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雪女と巫女と人。
「しょうがない。名をお教えしよう。」
小町神社の巫女は、目の前のいしにのぼった。
「我は小町神社32台目巫女、|夜羽夢《ようむ》である。この小町神社は聖水の神ラグナをまつっておる。」
偉そうに夜羽夢はいう。
「どうやら、ラグナがとっさに聖域をはったようだ。聖水を振り掛ければ、聖域になるとラグナは言っておる。」
「ひとつ聞くわ。ラグナは水属性よね?」
「?」
雪菜が言う。わたしと夜羽夢の頭には「?」マーク。
「属性。それは、人間以外の、雪女や妖怪や神、そういった種族が持つもの。もし攻撃したり戦うときは属性攻撃を用いるの。例えば、『ポケモン』でいう『タイプ』ね。わたしは氷属性よ。」
へ、へぇ…。
「雪菜さん、わたしはラグナ。水属性で神力を持ちます。あとは、ルナが光属性、魔力と神力を持ちます。」
夜羽夢がぺらぺらとしゃべる。
「ルナ、というのは?」
「ルナ・アナベラルーシです。1等神で、月の女神です。月の光を浴びることで魔力と体力を回復する、上等神と偉大な魔法使いの娘です。今は、小町神社に住みついています。」
「ありがとう。」
「ふぁあ、もう、急な代弁はやめてって!」
ラグナが乗っ取っていたようだ。
「ところで、攻撃って?」
「見せたほうが早いわよね。じゃあ、行くわ。
氷攻『アイス・ブリザード』」
すると氷のトゲが地面に現れ、凍らせてしまった。すごい…
「氷守『アイス・フィールド』」
薄い氷の膜が、わたしたちを覆い尽くす。
「氷援『氷氷力』」
雪菜はわたしに手のひらをかざす。
「さあ、瑠芽。はじめに見せた技をやってみて。今、わたしは援助技をした。弱いけれど、一時的に技が出せるわ。」
「そ、そう?じゃ。氷攻『アイス・ブリザード』」
そうつぶやいてみると、手のひらがつめたくなった。途端、衝撃が走る。
「ぅっ!!」
ピキ。ピキピキピキ!
氷が手から飛び出す。
「ひゃあっ!す、すごっ…!」
「ね?ルナも、ラグナも、できるはずよ。」
雪菜はそういった。
「人間には、属性は身につけられないの?」
「いえ、そうとも限らないわ。わたしは今、『雷の実』しかもってないけれど、食べる?雷属性の力が身につくわ。」
そう言って、雪菜はきのみを出す。トゲトゲしてる、黄色い実。
「じゃあ、食べるわ。っ!!」
「大丈夫?」
「うわああああっ!」
衝撃が走る。熱い!痛い!怖い!
「う…うわぁっ。」
「わたしにうってみて。」
「え?それっぽく言うか…。」
わたしは雪菜のやつを真似てみる。
「雷攻『サンダー・トルネード』」
「ふぁ!」
手から雷が出る。そんなに熱くないかも。
「す、すごいわね。力を奪われた感じ。霊力の持ち主かしら?わたしと一緒にいすぎたから。」
わあ…!すごいっ!
わたしは静かに喜んでいた。
急展開。