２４．

あれから３日。毎日練習することで、少しずつ刀が使えるようになってきた。 「『妖刀 雷電』」 雷をまとわせた刀を構え、素早く動いて斬る。 「だいぶ良くなってきたね、その調子だよ。」 私の練習相手、美音はそれをすっと避けた。 「それを余裕で避けてるじゃん、やっぱりすごいね。」 やっぱり敵わないな、と思ったところで、あれを思い出す。 「私、新しい魔法を思いついたんだ。受けてほしい。」 「そうなんだ、何属性の魔法？」 「それが、どれにも当てはまらなくてさ。オリジナルってやつ。」 「面白そうだね、なら本気の結界で受けてみる。『上級聖魔法 八神結界』」 美音の足元に魔法陣が生まれ、見るからに硬そうな結界が展開される。 「これは壊すのに苦労しそうだね・・・・、ヒビも入らないかも。」 「自慢の結界だからね、壊れない自信があるよ。」 そう笑いながら言った。 「なら、それを壊してあげましょう。粉々にしてやりますよ。」 聞き覚えのある声に、緊張感が走った。 ここにいるってことは私が倒しそこねたんだろうね。 「優花、また倒されに来たの？」 「私のこと、覚えてたんですね。なんだか意外です。」 私の煽りを完全にスルーしてくる。 「あの後、彼らを鍛えて私の部隊はさらに強くなりましたよ。」 あなたたちはどうなんですか、と聞かれて私は答える。 「たった今鍛えてたところだよ、誰かさんを返り討ちにするためにね。」 「あなたたち２人だけで勝てるはずがないでしょう？ 前回もあんなにギリギリだったのに。」 「『上級植物魔法 はらりと散る葉と命』私のことをお忘れなく。」 「『神降 ｜月光銃《ルナバレット》』我もいるぞ、蹴散らすから見ていろ。」 葉と月の弾丸が、相手に混乱を誘う。 私の技とは比べ物にならない速度で相手を壊していく。 「隊長、こちらへ！『上級闇魔法 闇隠れ』」 闇に数人が入っていった、あそこでやり過ごそうって魂胆だね。 「美音、あの闇を浄化できない？」 「やってみるよ、『上級光魔法 聖なる光の加護』」 光の渦に少しずつ闇が呑まれていく。 うっすらと闇の中が見えるくらいになって、私は美音の浄化能力に驚く。 「練習途中だけど、やってみるか！ 『妖刀 雷電』」 闇に入れなかった悲しい人たちを斬る。 これは生物の核、魂を斬って優花の累魔法の強みを活かせないようにする。 累魔法はあくまでも生きている味方が関わる、いなくなったら関係ない。 焦りを隠せない優花の姿が闇の向こうに見える。 「・・・聞いてた話と違うんですけど。」 優花はそう言葉をこぼす。 「これも計画通りなんですか、第２王女様。」 その問いに答える人物はおらず、静寂が訪れる。 「結局、私は利用される運命なんですね。」 「そんなことないわよ、私はしっかり支援していたわ。」 木陰から忌々しい私の姉、第２王女が現れる。 __「シャルム、これって多分仲間割れだよね？」__ __「えぇ、きっとそうです。私達からすればチャンスかと。」__ __「運が良ければ一網打尽にできるかもね。」__ 私達が漁夫の利を得ようと考えていると、｜あいつ《姉》は優花にこういった。 「ルアーはこの計画に反対していたけど、すぐ引っ込んだわよ。」 「・・・・私が知らないところで計画が動いてたんですね。」 「だってあんた、父さんのこと尊敬してないでしょ？」 「そうですよ、私が敬うのはルアー様だけ。その上に魔王がいるだけです。」 負けじと優花が言い返すと、不機嫌そうに鼻を鳴らすあいつ。 「まあいいわ、あんたもろとも消し去ってあげるから。」 「一番の目標は第３王女討伐でしょう、仲間の私を消しては本末転倒ではないですか。」 「あいつを消したあとに、あんたも消えるのよ。」 そこまで会話をした２人は戦闘態勢に入る。 「よくわかんないけど、とりあえずどっちも倒せばいいんでしょ？」 「美咲らしいね、でもそうだよ。それに練習の成果が出せるんじゃない？」