公開中
一話
カーテンの隙間からさす光は、私を現実へと連れ戻し、私を憂鬱にさせる。
昨日よりも重い瞼は持ち上がらず、再び眠りへと就く。
しかしその安らぎは再び日の光によって壊され、私を起こさせる。
この世界は憂鬱で、まるで世界が私を拒んでいるよう。
それでも私はそんなことないと思い込み、今日という日を生きる。
学校へ向かう足取りは重く、まるで鉛を背負っているよう。
耳に流れてくる笑い声や話し声は無視し、私は私の世界を生きる。
目にかかった前髪を掻き分け、横を見ると青い海が太陽に照らされていて眩しい。
しかし見ているうちにその青はだんだんと黒く染まり、再び私の心を暗くさせる。
黒くなった海は光が無く、でもそれが私を救ってくれるような気もした。
海を見るたびに昔のことを思い出す。
昔は、海が好きだった。
透明で綺麗な海は、私の心をも綺麗に照らした。
でも歳を重ねるにつれて、私は好きだった海がだんだん嫌いになった。
海は、今の私とは反対に透明でキラキラと輝いているから。