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太敦
設定⤵
太宰さんが敦くんに片想いしてます。うん。可愛い。
時間軸なんてものは羅生門ちゃんが食べました。
注意⤵
あ、視点ころころ変わります。
文ストって漢字が難しいから書きにくいんだよね…。漢字間違ってたらごめんね。
太宰視点
おかしい。絶対におかしい。
此の頃敦くんと乱歩さんの距離が妙に近い。探偵社への依頼の時も、敦くんは乱歩さんにばかり付いて行く。
其れなのに、進んで私と一緒に依頼者の元へ行く事が殆ど無い。つまり、乱歩さんに懐いているという事であろう。
まあ、依頼の時は乱歩さん優先でもいいのだが…
「あれ?敦くんと乱歩さん、また依頼?先も行っていなかったかい?」
「あぁ、彼等は菓子を買いに行った。二人、仲良くなっていたな。先も腕なんか組んで歩いて…」
国木田くんの言葉に、私は耳を疑った。腕を組んで…?
顔面蒼白な私に気づいた国木田くんは、はぁと一つ溜息を付いた。
「お前の敦好きは如何にかならん物か?其れに、嫉妬する位為らば、少しは意思を伝えてみては如何なんだ!」
パソコンを忙しなく打つ彼は、少し苛ついた様子で私に言った。其れはそうだと私も思う。思うには思うのだが…。
「国木田くん。君は若し、理想其のものの女性に出逢ったら、思う様に安々と気持ちを伝えられると思うのかね?」
「ゔぐ…」
そんな他愛も無い会話に花咲かせている時、彼等は帰って来た。
扉が開いた瞬間に、私の頭の中から会話の事など消えて無くなった。
「腕を…」
そう。国木田くんの言っていた通り、腕を組んで居たのである。
「…」
黙り込む私を見て、国木田くんが口をはくはくと動かした。
唇を読むと、彼は、
「言え!」
とだけ伝えたい様子だった。
まあ、ずっと待って居ても願いは叶うまい。隣の席に座る敦くんの肩を、とんとんと叩いた。
「?どうしましたか、太宰さん。」
「此の後、行く所が在る。付き合ってくれ給え、敦くん。」
「良いですけど、何処へ行くんですか?」
「其れは後からのお楽しみさ。」
取り敢えずお出掛けの誘いに乗ってくれたのでほっとする。ちらと乱歩さんの方を見ると、全てを見透かした様子で、お菓子をヤケ食いしていた。
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敦視点
如何したんだろう。太宰さんにプライベートで外出に誘われる事等、今まで数える程しか無かった。
確か、何処かに行くと言っていたな…。何処に行く心算なのだろう。
橋の欄干に凭れて待っていると、太宰さんが走って来た。来たら早々、
「行こうか。」
と歩き出す。付いて行きながら、矢張り不思議な人だなぁと感じた。
♦♦♦
暫く歩いただろう。僕はヘトヘトで足が縺れかけていた。その時、急に太宰さんが立ち止まった。
僕は止まり切れず、太宰さんの背中に顔をぶつける。
「いてっ」
「…あぁ、ごめんよ。其れより見てくれ給え。此処が、来たかった場所さ…」
其処は、夕陽が照らす横浜の海だった。
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太宰視点
私は、来たくてここに来た訳ではないのだ。
ふらりふらりと歩いて居れば、此処に辿り着いた。
此の様な場所、来ようと思えば何時でも来られる。しかし、何時も危なかしい敦くんと一緒に来るのは、何処か特別に思えた。
其処迄考えてやっと気付いた。
「…私は君の事が好きなのだ…」
「……はっ?」
敦くんの困惑した声で我に返った。私は、今…
「…ねえ敦くん」
「…はい」
「私今…言葉に出してた…?」
「…はい」
…やってしまった。
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敦視点
「…私は君の事が好きなのだ…」
唐突に太宰さんはそう言った。
「……はっ?」
脳内の処理が追いつかない。え、え?君って、僕の事…だよね?いや、て言うか、僕以外此処に居ないし。でも、其れって詰まる処は…
僕が俯いてぐるぐる考えていると、太宰さんが、僕の方を見ずに聞いてきた。
「私今…言葉に出してた…?」
「…はい」
《《言葉に出してた》》…つまり、意思としては間違っていないという事…?
僕がゆっくり顔を上げると、そこには、真っ赤に成った太宰さんの姿が在った。
「…あの、えっ…と、説明…お願いできますかね…?」
怖ず怖ずと僕が聞いたら、太宰さんは、真っ赤になった額に手の甲を当てて
「はぁー…」
と息を吐いた。
「言っちゃったもんね。早、全部言うしかない訳かぁ…」
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太宰視点
「えーと…語るの、恥ずかしいんだけれど。話すから、真剣に聞きなさいね。
私、敦くんの事が好きなのだよ。友人としてもだが、矢張り、恋愛的にも。凄く好きな訳だよ。然し、これに気付いたのはつい先程。夕陽を見るのがこんなにも特別だと感じられるのは、君と見るからなのだと、先気付いた。」
私は今迄数多の女性に声を掛けてきたが、其れとは全く違う想い。其れが敦くんに向けられていた。
「恋感情だとは気付かなかっただけで、私の中には其の様な気持ちが随分昔からあった。今考えて決定的に敦くんへの気持ちが変わっていたのは、そう…あの船上での乾杯の時だね。」
「そんなに前から!?」
そう、船の上での乾杯というのは、我ら武装探偵社とポートマフィアの社長達が命の危機に晒された事件後のこと。
あの時の夕陽も、確かに私の胸に深く刻み込まれている。
「兎に角、上司が部下にそんな想いを抱くなんて気持ちが悪いだろう。忘れてくれ給え。」
あーあ、もっとロマンチックな雰囲気の中、カッコつけて失恋したかったなぁ、なんて…
「さ、帰ろうか…」
「忘れるなんて、嫌です。」
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敦視点
「忘れるなんて、嫌です。」
「…?」
太宰さんには此の言葉が予想出来なかった様で、声も出さずぴしりと固まってしまっていた。
「わ、忘れたくないです!太宰さんが折角気持ちを伝えてくれたのに…」
嗚呼、でも、こんな風に言うと、気を遣っていると思われてしまうかも。実を言うと、僕は前々から太宰さんの事が…好きだった。だけど、僕の此の心は仕舞って置こうと思っていた。どうせ成就しない恋だと思っていたから。もし太宰さんが男の人を好きに成るのだとしても、きっとお相手は中也さんとか国木田さんとかだと考えていたから。
「でも、違うんだ…」
「?ど、どうしたんだい、敦くん。気は遣わないでくれ給え。」
矢っ張り、そう思われる。でも、両想いになれるのなら。ちゃんと伝えないと!
「僕もっ…太宰さんの事が、好きで…!叶わないと思って、隠してたんです…。」
太宰さんは凄く驚いた顔をしていた。
それから、恐る恐る、
「…本当かい?」
と尋ねてきた。
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太宰視点
私が投げ掛けた質問に、力強く頷く敦くん。私の経験上、此れは信じて良い目だ。
「信じるよ?本当、なのだよね?」
「ええ、勿論。」
人生で、此れ程迄に幸せな瞬間はあっただろうか。夕陽が此の事を盛大に祝福するように、私達を照らし、包み込んだ。
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乱歩視点
正直、つまらない。
前から太宰の気持ちは気付いてた。というかその上で態と敦と親しくしてた。
ずっと一緒に居て気付いた。敦は可愛くて、とても儚い。僕の『超推理』でも追いつけない程のスピードで結末を書き換える。
入社試験の時もそうだったらしいが、自分が犠牲になる事を厭わない様な子なのだ。何時消えてしまうかも分からない、手に入れ難い存在だった。
そんな敦と彼とは今頃…互いの想いを知り、喜びに満ちているだろう。
流石に、玩具を取られた子供の様に喚きはしない。でも…。手に入れる|好機《チャンス》があったのなら、手に入れたかったな…。
ま、どうでもいいんだけどー。
-END-
終わり方が分かりませんでした。
いい加減、誰か教えろ馬鹿野郎(なむ、心の一句(?))。
それではご機嫌やう。
…キャラじゃねぇな。
そんじゃばいばい。