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林檎
颯汰さん
あるところに、商売かしこき男ありき。 その男はその商売の腕見込まれ、ある国の王に頼み事をされき。 そは、この国に採らるればしまひし林檎を、 あこぎな商売と覚えで高きあたひに売らなむといふものなりき。 男は、二つかへりごとにその頼み聞き入れき。 次の日、男は林檎をあまた入れたりし箱をいたづらにし、 大量の金を持ちて帰りきたり。 「驚きし、いかであれを売りけり。 あれは品質も悪しければ、捨つるつもりのものなりしぞ」 王はいみじく驚き、男にさ尋ねき。 男は笑ひつついらへき。 「憎き人を殺すべき、毒林檎と言ひて売りき。 あこぎな商売とは言はれず。おのれが人を殺さむとせりと、 噂を流さるまじければなり」
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