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最強娘【1】
私は普通の中学生だ。学力平均、運動能力少し上。ほとんどなんの取り柄もない。名前は、佐藤|安子《やすこ》。周りからは、誠実な名前だとか、安泰な名前だとか言われるけれど、私自身がそうはならないこと、そうではないことを理解している。
平凡とはいえど、友達は数名いらっしゃるので、朝から学校絵向かう道中も、色々と話しながら向かう。
「テスト、やばいかも」
うんうん。頷きはするけど、正直興味ない。
「安子は?」
曖昧に微笑んで誤魔化す。別に、悪くない点数なわけだから。
「えー、そんなに自信ない?」
楽しそうに一人で話す友人のレイ。そこまで話すのが好きなのだろうか。
それは、突然だった。
「ぐっ」
喉に衝撃が走った。
後ろから掴まれているっぽい。
正面ではレイが顔を真っ青にして突っ立っている。目で、助けなさいよ、と語りかけてみるが、全く通じない。
苦しいな。
後ろに、引きずられる。前の家の窓に反射して見えるのは、黒い車だ。
流石に、あんなのに乗せられたら、人生終了だ。
仕方ない。本気出すか。まじで、ほんとに、出したくないけど。
私を襲ったのが悪かったのだ。
私は体を一度思いっきり前に倒した。
誘拐犯は、逃げようとしたと思ったのか、軽く笑って、手の力を増してくださった。笑っていられるのは今のうちなので、心から笑っていただきたい。
3、2、1。
心でカウントダウンする。
体の重心を瞬時に後方に移動させる。強い力で後ろに引っ張られていたので、更に、加速する。
全力で後方へ。幸いやつはやや小柄で、私より少し背が高い程度だ。行ける。
私の後頭部は、相手の鼻に命中した。
「ぅ゙」
やつの手が離れた瞬間に、走る。ついでに車にけりを入れて、大きくへこませておく。
やつは鼻血を滝のように流している。鼻が腫れてテングザルみたいだ。
「レイ、スマホ」
スマホを借りて、写真を撮る。ついでに車も写真に収める。
「乙」
捨てぜりふを吐いて、全力で逃げる。やつも追いかけてくるけれど、そんなの目じゃない。やつはせいぜい中年のおっさんだ。まあ若いの分類に入るだろうけど、私達のほうが圧倒的に若い。それに私達はどちらも50m走7秒台とまあ速い方だ。
それに、今は下手すると生命が脅かされる自体にあるため、普段よりは速く走れている。
私達は、やつを撒き、交番に直行した。無論、写真は警察のほうに公開した。これを機に、やつには、今までの行動を悔やみ、更生していただきたい。