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【海であい、泡沫に】弐
「 」セリフ
( )心情
( 効果音
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家に帰った後、学校へ行く支度を始めた。
やはり急がなければ遅刻しそうな為、朝食は食べずにサッと家を出た。自然と歩調が早まっているのが自分でも分かる。
時間の無いなか、寄り道して学校へ行った事を心底後悔する羽目になる事を知る由もなかった
そして、全てがここから始まる事になる事も__
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朝「 風、強っ 」
ここ、家から徒歩2分にある“|山沙《やまさ》浜”へ来たのは、いつぶりだろうか。最近は、色々と忙しくて来る暇が無かったからな。
と考え事をしながら、砂浜を歩いていた。
緩やかな波が砂浜に来ては引いてを繰り返している。落ち着いた空間。
朝「 、!っと... 誰? 」
そんな静寂な空間を打ち破る様に、俺の前に現れた、、いや寝転んでいたのは、同い年くらいの男子だった。
この時期に砂浜で寝るなんて、相当なタフさだなと感心しつつも心配が勝つ。足元の方が水にかかっているみたいだし、少し移動させるか。
朝「 よいしょっと 」
そこら辺にあった木のベンチまでその男子を運び、優しく寝かしておいた。動揺しない様に起きるまで待っとくか。ていうか、意外と体がガッチリしてたなぁ。運動部とかか?
なんて振り返っていると相手が目を覚ました。
朝「 あ、足元の方が濡れてたんで、勝手に運んでしまいました。 」
?「 すみません!ありがとうございます 」
?「 、ん? 」
朝「 どうしましたか? 」
突然、その男子は俺の方をジーっと見つめてきた。どこかおかしい所があるのだろうか。
?「 貴方の制服『八白学園』ですよね? 」
「 時間は大丈夫ですか? 」
朝「 あ...( ポカン 」
やばい、やばい、やばい、やばい、やばい!!
すっかり学校の事忘れてたわ!!!
もう朝礼、始まってるし、遅刻確定だ...
朝「 やばいッッ! 」
「 すみません!さよならッッ( 走 」
?「 あ、ああ。... 」
その人をおいて学校へと駆けて行った。
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チャイム(キーンコーンカーンコーン
『初日から遅刻』という要らなすぎる名誉を獲得した俺に追い打ちをかける様に、響く予鈴。
先生には初日という事もあり、多めに見てもらい軽い注意で済んだ。
|檸檬《れもん》「 おっは〜! 」
「 初日から遅刻とか度胸すげぇな笑 」
朝「 遅刻したくてした訳じゃないんだけど、、、( 睨 」
これからは気を付けよう、と決心していた中、仲の良い“|川瀬檸檬《かわせれもん》”が茶化してきた。
落ち着いた金色で頭を染めており、身長は俺より少し高め。勉強はそこそこだが、所属しているバスケ部では期待のエースらしい。
1年生の時にクラスが同じになってそこからって感じで、今では冗談を言い合えるくらいだ。
檸檬「 まぁ、元気出せって! 」
「 なんたって今日は、転校生が来るらしいぜッ☆ 」
朝 「 この時期に?珍しいね。 」
檸檬「 はぁぁ?それだけかよ!? 」
「 フツー、もっと興味深々だろ!? 」
朝 「 いや、別に... 」
先生「 はーい、みんな席着け〜 」
「 転校生紹介するぞ。 」
雑談をしていると先生が教室に入ってきた。次に転校生が入ってくるのか教室の扉を開けたまま。普段あんなに閉めろと言うのに…
どうせ、その転校生とも関わる事なんて殆ど無いんだろうと正直思う。
先生「 はい、入って来ていいぞー 」
扉(ガラガラガラ
夜「 ◯×学校から来ました。“|海夜《うみよる》”です。 」
「 これからよろしくお願いしますニコ 」
クラスメイト女「 めちゃくちゃイケメン~! 」
クラスメイト男「 あいつかっけ〜、 」
締めには屈託の無い笑顔を見せ、好印象的な挨拶を終えた転校生。この学校には居ないであろう白髪の頭をしており一瞬驚いた。
あと苗字が同じ事にも。俺の本当の苗字は「八神」だけれど、外でその名前を使うと色々と不都合があり「海」という事になっている。
クラスメイトからの印象は良さげ。横目で流しつつそんな感想を抱いていると、
先生「 じゃあ、夜の席は朝の後ろな。 」
「 朝、手挙げて場所示して〜 」
朝 「 はい( 手挙 」
夜 「 あ!今朝、山沙浜で会った人! 」
「 同じ学校だったんだね笑 」
こちらに近づいて来た転校生は、俺の顔を見た途端駆け足になって、突然そう言ってきた。
真剣に相手を見ると、今朝出会った人と似ていなくも無い。だから制服が何処の高校か知ってたのか、、、
朝「 あー、砂浜で寝てたバカね... 」
夜「 バカ!?バカは酷くない!? 」
「 俺ら、ほぼ初対面だよね!? 」
先生「 なんだ、お前ら仲良いのか。 」
「 じゃ、朝は夜にこの学校の案内してやってくれ!頼んだ👍 」
朝 「 ...分かりました。 」
その後、今日の日直が俺だとか 挙げ句の果てには苗字が同じだからと言う、よく分からない理由を付けられて学校案内をする事になった。
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ここまで読んで頂きありがとうございます!
次話もお楽しみに^ ^