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学パロ 『Happybirthday』
台詞の書き方、学パロだけ変えます。
いつも通りだった。
いつも通り学校から家に帰る道を歩いてた。
そしたら急に後ろに引っ張られた。
振り返れば、そこには見知った顔が。
「‥なんだよコニー?」
「‥少し、手伝って欲しいことがあるんだ。」
「‥?」
コニーには、緊張したら不安になると指を組む癖がある。本人は気づいていないようだが。
今まさに指を組んでいた。
緊張か不安か、どちらかかはわからないが。
そして無言の時間。
体感2分は経ってる。
それでもコニーが話し始めるのを待っていた。
「‥あのね、」
やっと口を開いたか。
「明日、エマの誕生日でしょ?」
「ん?‥あぁ、確かに。」
すっかり忘れていた。
今日は7月11日。明日か、エマの誕生日。
「‥まさか、忘れてたなんて無いよね?」
「忘れてるわけねぇじゃん。」
さらっと嘘。
「‥それでね、誕生日会を開きたいんだ。」
「おぉ‥どこで?」
「それは‥今から考えようとしてた。」
「なるほど無計画ってわけな。」
「無計画じゃない!どこでやるか以外は授業中に計画立てたんだから!」
「いや真面目に授業受けろよ。」
「聞くだけで内容は頭に入るからいいかなって。テストで点取れてるし。」
「えお前ノー勉?」
「?いつもノー勉だけど?」
「うわ‥ってそうじゃねぇわ。」
「あー、そうそう。だけどね、消去法で会場はギルの家になっちゃうかなって。」
「いやなん‥」
言いかけて気付く。
エマは主役だから無理。コニーの家は絶対に無理。‥俺の家しかねぇよな。
「‥仕方ねぇな、いいぜ。母さんも父さんも家いないからいつでも来い。」
「!ありがとギル!それで、他にも頼みたいことがあって‥」
「明日の誕生日会に必要な物買いに行くとかか?」
「そう!だから今からどう‥?」
「‥俺は別にいいけど、お前ん家は?」
「うーん‥もう、怒られてもいいかなって!」
「‥は、お前、それで前どうなったか覚えてねぇのかよ!!」
前、エマが「皆でお泊まり会したい!」と言い出し、エマの家でお泊まり会が決定した。
だがコニーの家は厳しく、誰かと外遊びは禁止、外に現金持ってくのは禁止、外にスマホを持っていくのも禁止‥など、禁止事項が多かった。
そんなコニーの親が泊まり許可を出すわけもなく、それがわかっていたコニーは無断でお泊まり会に参加したのだ。
その結果、家に帰ったら大説教。学校に一週間来なかった時がある。
後から聞けばその一週間、「外に出ればまた同じ事をするから外出禁止」と言われていたらしい。
「覚えてるけどさ‥ キョロキョロ 」
「どうした?」
「誰かに聞かれたくないの、あんまり。‥あのね、僕の親、今週いないんだ。」
「‥はぁ?」
「夫婦旅行に行っただけなんだけど、だから別に平気かなって!」
「‥お前がいいなら、いいけどさ。」
「やった、!それじゃあ、荷物置いたらギルの家の前いくね!」
俺が返事する前にコニーは家の扉を開けて中へ入って行った。
ちなみにコニーと俺の家は向かい合わせにある。エマの家は俺の右隣。
エマは運動部所属だから帰宅が遅い。
なので安心して買い出しに行ける。
コニーと出掛けれる嬉しさと、出掛けの内容がエマで残念という気持ちが半々で動かしづらくなった腕を上げて、俺はドアノブを引いた。
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「お待たせギル!」
「別に、待ってない。」
「そう?じゃあいこっか。」
「‥おぅ。」
近くのショッピングモールに歩いていく。
隣にいるコニーが楽しそうな声でエマを語る。
それが物凄く苦しかった。
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「‥で、何買うんだよ。」
「えっとね‥飾り付けの風船と、ケーキと、主役のつけるやつ。」
「‥じゃ、まずは風船からにしようぜ。ケーキは先買ってもあれだろ。」
「確かにね。百均行けば主役のやつもあるかな。」
「あるんじゃね?」
「だよね、行ってみよう。」
‥ショッピングモールに入った時からずっと、周りの視線が痛い。
何故かは知らないが、凄く見られている。
本当にどうしてかわからないけれど。
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「風船‥ねぇギル。青色の星が入ってるのと黄色の星が入ってる風船、どっちがいいと思う?」
「あー‥エマっぽくするなら黄色の方じゃね?青はなんかお前っぽい。」
「そっか、じゃあ黄色にしよ。‥後はもう2種類くらい風船買いたいな、」
「あ、それで思い出した。あっちに良さげな風船あったんだ。」
「どれどれ?見てみたい!」
「こっちこっち、‥これなんだけ、ど‥」
俺が風船を持っているから、見たいコニーはこっちに寄ってくる。
肩がベッタリくっつくほど距離が近い。
手の甲が触れた。
その手に指を回せたら、幸せだっただろうに。
「オレンジだけのメタリック風船か‥うん、これもいいね。」
「‥だろ?」
「これも決定!あとは『HAPPY BIRTHDAY』のやつが欲しいな!」
「それだったら俺がとってくる。お前は主役のタスキみたいなの持ってこい。」
「うん、わかった!」
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「はぴば風船、これでいいか?」
「うん!平気だよ!これで明日、エマの誕生日が祝える‥」
そう言い頬を赤らめるコニー。
その顔を見たくなくて、俺は目を逸らした。
「ねぇねぇ、これ買って帰ろ!明日はエマ誘ってギルの家行くね!」
「んじゃ、もう今日のうちに飾りつけ終わらせとくわ。」
「いいの!?」
「あぁ、ケーキも頼んどく。」
「わぁ‥ありがとうギル! ニコッ 」
そう、その笑顔を俺にだけ見せればいい。
誰にも見せないでくれ。エマになんか___
「ッ、さっさと買って帰ろうぜ、もう日が暮れてる。」
「うわ、本当だ、!僕が払ってくるね!」
「おー‥」
自分で自分が嫌いになる。
エマの誕生日を祝うために来てるのに。
エマは俺の友人なのに、エマなんかと思うとか。
「友人失格、か‥ ボソッ 」
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「‥ただいま。」
誰もいない家に帰宅を伝えてどうなるのか。
そう思いながらも言い続けてしまうのは癖か。
明日の準備をしなくては。
風船を膨らませるやつを探そう。
今日膨らませたら明日の夕方には少し空気が抜けてしまう。明日にしよう。
ケーキの注文をスマホで進める。
エマはチョコケーキが好きらしいのでチョコにする。
明日の4時到着予定。
俺は帰宅部、コニーは吹奏楽部、エマは陸上部‥全員違う部活のため帰宅時間がバラバラ。
俺だけは早く帰れるので先に帰って準備をする。
「‥明日、なぁ。」
明日が来てほしくない筈なのに、少し明日が楽しみな自分がいた。
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〔 ギル 〕
『部活終わったか?』
〔 コニー 〕
『終わったよ』
〔 ギル 〕
『こっちも飾り付けとケーキ準備終わった』
〔 コニー 〕
『それじゃあエマと一緒にギルの家いくね』
〔 ギル 〕
『おけ』
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ギルとのトーク画面を閉じて正門でエマを待つ。
陸上部の生徒が正門を通り始めたからもうすぐエマも来るはずと、視線をスマホから上げた。
「えっと‥あ、エマ!」
「ん?おーコニー!どうしたの?」
「部活終わった?」
「うん!もう帰るよ!コニーは?」
「僕も今終わって帰るところ ニコッ 」
「じゃあ一緒に帰ろ!」
「そのつもりで探してたんだ、帰ろう!」
「うん!」
誕生日、気にしてないのかな。
ギルの家に行くまでの道で、エマの口から一度も誕生日の話題が出なかった。
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「じゃあ私こっちだから!」
「ねぇエマ!‥少しいい?」
「?うん、どうしたの?」
「ギルの家に行きたいんだ。一緒に行こう。」
「一緒に?」
「ギルの家で今から遊ぶ予定でね‥エマもどう?」
「遊ぶの!?もちろん遊びたい!いこいこー!」
すんなり誘いに乗ってくれた。
これでギルの家に入ってクラッカーでお祝い‥よし。
「僕先ギルの家行くね、後から来て!」
「ん?わかった!」
--- ガチャ‥ ---
「‥ギル、クラッカーは?」
「ほいよ、これ。紐引っ張れば飾り出るから。」
「OK、完璧だね。」
あとは玄関前で静かにしてたら‥
「‥ギルー?コニー?大丈夫ー?‥入っちゃうよー?」
心配性のエマは物音がしなくなったらすぐ入ろうとしてくる。
このタイミングを待ってたんだ。
--- ガチャ‥‥ ---
「失礼しま___」
--- パンッ 🎉 ---
「うわっ!?」
「「お誕生日おめでとうエマ!」」
「お誕生日‥えぇ!?覚えててくれたの!?」
「覚えてるに決まってるじゃないか!忘れるなんてありえないよ!ね、ギル?」
「あぁ、昨日コニーに言われるまで忘れてたとかそんなわけないぞ。」
「いやギル怪しっ!てかてか、昨日から準備してくれてたの?」
「うん、どうしても祝いたかったから ニコッ 」
「え〜‥どうしよう‥すっごく嬉しいよぉ〜!!」
「ふふっ、エマがそんなに喜んでくれて嬉しい!」
「あぁ、ケーキ代も無駄じゃなくなるわ。」
「ケーキもあるの!?」
「しかもチョコ。」
「わー!!嬉しい!嬉しいよ!!チョコケーキ大好きなの!!」
「じゃ、金払ってな。」
「えぇ!?」
「ジョーダン。」
「だよねよかったぁ‥!」
「あ、飾り付けでね、いろいろ風船とか主役の飾りとか買ってみたんだ。」
「コニーが!?えぇ嬉しいしか言えないよ!!」
目をキラキラ輝かせて笑顔で言うから物凄くこっちが嬉しくなる。
エマ、好きだなぁ‥って、改めて思った。
「他に何か欲しいものある?」
「え、もう十分なくらい貰ったんだけど‥んー‥あ!」
「なんだよ、高ぇもんは無理だぞ。」
「高くない!えっとね、ハッピーバースデーって言って欲しい!」
「‥え」
「お母さんにもお父さんにも、あんま言われた事ないからさ!言ってほしいの!」
「‥ま、それくらいならいくらでも言ってやるよ。」
「うんうん、それだけでいいのかくらいだしね。」
「いいのいいの!」
「じゃあ‥」
「Happy birthday、Emma!」
時間なかったので終わり方ちょっと雑かもです。
ごめんなさい。
7/12 Happybirthday、Emma。