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私の屋上
何人も追い返してきた。
でも、今日は私の番。
私が屋上から飛び降りようと靴を脱ごうとしたときに、
三つ編みの女の子に声をかけてしまった。
ーねぇ、やめなよー
自分でもびっくりした。
だって、思ってもいない事を言っていたのだから。
女の子はどこかで聞いたようなことを語りだした。
ー運命の人だったの。どうしても、愛されたかったー
は?ふざけんな!そんなことだけで、
私よりも先に逝こうとするなんて。
欲しいものが手に入らないなんて、
自分から奪われたこともないくせに!
ー話したら楽になったよー
そう言い残すと三つ編みの子は帰ってった。
その次の日、また靴を脱ぎかけたら、
私より先に小柄な女の子が来ていた。
背の低い子はこう言った。
ークラスではずっと一人で、無視されたり奪われたり、居場所がないんだー
は?ふざけんな!
そんなことくらいで私よりも先に逝こうとしてたわけ⁉
学校ではそうかもしれないけど家ではすみやすい環境なんでしょ?
ーおなかがすいたー
女の子はそう言って泣きながら帰ってった。
私はあの日から何人かに声をかけて追い返した。
でも、私の悩みは誰にも話せないままでいた。
始めて見つけたんだ。私と似たような子。
黄色いカーディガンを着た女の子。
ー生きているとどんどん増えていく痣をけすためにここに来たんだー
と、泣きながら微笑んで言った。
口をついて出てしまっただけ。
本当はどうでもよかった。
なのに思ってもいないことが口からこぼれ出てしまう。
ーねぇ、やめてよー
どうしよう…この子は止められないかも
…私には止める資格がない気がする。
それでも、
ここからは消えてほしいっポロポロ
君を見ていると苦しくなるんだよっポロポロ
ーじゃあ、今日はやめておくよニコッー
そういってカーディガンを着た子は帰っていった。
よし!今日こそは誰もいない。
屋上には私だけ。
もう、誰も邪魔してこない。
…邪魔してはくれない。
私はカーディガンを脱いで三つ編みをほどいた。
ー皆さん!今から背の低いこの私がここから飛びますっ!ポロポロニコッー
邪魔してほしかった…