣いて寝るとか|子供《ガキ》かよ」
桜月「ちょっとボス!」
二人も仲良さそうで何より。
それから私はルイスが起きないように眠っている間に何があったのか聞いた。
#アリス#「……殺し合い?」
中也🌸「テニエルが死にかけたな」
桜月「いや、その、私が皆の話を聞かなくて……」
テニエル「結果こいつは莫迦だってことだ」
桜月「私、莫迦じゃないもん!」
それから私は二週間も眠っていたのでリハビリを──。
桜月「え、なんでそんな動けるんですか?」
──するわけではなかった。
#アリス#「あくまで私は異能生命体と変わらない存在だから、かしらね。詳しい説明してあげましょうか?」
テニエル「いや、ダルいからパス」
ふふっ、と私は微笑んでおいた。
#アリス#の詳しい説明はまた今度でもいいかもしれないわね。
中也🌸「#アリス#さん。俺を助けるために色々と動いてくれてありがとうございました」
桜月「私、ちゃんと助けれました! 本当にありがとうございました!」
#アリス#「……貴方達は上手くいって良かったわ」
桜月「でも自己犠牲はダメって云ってましたよね!? なんで#アリス#さんがしてるんですか!」
#アリス#「あれしか方法がなかったから」
マッドハッターに殺しをさせるわけにはいかない。
大切な人を守りたいという想いは私もルイスと一緒だから。
#アリス#「でも、こんなに眠ることになるのは完全に予想外だったわ。マッドハッターは大丈夫? 病んでない?」
桜月「ちゃんとルイスさんと仲直りしてますよ。今は特務課のところですけど……」
テニエル「ん? もう彼奴ら釈放されてるぞ?」
暫く桜月ちゃんは固まって、大きな声を出した。
桜月「え、マッドハッターさんも三月ウサギさんも釈放されてるの!? 何で!?」
テニエル「いや、普通に洗脳されてたことが分かったんだよ」
中也🌸「この世界の特務課にも|坂口安吾《記憶を読む異能者》がいる。彼奴らには洗脳されたときの記憶があるらしいし、多少牢に入ることはあってもすぐに釈放されるだろ」
桜月「な、なるほど……」
中也🌸「ま、流石に今なにしてるかは知らねぇけどな」
#アリス#「帽子屋として活動してると思うわよ。想いを、今度こそ護るために」
そう、私は優しく微笑んだ。
ルイスside
ルイス「お見苦しいところをお見せして誠に申し訳ございませんでした」
桜月「だから謝らないでいいですって!?」
数時間後、僕は起きて謝っていた。
桜月ちゃんと#アリス#の説得によって謝罪はやめ、帰る前にこの横浜を見て回ることにする。
桜月「まずは何処から行きますか?」
ルイス「僕に付き合わせることになっちゃうんだけど、ずっと待たせてるし彼処に行きたいんだよね」
中也🌸「彼処?」
そうして僕達がやって来たのは──。
森「君達が別世界の人達だね」
ポートマフィア本部最上階、首領執務室だった。
三人は、少し緊張している様子。
森「そんなに緊張しなくていいのに……しくしく」
中也🕰️「|首領《ボス》、ふざけないでください」
エリス「リンタロウの嘘泣き、気持ち悪い」
紅葉「あまりふざけてると口を縫い合わすぞ」
桜月「……もしかして、私の世界より仲良い?」
中也🌸「いや、そんなわけ……。でも、|首領《ボス》が虐められてるようにしか見えねぇ……」
テニエル「お前達の世界の方がカッコいいんじゃねぇか、ポートマフィア首領」
ルイス「僕もそう思うよ」
森「嘘でしょ!?」
さて、と僕は森さんに資料を渡した。
ルイス「これ、今回の件の資料。特務課から預かってきました」
森「ありがとう」
ルイス「詳しいところは省かれてるので、直接答えに来たんだけど……聞きたいことある?」
森「君がどれぐらいこの件に関わっていたのか」
ニコニコと、森さんは僕を見て云った。
いや、そう来ることは予想していた。
だけど説明面倒くさいんだよな。
ルイス「云っておくけど、ポートマフィアを潰そうとしたのは僕じゃないよ。シヴァをどうにかするついでに、彼が自分の作戦を進めようとしただけ」
そもそも大前提として、シヴァが中也君の中の荒覇吐を使って世界をやり直そうとした。
ルイス「ま、真犯人が誰かと聞かれたら──」
--- 魔人君と僕だね ---
紅葉「それは、どういうことかえ?」
ルイス「別に、そのままの意味だよ。シヴァを止める為に僕は魔人君と一時的な協力をしていた」
ここまで大事にする予定はなかったんだけどね。
そう、僕はため息をつきながら頭を抱えた。
ルイス「だから森さんの質問の答えは《《最初から最後まで》》だね」
森「……なるほど」
ルイス「他に聞きたいことは?」
中也🕰「質問、とは違うんですけど結局シヴァの犯行動機は何だったんですか?」
簡単なことだよ、と僕は笑う。
ルイス「破壊したいほど、この世界に絶望していた」
そして世界を変える力をシヴァは見たことがあったのだろう。
多分、8年前。
魔獣vs荒神なんて、忘れられるわけがないだろう。
ルイス「さて、僕達はこの辺で──」
森「ルイス君。この後は暇かい?」
紅葉「そう嫌な顔をするでない、ルイス」
うげぇ、と僕は眉をひそめていた。
こういう時の森さんの提案って最悪なことが多いんだよ。
僕一人なら強制的に話を終わらせて|異能空間《ワンダーランド》に逃げるんだけどな。
流石に桜月ちゃん達を置いていくわけにはいかない。
《《仕方なく》》、僕は森さんの提案を聞き入れることにした。
第二十一話。
ルイスくん、まさかの大号泣。
アリスが目覚めて本当に良かった。
いやぁ、情報がごっちゃしてきたねぇ…
なんか小説以外でまとめたりしたほうが分かりやすいかな。
シヴァとかの情報もまとめる予定だから、そこにぶち込もうと思いまーす。
ここでクイーズ!
森さんの提案とはなんでしょーうか!
正解はー?
もちろん次回までのお楽しみでーす((うぜぇ
後書きが雑なのは気にするな☆
それじゃ、また次回お会いしましょう!