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第1章:バビロンの夕暮れ、野獣たちの目覚め

**序文:帝国という名の死体** 紀元前323年、初夏。バビロン。 人類史上最大の版図を築き、神の領域へと足を踏み入れたアレクサンドロス三世が、三十三歳の若さでこの世を去った。 その遺体はまだ温かく、王宮の奥底で黄金の寝台に横たわっているが、帝国の魂は王の鼓動が止まった瞬間に霧散した。 残されたのは、主を失った広大な大地と、血に飢えたマケドニアの将兵、そして王の影を追い続けてきた五人の怪物たちである。彼らはかつて友であり、戦友であった。しかし今、彼らを結びつけていた唯一の鎖である「王」が消えたことで、その絆は鋭利な刃へと姿を変える。 知略のプトレマイオス、剛勇のアンティゴノス、不屈のセレウコス、冷徹なリュシマコス、そして野心のカッサンドロス。 これは、神になろうとした男が遺した「世界」という名の巨大な死体を、誰がどのように切り分け、あるいはその頂に立とうとしたかを描く、二十年にわたる血と計略の群像劇である。
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