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織りなす魔法。2話
こん〜!どもHaruです☆ ぜひ応援よろしくお願いします!
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青空は昨日と同じように広がっていた。
けれど、広場に流れる空気は、どこか違っていた。
木々が優しく風に揺れても、誰もその音に気づかない。
6人のリーダーたちは、昨日と同じ場所に集まっていた。
でもその中心には、かすかに広がる“沈黙”があった。
ドライは、いつものように一番に来てベンチに座っていた。
手には水の入った小さなボトル。けれどそれを飲むこともなく、ただ静かに目を伏せていた。
その横顔は静かすぎて、まるで水面に落ちた一滴の石の音まで聞こえそうなほど。
「なあ…昨日のこと、まだ気にしてるのか?」
カイが思い切って声をかけた。
どこかぎこちない、けれど優しい声。
ドライは、少しだけ目を細めて、ゆっくりと息を吐いた。
「……別に。慣れてるさ、こういうのは」
その返事は、あまりにも淡々としていて――
逆に、どれだけの痛みを飲み込んでいるかが伝わってくるようだった。
近くにいたリアムが、摘んだ花を指でくるくると回しながら、そっと呟いた。
「昨日のドライの顔、初めて見た気がする……強い人ほど、無理するんだね」
リアンは、あくびをしながら草の上にごろりと寝転がった。
けれどその目は覚めていた。
誰よりも無邪気に見える彼も、空気の変化に気づいていた。
「ネットのやつ、ほんっとむかつくな。なんでわざわざそういうこと書くかね?」
「無駄。誰かが勝手に言ってるだけ......」
ゼインが低い声でぽつりと言った。
スマホをポケットにしまいながら、顔は誰にも向けていない。
けれど、テオはその指がわずかに震えているのに気づいていた。
「……ゼインも、見たんだね」
テオはアクセサリーをいじりながら、少し声を落として言った。
いつもの明るさを保とうとしていたが、その笑みはどこか張りつめていた。
「……ま、あれはさすがに言いすぎだよ」
そう続けたテオの声に、他のメンバーも目を伏せた。
`『もうあきれたわ〜こんなやばい過去持ちの連中が集まるところにいたくない』`
あの書き込みが、皆の心に影を落としていた。
一言の悪意が、少しずつ心の深くに染み込んでいく。
カイは無意識に、ベルトに下げた道具袋を確認した。
誰にも見せない癖だった。自分が整えてきたこのチームが、バラバラになってしまわないように。
それだけを、ずっと心の奥で願っていた。
「今日、どっか出かけてみない?」
リアムがふっと空を見上げながら、ぽつりと提案した。
「ずっとこの広場じゃ、気持ちも晴れないし。森の方、今花がいっぱい咲いてるよ」
「……それ、いいな」
テオがそっと同意する。
リアンも大きく伸びをしながら、立ち上がった。
「んー!じゃあさ、今日は花見と行くか?リアムの特製サラダも食べたいしな〜」
「え、作ってくれるの?」
カイがちょっと驚いた顔で振り向くと、リアムはふわりと笑った。
「うん、みんなが食べてくれるなら、いくらでも作るよ」
一瞬、柔らかい空気が流れた――
が、そのとき、ゼインのスマホが震えた。
彼は音もなくそれを取り出し、画面を見た。
差出人不明のメッセージが一件。そこにはこう書かれていた。
「お前たちは知らない。
まだ、何も終わってなんかいない」
ゼインは顔を動かさずに画面を閉じた。
けれど、その視線の奥には、何か別の“ざわめき”が確かに宿っていた。
そしてこの時、誰も気づいていなかった。
この静かな違和感が、やがて6人の関係に大きな波を起こしていくことを――
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昼下がりの陽射しが、緩やかに森の木々の隙間から差し込んでいた。
6人はいつもの集まりより少しだけ静かな空気のなか、森の奥の小さな広場に腰を下ろしていた。
草の上にリアムが魔法で作った簡易なテーブルを作り、木々の枝に飾るように光の粒が浮かんでいる。
その穏やかさは、まるで昨日の一件などなかったかのようだった。
……けれど、誰もが気づいていた。
言葉の端々に滲む、微かな緊張と沈黙の重みを。
「できたよ、サラダ。今日はバジルを多めにしてみたんだ」
リアムが魔法で整えた色鮮やかな料理を差し出すと、テオがぱっと笑顔になる。
「わぁ、さすがリアム。彩りまで完璧だね!写真撮りたくなるくらい!」
リアムは照れたように笑う。「……植物はね、素直なんだよ。気持ちを込めれば、ちゃんと応えてくれる」
「人間もそうだといいのにね」
そう呟いたのは、カイだった。彼は小さな声で言ったあと、自分でも少し驚いたように口をつぐんだ。
沈黙。
「なんだよ、カイ。急にポエムか?」
リアンが軽口を叩いて場を和ませようと笑う。
カイはわずかに肩をすくめ、照れ隠しのように笑い返した。
「いや、なんでもない。ただの独り言」
その瞬間、ゼインがポケットをまさぐるようにして、静かに口を開く。
「……俺のスマホ見た?」
全員が一斉にゼインの方を向いた。
普段なら、彼がこんな些細なことを口にするとは考えられない。
「見てないよ?」テオが首を傾げる。「落とした?」
「いや……ロックをかけていたけど、画面がついてた。だけ」
ゼインの声はいつも通りだが、どこか探るような鋭さがにじんでいた。
「……誰もそんなことしないよ」
ドライが低い声で言った。その目は、いつもの穏やかさとは違い、鋭い光を宿していた。
「ま、まさか外部の誰かが……?また、例のネットの話みたいに」
テオが言葉を濁すように言う。
「……なあ」リアムが口を開いた。「こういうときこそ、信じ合わなきゃダメだよ」
その一言に、誰もが返事をしなかった。
信じたい――
けれど、「疑い」という名の棘は、すでにどこかに刺さっていた。
カイは少し離れた場所で、誰にも聞こえないように小さく呟いた。
「……“信じる”って、どうすればいいんだよ……」
彼のポケットには、昨夜から繰り返し開いているフォルダがある。
そこには、グループの記録、行動履歴、道具の使用状況――
仲間たちのデータが詰まっていた。
彼は“守るため”に集めていた。
でも、今、その行動すら――
「……俺は、間違ってないよな……?」
誰にも聞こえない問いが、森に消えた。
そして、その誰にも聞こえない呟きを、ただ1人だけ――
ゼインが、木陰の奥から、静かに見つめていた。
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夕暮れの柔らかな光が森の木々をオレンジ色に染めていた。
広場から少し離れた場所、カイは大きな樹の根元に腰を下ろし、手元の端末に視線を落としている。
周囲の声や笑い声は次第に遠くなり、彼だけが異質な緊張感に包まれていた。
画面にはメンバーそれぞれの過去の行動ログや体調、魔力量の推移が細かく記録されている。
カイは、仲間を守るために必要な情報として、誰にも言わずこっそり監視を続けてきたのだ。
指が止まったのは、数日前に同期されたゼインのデータ。
暗号化されたファイルの中に、どうしても目を背けたくなる言葉が並んでいた。
「裏切り」「偽り」「記録の削除」……
カイの胸が重く締めつけられる。
まさか、ゼインがあのネットの投稿に関係しているのではないか——。
「そんなことあるはずがない……でも……」
彼の視線が揺れた。
突然、背後から柔らかい声が響いた。
「何してるの?」
振り返ると、自然のリアムが笑顔で立っていた。
手にはさっき作ったばかりの野菜スティックの皿を持っている。
「……いや、ちょっと道具の点検を」
カイは咄嗟に言い訳をした。
リアムは眉をひそめることもなく、ただ静かに微笑んだ。
「そっか。カイはいつもみんなのこと見てるよね」
「頼もしいけど、時々、自分のことも見てあげてほしいな」
カイの指が画面から離れ、ゆっくりと俯く。
リアムはそのままスティックを彼の前に置き、優しく言葉を残して去っていった。
一人取り残されたカイは、暗い気持ちと向き合うしかなかった。
そして数分後、端末に異変が起きる。
「アクセスログ不正検出」——警告の赤い文字が画面に浮かんだ。
「誰か……俺の端末に入ったのか?」
焦った指がアクセス履歴を調べると、瞬間的に“Dry Gray”の名が一瞬だけ表示されては消えた。
「ドライ……?」
カイの心は動揺でざわつき始めていた。
彼の中で、疑念と後悔、そして守りたいという気持ちが入り混じり、静かに波紋を広げていく。
森のざわめきに紛れて、仲間の未来を揺るがす“小さな違和感”が確実に広がっていた。
おつはる〜!(まじでリアンとリアムって区別使いなよね!ね ね? (こいつが馬鹿なだけ。))