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パンケーキと、謎のグラデーション
パンケーキの名店『Lucky Star』。
初デートを尾行していた丈一郎と大橋に連行(?)される形で、大吾と道枝が店に入ると、そこにはなぜか見覚えのある顔がさらに三つ、並んで座っていた。
「……あ、大吾。デート、お疲れ様です」
「遅かったね。もうイチゴのやつ、注文しちゃったよ」
「二人とも、手、繋いでた? 繋いでたよね!?」
ゲームをする**高橋恭平**、フォークを構える**長尾謙杜**、そして目を輝かせて身を乗り出す**大西流星**。
「……なんで、全員おんねん!!」
大吾の絶叫が店内に響いた。
「いや、流星が『今日、大ちゃんの歴史が動く日やから見届けなあかん』って言うから……」
謙杜が口いっぱいに生クリームを頬張りながら笑う。
どうやら、丈橋コンビから実況中継がグループチャットに飛ばされていたらしい。
「もう……最悪や……」
ガックリと肩を落とす大吾。
しかし、隣に座る道枝は、そんな六人を見渡して、本当に楽しそうに笑っていた。
「いいじゃないですか。僕、こういうの、すごく憧れてたんです」
道枝は、大吾の耳元で「……ねえ、みんなと仲良くなれるチャンスですね」と優しく囁いた。
その一言で、大吾の尖っていた心は一瞬で溶けてしまう。
運ばれてきたのは、七色のフルーツが飾られた特大のパンケーキ。
「まさに、混ざり合えないグラデーションやな!」と恭平がボケると、すかさず「いや、混ざり合ってへんから綺麗なんやろ!」と丈一郎がツッコむ。
「これってもしかして、恋ってやつかな? いや、愛(LOVE)やな!」
大橋が幸せそうにパンケーキを口に運ぶ。
その中心で、大吾と道枝は顔を見合わせ、照れくさそうに笑った。
一目惚れしたカフェ。
辞めてしまうと聞いた時の絶望。
そして、勇気を出して渡した連絡先。
「初心(うぶ)な俺のこと、笑わないで」と願っていたけれど、こんな風に笑い飛ばしてくれる仲間がいるなら、それも悪くない。
「……みっちー。明日からは、二人きりで会ってな?」
「……ふふ。考えときます」
夕暮れの街に、七人の笑い声が溶けていく。
それは、どんな魔法よりもキラキラした、彼らだけの「初心LOVE」の形だった。