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恋愛学園。#1
私は、|霧雨《きりさめ》 |水月《みづき》。
お母さんに勧められ、恋愛学園というところに入学し、4ヶ月経った。
私には…好きな人がいる。
それは、|海野《うみの》 |海斗《かいと》くん。
入学してから、ずっと本気で、誰よりも好きだ。
「水月〜早く行かないと遅れるわよ〜」
「あ、は〜い!!今行く〜」
やばい、8時まであと10分…!
私は急いでカバンを背負って、階段を駆け降りて外に飛び出した。
「…水月、頑張ってね!」
「うんっ!」
こんなに急いでいる理由は…
今日、海斗くんに《《告白》》するから。
お母さんはそれを応援してくれたのだ…。
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海斗視点
「海斗〜お前さ、今日早くね?」
「あー…なんかある人に呼ばれてさ。」
「え、なにそれ告白じゃん絶対!?それである人って誰なの!?」
「いやあ…なんか靴箱の中に、『明日の朝8時に体育館裏に来てください』って書いた紙が置いてあってさ〜。だから誰かはわかんないんだよね〜」
「へえ…羨ましいっ!俺もモテてえっ!」
「ははは…」
僕は海斗。
このお調子者…じゃなかった、運動神経だけ神ってるコイツは、|権藤《ごんどう》 |知《さとる》だ。
それにしても…。
こんな僕に、誰が告白してくれるんだか…。
というかそもそも、告白なのか?
そうだとしたら…。
水月さんだったら、嬉しいな…
そう、僕は、霧雨 水月さんが好きなのだ。
違ったら…
そもそも告白じゃなかったら…
断って、水月さんに告白するか…
僕の頭は、いつだって水月さんのことでいっぱいなのだ。
…だって、本気で好きなんだから。
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水月視点
ふう、ふう…。
緊張する…
えっと、『急に呼び出したのにきてくれてありがとうございます。私、海斗くんに初めて会った日からずっと海斗くんのことが好きでした。付き合ってください。』って言えばいいんだよね…
7時59分。
もうそろそろ、行こうかな…
私が体育館裏に足を運ぶと、そこには海斗くんがいた。
よし、私、行くんだっ!
その時。
海斗くんの無表情だった顔が、一瞬笑顔になって、光ったように見えたのは私は見逃さなかった。
私はもう、思いっきり言ってしまった。
「…急に呼び出したのにきてくれてありがとうございますっ!!それで、えっと…私、海斗くんのことが…好き、ですっ!付き合ってください…!!」
「…!?」
海斗くんは、固まっていた。
そんなこと思いもしなかった、と言うように。
「か、海斗くん…?」
「…あ、ご、ごめん。僕も、水月さんのことが、好きです。付き合いませんか?」
「あ、は、はいっ!」
海斗くんは、納得したように笑った。
ごめんって言った時一瞬断られたと思ったけど、良かった…。
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海斗視点
ここは体育館裏。
もうすぐ8時だ。
誰が来るのかな…
…ってあれ?
もしかして、水月さん…?
僕は思わず思いっきり笑顔になってしまった。
あ、やばっ。今の水月さんに見られた…?
でも、水月さんはそんなことも気にせず、こっちに向かってきた。
そして、少しの沈黙のあと、言った。
「…急に呼び出したのにきてくれてありがとうございますっ!!それで、えっと…私、海斗くんのことが…好き、ですっ!付き合ってください…!!」
「…!?」
僕は正直、水月さんに告白されるとか思っていなかった。
水月さんが来たとき、一瞬嬉しかったが、きっと告白じゃないよね…
そう思ってた。
でも、今、僕は、告白された…?
「海斗くん…?」
あ、やばっ。OKしちゃっていいよね…?
「あ、ご、ごめん。僕も、水月さんのことが、好きです。付き合いませんか?」
「あ、は、はいっ!」
僕、好きな人と、付き合えた…?んだよね!?やばいしかも卒業、!?
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水月視点
やった…!
OKもらえた…!!
私と海斗くんは、先生に両思い報告をしに行った。
「そうなんですね!!二人とも、おめでとうございます!卒業です!」
「やったっ」
海斗くんがすごく小さな声でつぶやいたのを私は聞き逃さなかった。
帰りの会の時。
「…卒業証書。霧雨 水月殿、海野 海斗殿。
あなたたちは、両思いになり、卒業することをここに称します。
令和◯年度 ◯月 ◯日。
おめでとうございます。」
「「はいっ!」」
私は海斗くんと付き合えた。
家に帰ると、やっと実感が湧いてきた。
そうだよ。
だって、好きな人と付き合えたんだもん!!
はあ。
良かった…
五年後。
海斗くんは私と一緒に住んでいる。
私の名前は海野 水月に変わっていた。
お揃いの指輪を左手の薬指に付けて…。