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天才ちゃん!2
主人公…|金糸雀《かなりあ》|悠《ゆう》
友人…日暮静香
「悠ちゃ~ん!」
名前を呼ばれた気がして振り返ると、校門の方に悠ちゃんがいた。
手を振って、その場で待つ。
しずちゃんは、2年生の時、初めて同じクラスになった子。
みんなから嫌われている私にも話しかけてくれる優しい女の子。
「おはよ~。」
しずちゃんが追い付いてきた。走って来てくれたらしい。息を切らしている。
「おはよ~。クラス替え、楽しみだね。」
「楽しみ?つまり、うちと別れたいの…?」
「違うって、新しい環境になるのが楽しみだよねってこと。しずちゃんと同じクラスになれるならそれに越したことはないよ。」
「本当!?」
目を輝かせてくるなぁ。こんな私の何がいいんだろう?
「そうだよ…あ、人がめっちゃいる。」
「本当だ。あそこに行かなきゃだよね…?」
「だろうね。」
手で、頬をパンッとたたいて、
「よし、行こう!」
呟いた。
「行こっか。」
「理系って、1,3,4組だよね?」
「うん。」
私もしずちゃんも理系だ。進路も二人とも理系。必然的に同じクラスになる確率は高くなるが…
1組は理系を選んだ人でも成績がいい人が集まる特進クラス。
他2クラスは、そこに行けなかった人たち。
一組は…日暮…ひ…日暮静香!
「しずちゃん!すごい!1組だ!めっちゃ勉強していたもんね。」
「そうだよ!一緒のクラスだね!」
「え?私も1組にいるの?」
「いるにきまってるじゃん!悠ちゃんだもん!…あ、ほらあった!」
「本当だ!今年もよろしくね!」
それにしても、なぜ私が一組にいるのが当たり前かのようにしずちゃんは言ったのだろう?
「あぁ~本当に良かった~。」
隣で人一倍胸をなでおろしているしずちゃん。本当に良かったなぁ。
私も、悠ちゃんと一緒なら、しゃべれるし、本当にうれしい。
「じゃ、邪魔になるし、教室に行こっか。」
「うん!」
扉を開けると、まあみんな新しいクラスメイトが気になるのだろう、顔を向けてくる。
そして、そのあと、自分のしていることに戻る。
自習室とかでもお決まりのこれがおこる。
これって実際やられる側ってまあまあ気まずいんだよね…みんなはどうなんだろう?
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今年も悠ちゃんと同じクラスだー!
それを見て、めっちゃくちゃうれしくなった。
去年の四月、初めて同じクラスになった学年一の秀才であり、この学年の首席である悠ちゃんに声をかけた。
彼女を始めて見たのは始業式。新入生代表挨拶をした彼女に思わず見惚れた。
彼女は見た目の良さに秀逸さを兼ねそえているすごい人。
あんまり、悠ちゃんから声をかけることがないせいか、みんな声をかけずらいという雰囲気ができている。
それに抗って悠ちゃんに声をかけてみたけど…彼女は冷たいと思っていたイメージとは全然違い、喋っていて楽しいし、表情も変わる。そして…なにより無自覚だった。
自分が話しかけられないのは嫌われているから。
成績がいつも一位なのはあたりまえすぎて、みんなもそうなんじゃないの?と思っていて、うちの点数を見せてみれば、ここはこう間違えてこうなって、これは文章読んでいないだけ、などと、理由を見つけ、「ほら、しずちゃんでも満点とれるでしょ?」と無邪気に聞いてくる。
その一瞬は取れそうかも、と思ってしまうのだが、いざ次のテストが来ると、やっぱり満点なんてとれるわけがない、と思う。
だって問題が難しいんだもん。
悠ちゃんは、人をその気にさせる天才だ。