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生まれてきてくれてありがとう
ポエムです。
わたしのすべてへ。そして、あなたへ。
生きることは、得意じゃない。
初めて生まれてきたのだ。初めての今日を生きているのだ。
何も教えられていないのだ。明日も知らないのだ。
上手くできるわけないだろう、と思う。
なのに、みんな平気な顔してやり過ごしている。上手に大丈夫なふりをする。
いつも、それができない自分がいた。
消えてしまいたくなった。
自分の弱さで、誰かを傷つけたこと。
自分の弱さで、大切な人を泣かせたこと。
もっと、もっと上手に。
もっと器用に、生きたくて。
生きれなくて。
消えてしまいたくなった。
でも許されるなら。
まだ、もう少しだけ。
あと少しだけ、消えないでほしい。
例えばそれは、雨上がりの朝。庭の木の葉の上できらめく雫がきれいだったこと。
それは、休みの日の午後三時半。夕方の匂いがしてきた頃、公園に響く子供の笑い声があまりに無邪気だったこと。
それは、なんでもない日の帰り道。どんなことがあった日でも、いつも通り車の通りは絶えなくて、信号は止まらず仕事していて、夕日も月もそこに在ったこと。
消えないでほしいものたち。
私がいなくてもそこにいたものたち。でも、私がいることで、生まれたことで、より確かなものになった、と思いたいものたち。
ああ、どうか。
どうかまだ、消えないでいて。
全部を愛せる人になりたい、と思う。ずっと、思っている。
でも、なかなか簡単なことではない。
些細な一言に苛立ったり、どうも嫌なところしか目につかなかったり。
私は意外と、心が狭いような気もする。
でも意外と、それでいいような気もする。
楽しいことばかりじゃない。いつだって前向きでいられるわけじゃない。
瞬間、救われたとしても、数時間後に全部が嘘みたいに泣いたりもする。
生きているのだ。意地悪になったっていいだろう。卑屈になったっていいだろう。
私たちみんな、そんな簡単なものじゃないでしょう。
じゃあ、じゃあ。それならば。
私は私のことが、意外と嫌いじゃないような気もする。
涙が止まらない夜も、こらえきれなかった帰り道も。消えない全てを、すこし、ほんの少しでも愛せるような。
過去も今も未来も、全部全部、救えるような。
大人になるっていうことは、大人になっても、子供みたいに居られるってことなんだろう。
ただ純粋に、夢見るみたいに。
野に咲く花を、きれいだって思うみたいに。
無邪気に恋をして、笑うみたいに。
生きてるみたいに、生きていきたい。
生きることは、得意じゃない。
今だってそうだ。変わらずそうだ。
でも、それでも、私は。
生きることが、大好きだ。
また新しい今日を、始めるわたしに。
わたしを取り巻く、すべてのものに。
泣き虫な自分も、不格好な自分も。
嫌いなものも好きなものも、全部ひっくるめて、大好きなんだから。
だから、ぜんぶ、ぜんぶ。わたしの中の、ぜんぶに。
生まれてきてくれて、ありがとう。
短編カフェ、始めて4年が経ちました。
別に関係はないんだけど、誕生日に書いたものをリメイクしてみました。
私のぜんぶ、ありがとうねと思います。
本文の中ではわたしへ向ける形にしたけど、わたしと同じように生きているあなたにも同じ言葉を贈りたいです。他でもないあなたへ。生まれてきてくれてありがとう。