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世界の破壊者
えむ「な、何これー!?おっきい建物だね!」
愛莉「なんだか遺跡みたいね…」
絵名「みたい…というか、本物の遺跡なんじゃない?」
雫「ね、ねえ…なんだか…この建物、学校みたいな形じゃないかしら…?」
…学校?
言われてみれば、確かにそう見えなくもないというか…
どことなく似ている…
希望ヶ峰学園に…
………
ま、まあ、似た建物なんぞいくらでもある…
たまたま遺跡と学校が似ていたからって…
………たまたま、だよな…?
杏「それで、冬弥は何かを見つけたんでしょ?何見つけたの?」
彰人「おい、くだらねー事だったら許さねーからな…」
志歩「…あなたもいたんだ」
彰人「そいつがしつこく誘うから、仕方なく来てやったんだよ」
瑞希「ねえねえ!もしかしてさ、島から帰る方法がわかったとか!?」
冬弥「いや、そうじゃないんだ」
瑞希「えっ、違うの…?」
遥「なら、青柳君は何を見つけたの?」
冬弥「…………………」
冬弥がここで見つけた何か…
…なんだろうか
司「なあ、冬弥は何を見つけたんだ?」
司「島から出る方法ではないなら、この島に関する何かか?」
冬弥「…………………」
冬弥「それがですね…俺にもよく分からないんです」
寧々「分からない…って、どういう意味?」
冬弥「こんな建物には不釣り合いというか…どう考えても不自然なんですよね」
冬弥「例えば、原作はバッテリーな少年漫画が、横スクロールのアクションゲームになった…みたいな…」
冬弥「それくらい不自然なんです」
司「…分かりづらいな」
冬弥「あの扉を見てください」
司「扉…?」
砂埃がたくさん付いてて分かりづらいが…
扉ってここの事だよな?
冬弥「それが遺跡の扉…みたいですね」
咲希「この扉がどうしたの?中に入れたり…」
冬弥「中に入れるかを確かめる前に、」
冬弥「まずは扉の砂埃や根っこを払ってみましょうか」
冬弥「そうすれば、俺の言う《《不自然》》の意味が、もう少し分かりやすくなる…と思います」
みのり「よく分かんないけど…とりあえずやってみよっか…!」
オレ達は冬弥に言われるがまま、
扉に付いた埃や植物を手で払いのけていった
すると…
司「な、なんだこの扉…遺跡って雰囲気の扉じゃないぞ…」
志歩「なんか…SF映画にでも出てきそうな…」
こはね「それに、扉にある《《このマーク》》って…なんだろう?」
寧々「漢字…かな…?」
まふゆ「私には…《《未来》》って書いてあるように見えるけど…」
司「…未来?」
彰人「おい、扉のマークなんてどうでもいいだろ」
彰人「それより、その扉はどうやって開くんだ?中に何があんだよ?」
雫「横に液晶パネルがあるけれど…それは関係ないのかしら?」
杏「ほ、ほんとだ!アルファベットと…数字と記号だね!」
一歌「キーボードみたいな配置になってるね…」
彰人「そうだ…それが鍵になってんじゃねーのか?」
彰人「パスワードを入力したら開く仕組みだろ!」
志歩「その入力するためのパスワードが分からなかったら意味ないじゃん」
志歩「ヒントもないのにさ」
彰人「う、うっせーよ…適当に入れてみれば当たることもあんだろ…」
冬弥「待て彰人、それはやめた方がいい」
彰人「は?」
冬弥「その液晶パネルの横にあるの、銃に見えないか?」
冬弥「というか、銃…だよな」
司「じゅ、銃…!?」
冬弥「はい、もしそうだとしたら…危険ですよね」
冬弥「入力を間違えたら撃たれる可能性もありますし…」
彰人「…今はやめておいた方がいいかもしれないな…」
杏「びびってやんの〜!w」
彰人「あぁ?じゃあお前がやってみろよな!!」
冬弥「でも、こんな遺跡みたいな建物にSF風のしゃれた扉なんて…」
冬弥「やっぱり不自然ですよね。きっと、ここは《《特別な場所》》なんだろう」
瑞希「特別な場所、かぁ…」
愛莉「問題はどう特別かってことよね…」
モノミ「えーっと…」
モノミ「…………………」
モノクマ「えーっと…」
モノクマ「…………………」
寧々「…揃いも揃って黙秘?」
杏「あなた達ならこの建物のこと知ってるでしょ!」
瑞希「正直に白状した方がいいよ〜?」
モノミ「いえ…あちしにはさっぱり…分からないでちゅね…」
モノクマ「ボクも知らないよ…こんな建物…」
モノミ「と、とりあえず…ミナサンは希望のカケラを集めてですね…」
絵名「ちょっと!知らない訳ないでしょ!?」
志歩「どうせ、その扉を砂埃で隠してたのもあなた達の仕業なんでしょ?」
咲希「や、やっぱり意図的に隠してあったんだ…!そうなんだよね…!?」
こはね「もしかして…この島に住民とか観光客がいないのは、この建物が関係してるんじゃないかな…?」
こはね「この扉の先はシェルターになってて、みんなそこに避難してる…とか…」
愛莉「シェルターに隠れるほどの事が起きてるの?だとしたら、私達のほうがやばいんじゃ…」
モノクマ「うーん、いろんな可能性が頭をよぎるよね」
モノクマ「だけど、今はまだ確かめようがなさそうだね。その扉ったら、すごく頑丈だもん」
モノクマ「それも、物質的な意味だけじゃなくて、もっと本質的な意味でね」
杏「は、はあ?何言って…」
モノクマ「いくら神出鬼没のボクやモノミでも、その扉の奥には入れないんだよ」
モノミ「えっ?あんたもなんでちゅか?もしかして、あんたもあちしと同じで…」
モノクマ「こらーーー!!それ以上の失言はするなぁぁぁ!」
モノミ「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!」
モノミ「音速を超える流星のようなラッシュは、身が持ちませーん!」
モノクマ「さて、ペガサスのファンタジーのようなラッシュで妹を黙らせたところで…」
モノクマ「これはジャバウォック島のミステリーだね。ボクやモノミでも解き明かせないミステリーだよ」
モノクマ「だからこそ、ボクはオマエラに期待してるんだ!オマエラがその謎に辿り着けることをね!」
彰人「はっ、そんなの簡単だ…」
彰人「そこの白黒タヌキが前に言ってた奴に聞けばいいんじゃねーのか?」
一歌「ま、前に言ってた奴…?」
瑞希「そういえば、ボク達の中には《《裏切り者》》がいるって…そこの変なクマちゃんが言ってたね!」
モノクマ「タヌキとか変なクマとか…そんな事じゃボクは落ち込まないよ…アーッハッハッハッハ!…」
えむ「分かりやすく落ち込んでるよ?!」
彰人「その《《裏切り者》》なら知ってるんじゃねーか?その扉の開け方くらいはよ…」
彰人「んで、その扉の奥には、船とか連絡手段なんかが隠されてんだ」
雫「それか、モノクマさんとモノミちゃんを操ってる人が中にいるのかも…!」
咲希「で、でもさ…ほんとに裏切り者なんているのかなぁ…」
彰人「いるに決まってんだろ!誰だよ、さっさと名乗り出ろッ!!」
モノミ「い、いまちぇんよ…裏切り者なんてどこにもいまちぇんってば…」
彰人「…おいモノクマ、てめーはどうなんだよ?言い出したのはてめーだぞ」
モノクマ「うぷぷぷぷ…」
みのり「な、何がおかしいの…!」
モノクマ「ところでオマエラはさ、《《『世界の破壊者』》》って呼ばれる組織を知ってる?」
世界の破壊者…?
彰人「おい!!質問してるのはこっちだ!勝手に話を変えてんじゃねぇよ!」
モノクマ「オマエラがスルーしたい気持ちはわかるよ…『世界の破壊者』なんて恥ずかしい名前だもんね」
モノクマ「中学生どころか小学生が考えたような恥ずかしい設定の名称だもんね」
モノクマ「でも、実際にいるんだから仕方ないよね!そう呼ばれてる組織がさ!」
絵名「…その組織がなんだっていうの?」
モノクマ「文字通りだよ…」
モノクマ「そいつらは世界を破壊したんだ!」
まふゆ「せ、世界を、破壊…?」
モノクマ「あのね、大袈裟でも比喩でもないの。連中は本当に世界を破壊したんだよ」
モノクマ「ね、まさに『世界の破壊者』って言うにふさわしい連中だと思わない?」
遥「つまり…テロリストみたいな組織ってこと…?」
モノクマ「テロリストかぁ、近いかもしれないね」
モノクマ「でも、テロリストと呼ばれるのは敗者だけなんだよ。勝者になれば、彼らは《《英雄》》と呼ばれるんだ」
モノクマ「そういう意味では、むしろ彼らは英雄だよね」
モノクマ「世界を破壊した英雄なんだよ!」
愛莉「い、意味わかんないこと言わないでよ!」
咲希「そうだよ!だからなんなの!?」
杏「まさか…私達をこんな目に遭わせてるのが、その組織とか言わないよね…?」
絵名「何が世界の破壊者よ…モノクマもモノミも、その組織の一員だって言うの?」
モノクマ「さぁ、どうだろうね?ただ1つ言えることとしては…」
モノクマ「オマエラをこの島に連れてきたのも、裏切り者の正体も…」
モノクマ「ぜーんぶ、その『世界の破壊者』の仕業なんだ」
杏「なんで私達がそんな恐ろしい組織に狙われなきゃいけないの!?」
こはね「お、落ち着いて杏ちゃん!学園生活の記憶がどうとかと同じで、私達を混乱させようとしてるだけだよ…!」
こはね「『世界の破壊者』とか…そんなのあるわけ…」
こはね「裏切り者もそんな組織もいるわけないよ!」
モノクマ「あららっ、せっかく教えてあげたのに嘘つき呼ばわりですか!?」
モノクマ「とにかく、ほんとなの!世界の破壊者こそ、この島のラスボスなのっ!!」
モノクマ「しかも、そいつらの一員がオマエラの中に紛れ込んでるの!!」
モノクマ「だから、オマエラはその裏切り者を見つけて、そいつを殺さないといけないの!」
モノミ「ちょ、ちょっと!あんたいい加減にしないと…」
モノクマ「うるさいぞモノミ!お兄ちゃんに逆らうクズはおしおきだ!」
モノミ「いたいっ!やめてー!耳引っ張らないでー!」
司「……………」
得体の知れない混乱だけを残して、
モノクマとモノミはその場から去っていった…
司「い、今の…なんだったんだ…?」
瑞希「えーと…誰か今の話を理解できた人は…」
一歌「理解できる訳ないよ…」
瑞希「ですよね…」
冬弥「………………」
冬弥「…これから、どうしましょうか?」
遥「とりあえず…日も暮れてきたし、今日はもう帰ろっか…」
雫「そうね…これ以上考え込んでても仕方ないわよね…」
司「それはそうかもしれんが…」
寧々「うん…もうすぐ暗くなるし、やっぱり今日は帰った方がいいよね」
杏「それじゃあ…今日は解散ってことで…」
新しい島をあちこち探索した挙句に、オレ達が手にしたのは…
結局、新たな謎だけだった
その事実にうなだれながら、オレ達は自分のコテージへと帰っていった。
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司「…日中歩き回っていたせいで、少し足が痛いな…」
もう訳がわからん…頭痛くなってきたぞ…
妙な遺跡の妙な扉…裏切り者…世界の破壊者…
完全に理解不能だ…不安な気持ちにすらなれん…
司「今日はもう、寝た方がいいかもな…」
一旦思考を休ませる為、オレはベッドに入ってすぐ目を閉じた